💐このページをシェア

ポレポレ東中野(東京・東中野):連載「あの映画館に行こう」

ひとつの物差しで測れない、インディペンデント映画の豊さを展開する

映画館でスクリーンを見つめるとき、わたしたちは、他者の背景にある日々やその連なりを、社会の一面を、複雑さや曖昧さを、ひいては自分自身を見つめているのかもしれません。

この連載では、me and youがおすすめしたい映画館をご紹介。独立系のミニシアターを中心に、me and you little magazineで記事を制作した作品やカルチャートピックスページでおすすめした作品を上映している映画館から、つくる人をバックアップする映画館、地域に根ざした場づくりをおこなっている映画館、その場ならではの鑑賞体験ができる映画館まで、さまざまな映画館で働く人たちの声を集めます。

今回ご紹介するのは、2003年に開館したポレポレ東中野。インディペンデント作品を中心に、ドキュメンタリーや新人監督の作品などを含む、独自のラインナップで上映をおこなっています。スタッフの小原治さんに言葉を寄せていただきました。記事の最後には、「あの映画館へ行こう」のGoogle Mapも埋め込んでいるので、お散歩や旅のおともにぜひご活用くださいね。

「今ここで映画が立ち上がっている」といった特殊な熱気を感じる

ポレポレ東中野・小原治さん(スタッフ)

1.どんなことを大切にしている映画館ですか?

観客席に対してスクリーン面積が大きく、段差もあり、映画を見やすい作りになっていると思います。天井が高く、箱型に空間が広がっているのも特徴です。この場内で上映をしていると、「今ここで映画が立ち上がっている」といった特殊な熱気を感じることがあります。

上映作品はジャンル問わず、インディペンデント映画がほとんどです。封切館として上映させていただくことが多いので、公開に向けて配給さんと宣伝の意見やアイデアを積極的にかわします。

2.上映作品を選ぶとき、プログラムをつくるときのこだわりは?

ひとつのこだわりに閉じない映画館になれていたらと思います。制作の動機や目的が作品ごとに異なるのがインディペンデント映画の世界なので、その価値はひとつの物差しで測れません。そんな豊かさをどうやって「興行」として展開していくのか、作品それぞれの魅力と照らし合わせながら考えていくことを大切にしています。

3.「わたしとあなた」というテーマで、これまでに上映した作品やこれから上映予定の作品からおすすめしたい映画を1本教えてください。

『わたのはらぞこ』です。主人公・ヨシノは東京での日々に疲れ、ひと休みするために長野県の歴史ある町・上田を訪れます。そこでヨシノは不思議な出来事に次々と巻き込まれていく……というのがストーリーの大筋です。

この映画を見て、無性に旅に出たくなりました。映画全体を構成する画面のひとつひとつが主人公の経験として感じられるからです。劇中の時間や空間、「がちゃがちゃしているものたち」がわたしの中にもストンと入ってくるので、空想や作り話では片付かない、映画ならではの実感が生まれます。

映画は他者。映画を見ること、作ることは、他者にふれるということ。そこに生じるわからなさやひっかかりを通して世界で一人のこのわたしを経験し直していくということ。「見つけてくれてありがとう」「こちらこそ」(劇中の台詞より)。「わたしとあなた」がひとつの画面を通して実にユニークに、そして優しい喜びとなって溢れてくる105分。『わたのはらぞこ』おすすめです。

📽️映画『わたのはらぞこ』

2025年8月23日よりポレポレ東中野にて上映
脚本:豊島晴香
監督:加藤紗希
出演:神田朱未、加藤紗希、豊島晴香、釜口恵太、本荘澪、湯川紋子、髙羽快
音楽・音響デザイン・作詞:三浦康嗣(□□□)

公式サイト

📍映画館情報
ポレポレ東中野
住所:〒164-0003 東京都中野区東中野4-4-1ポレポレ坐ビル地下
電話番号:03-3371-0088
営業時間・休館日:上映スケジュールに準ずる
URL:
Website
X(Twitter)
Instagram(ポレポレ坐アカウント)

🚶‍♀️映画館を訪れてみよう
me and youがご紹介したい映画館を地図にまとめました。
ポレポレ東中野さんのほか、全国の映画館を都度更新していきますので、おでかけのお供にチェックしてみてくださいね。

me and youの「あの映画館に行こう」マップ

小原治(おはらおさむ)

ポレポレ東中野スタッフ。自主映画の映画祭では長年審査員も務め、そこで出会った監督たちと一緒に劇場公開や上映会を企画し、数々の自主映画を観客に届ける。space&cafe ポレポレ坐で映画館の興行とは別の形で自主映画を上映していく企画「KANGEKI 間隙」を2019年にスタートさせる。

X(Twitter)
KANGEKI 間隙

Support us

me and you little magazineは、今後も継続してコンテンツをお届けしていくために、読者のみなさまからサポートをいただきながら運営していきます。いただいたお金は、新しい記事をつくるために大切に使ってまいります。雑誌を購入するような感覚で、サポートしていただけたらうれしいです。詳しくはこちら

*「任意の金額」でサポートしていただける方は、遷移先で金額を指定していただくことができます。

あわせて読みたい

newsletter

me and youの竹中万季と野村由芽が、日々の対話や記録と記憶、課題に思っていること、新しい場所の構想などをみなさまと共有していくお便り「me and youからのmessage in a bottle」を隔週金曜日に配信しています。

me and you shop

me and youが発行している小さな本や、トートバッグやステッカーなどの小物を販売しています。
売上の一部は、パレスチナと能登半島地震の被災地に寄付します。

※寄付先は予告なく変更になる可能性がございますので、ご了承ください。

shopを見る