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おきまりの定食屋さんみたいな場所になれたら
2024/1/30
一冊の本に出会うことは、新しい扉をひらくこと。たとえば頭や心にもやもやと霧がかかっているようなとき、世界の未知の側面に手を伸ばしたいとき、旅に出たとき、いつもは歩かない街に行ってみたいなとふと思ったとき……。そんなとき、本屋を訪れてみるのはいかがでしょう?
この記事では、me and youがおすすめしたい本屋さんをご紹介します。me and youが出版している小さな本を取り扱ってくださっている独立系の書店を中心に、自分の意思でお店を立ち上げたり、心地よい方法を日々工夫しながら、その土地に根づいた場所づくりを行っているお店たち。つくり手の表情が見える本屋は、そこに集まった人たちが想いや考えを交換したり、学びあうような場になったりしていることも。訪れればきっと、さまざまな形の居心地のよさに出会えるような本屋たちです。
今回ご紹介するのは2023年9月にオープンした東京・幡ヶ谷の「OH! MY BOOKS」。店主の福永紋那さんに言葉を寄せていただきました。記事の最後には、『あの本屋に行こう』のGoogle Mapも埋め込んでいるので、お散歩や旅のおともにぜひご活用くださいね。
1.どんなことを大切にしている本屋ですか?
わたしがひとりでやるお店だからこそ、等身大の自分の生活観とか、日々感じることを大切にしようと思っています。読書会も選書も、なるべく主語を大きくせずに、個人的なことや個人と個人の会話を大事にしていきたいです。
柴崎友香さんが『働くことの人類学』に書かれていた「いろいろな人がいてありがとう」ということばが大好きなのですが、お店をひらく前に会社で働いていたころに、仕事の帰り道やひとりで過ごす休日にあってくれた本屋さんや、読んでいた本に対して、まさにその「いろいろな人がいてありがとう」という気持ちをすごく感じていました。
わたし自身がそうやって夜の本屋さんにすくわれてきたので、OH! MY BOOKSも、いろんな毎日をおくる人にとって、そういう、おきまりの定食屋さんみたいな場所になれたらいいなあ〜と思っています。
2.選書のこだわりは?
古本も新刊本も1冊ずつ自分でえらんで大切に紹介したいと思っています。
日記本や、社会のこと、くらしのこと、フェミニズム関連の本など、ジャンルには特にこだわらずに、今まで自分が感じていたモヤモヤについて、その背景にある構造を知ることですこしラクになれるような本や、「いろいろな人がいてありがとう」と思える本、あとは「これってわたしの話だ!」と思える本に出会えるのってすごくいいことだと思っています。そういう、わたしやだれかの味方というかお守りになってくれるような本をえらんでいます。
音楽やカルチャーの棚もお気に入りで、そこにはわたしが今おもしろいと思うことや、好きな作家やアーティストが読んでいた本など、個人的な興味のひろがりを棚に並べるようにしています。
3.お店の空間のこだわりは?
空間は、お店の内装をつくってくれたmobu(となりでSuperZooという店をやっています)と一緒に、たくさんたくさんQ&Aをくりかえしてデザインに落としこんでもらいました。どんな音楽を流したいのか、どんな距離で人と喋りたいのか、来た人に安心してゆっくり過ごしてもらい、かつ、わたし自身も居心地よく過ごせるためにわたしの席をどこに置くか? などなど……ほんとうに細かいところまで考えました。
わたしの好きなもののこともたくさん話したので、ロッカーを置いてくれたり恐竜の人形を用意してくれたりして、まるで自分の部屋みたいな、好きなものがつまった空間になりました。
4.「わたしとあなた」というテーマで、おすすめしたい本を1冊教えてください。
『せいいっぱいの悪口』(著:堀静香、発行:百万年書房/2022年)
大人になってから出会った友人や家族とのコミュニケーションについて、本を読んだりいろいろなことを知ったり考えたりするうちに、人と話したあとに相手のことを想像して、「喋りすぎたかな?」とか、「いやなことを言ってしまったかな?」などと反省することが増えてきて、そうすると次第に「あんまり人にふみこんだりしない方がいいかもしれない……」と思うようになったりして、なんとなく希薄になってしまっているな、と思うことがあります。
この本の中で堀さんは、人は寂しさに負けてしまう生き物だから、仮にうっとうしいと思われたとしても「髪切った?」とかって声をかけるようにしていると言っていて、なるほどなあ、さびしいよりもうっとうしいのほうが全然マシかもしれないなあ、と思いました。
人に会ったあとのわたしの大反省会って、いま思えば、自分がきらわれたくないっていう気持ちが多分にふくまれていたかもしれなくて、相手がさびしい思いをしないで済むのなら、自分がうっとうしい人だと思われることなんて全然OKと思えるやさしさ、わたしも見習いたいと思いました。
📍書店情報
OH! MY BOOKS
住所:〒151-0071 東京都渋谷区本町1-18-2 ハイツ本町202
営業時間:
平日 15:00-22:00
土日 14:00-21:00
※変動があるため、詳細はInstagramをご覧ください
URL:
Instagram
🚶♀️本屋を訪れてみよう
me and youがご紹介したい本屋を地図にまとめました。
本のあるところ ajiroさんのほか、全国の本屋を都度更新していきますので、おでかけのお供にチェックしてみてくださいね。
福永紋那
1989年・兵庫県淡路島生まれ。2023年9月に東京・幡ヶ谷と初台の間にOH! MY BOOKSという個人書店をオープン。店主が1冊ずつセレクトした古本・新刊と、本を読む生活がたのしくなる輸入文具や雑貨・アクセサリーなどを取り扱っており、平日は夜22時まで営業しています。
営業スケジュールはお店のInstagramをチェックしてみてください!
Instagram | OH! MY BOOKS
プロフィール
Reading Partyなどのイベントを定期的に開催しているため、イベント情報もぜひInstagramでチェックしてみてください!
Instagram | OH! MY BOOKS
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