連載
読書は「自己との対話」「他者への想像力」を涵養する
2024/6/27
一冊の本に出会うことは、新しい扉をひらくこと。たとえば頭や心にもやもやと霧がかかっているようなとき、世界の未知の側面に手を伸ばしたいとき、旅に出たとき、いつもは歩かない街に行ってみたいなとふと思ったとき……。そんなとき、本屋を訪れてみるのはいかがでしょう?
この記事では、me and youがおすすめしたい本屋さんをご紹介します。me and youが出版している小さな本を取り扱ってくださっている独立系の書店を中心に、自分の意思でお店を立ち上げたり、心地よい方法を日々工夫しながら、その土地に根づいた場所づくりを行っているお店たち。つくり手の表情が見える本屋は、そこに集まった人たちが想いや考えを交換したり、学びあうような場になったりしていることも。訪れればきっと、さまざまな形の居心地のよさに出会えるような本屋たちです。
今回ご紹介するのは、「考える“よはく”」。主に関西圏でのイベント出店や選書サービスなどの活動をしているひろしさん、なかむさんに言葉を寄せていただきました。記事の最後には、『あの本屋に行こう』のGoogle Mapも埋め込んでいるので、お散歩や旅のおともにぜひご活用くださいね。
1.どんなことを大切にしている本屋ですか?
私たちは、考える“よはく”づくりを営む夫婦です。二人とも普段は会社員をしながら、イベント企画や出店、選書サービス等の活動をしています。以下は、私たちのコンセプトです。
読書は「自己との対話」「他者への想像力」を涵養する。
忙しい暮らしの中で見失いがちな心のコンパスに立ち返る、そのきっかけとなる本をお届けします。
私たち自身、一番迷子になっていた時期を乗り越えられたのは「本」がきっかけでした。だからこそ、このコンセプトを中心に据えながら、自分たちなりに「本を届けること」に誠実に向き合うことを大切にしています。
2.選書のこだわりは?
前提として、私たちはコンセプトをベースに、「働くこと」「生きること」「人と関わること」の本質を問い、考えるきっかけとなる本を中心に取り揃えております。その人にとって、“今”の気持ちや人生を少しでも照らしてくれるコンパスとなるような本を、心を込めてお選びしています。
ブックフェア等のイベントでは、カジュアルにお話しながら今考えていることやお悩みをお伺いし、それにあった本をご提案しています。
選書サービス(2024年6月現在、サービステスト中)では、1時間ほどお時間を頂戴し、最近気になっていることをはじめ、より深い価値観などを対話形式でゆっくりお話していきます。ヒアリング結果を元に、その人ごとに選書コンセプトを設定し、選書理由もセットで数冊本を見繕っています。
実際、選書したお客さんからは「迷ったときに手に取ってみたい本ばかりだったので、今後の人生のお守りだって思いました!」「本を選んだ理由がそれぞれに書いてあって、その言葉たちもまた自分の日常に馴染んでいって、いろんな瞬間で自己を振り返り、立ち止まるきっかけになりました」「自分のアンテナにはひっかからなさそうな本たちだったので、素直に嬉しかったです。世界が広がりそうです」などのお声をいただいております。
3.棚作りのこだわりは?
イベントごとに毎回テーマを設定し、そのテーマに合った本を選んで販売をしています。基本的には考える“よはく”の活動コンセプトを土台としつつ、その時々の自分たちの関心事やちょっとした社会への違和感からアイデアを発散し、選書しています。
4.「わたしとあなた」というテーマで、おすすめしたい本を1冊教えてください。
『傷を愛せるか』(著:宮地尚子、発行:筑摩書房/2022年)
精神科医でトラウマ研究の第一人者である著者によるエッセイ。日常や旅先で出会う人々との間で、そして自分自身との対話を通じて起こった個人的な経験を元にした思索。「弱さを抱えたまま強くあること」「共に生き、共に支え合うこと」について、素直で静謐な文章で綴られています。
📍書店情報
考える“よはく”
URL:
Webサイト(ポートフォリオ)
Instagram
🚶♀️本屋を訪れてみよう
me and youがご紹介したい本屋を地図にまとめました。
全国の本屋を都度更新していきますので、おでかけのお供にチェックしてみてくださいね。
ひろし
IT企業勤務。
ハマり性な性格で、気に入った本は何度も読み返したり、付箋でいっぱいにするタイプ。 お客さん一人ひとりと対話しながら、本をお勧めするのがとても好きです。
なかむ
社会起業家支援/投資会社勤務。
私は、本に心のよはくをたくさん作ってもらいました。その想いを少しでもみなさまにおすそ分けできればと思いながら、本を届けています。
プロフィール
今後、選書サービスを展開する予定です。
ご案内はinstagramで発信するので、よければぜひフォローお願いします!
Instagram
おしらせ
関連記事
連載
店主もお客さんもそれぞれ自由にすごしてよい本屋
2023/08/23
2023/08/23
連載
分けることでこぼれ落ちてしまうようなものをすくえるように
2023/08/23
2023/08/23
連載
自分の家の本棚から友だちにすすめたい本を選ぶような感覚で選書
2023/08/23
2023/08/23
連載
誰もが安心して存在できる「セーファースペース」を目指して
2023/09/29
2023/09/29
連載
小さな店でしかできないことをしたい
2023/09/29
2023/09/29
連載
本を選んでいるうちに視野が広がる体験をしてもらえるように
2023/09/29
2023/09/29
連載
日々、当たり前に店を開けること
2023/10/31
2023/10/31
連載
本、器、ギャラリーが一つになった空間
2023/10/31
2023/10/31
連載
誰かの生活がただそこにあり、日記もただそこにある
2023/10/31
2023/10/31
連載
沈んでいくような心持ちのときにふと足が向かう場所でありたい
2023/11/28
2023/11/28
連載
文学との邂逅、その瞬間の驚嘆を大切にしています
2023/11/28
2023/11/28
連載
日々、作物を育てるように本棚に手を入れる
2023/11/28
2023/11/28
連載
「偶然の出会い」を街ゆく人の日常の中に生み出すべく手を尽くすこと
2023/12/20
2023/12/20
連載
人と本、人と人の出合いを大切に
2023/12/20
2023/12/20
連載
他者の足跡を通して世界と触れ合う足がかりになれれば
2024/01/30
2024/01/30
連載
おきまりの定食屋さんみたいな場所になれたら
2024/01/30
2024/01/30
連載
県内外のひとがほどよくチャンプルーして交流ができるように
2024/02/29
2024/02/29
連載
普段触れている世界とは違う時間・違う価値観を感じられること
2024/02/29
2024/02/29
連載
架空のあるひとりの女性を思いながら選書
2024/03/19
2024/03/19
連載
老若男女が普段着で来る本屋
2024/03/19
2024/03/19
連載
蟹ブックス/twililight/日記屋 月日/OH! MY BOOKS etc…
2024/04/11
2024/04/11
連載
100年後の人にも響くような本を扱えたら
2024/06/04
2024/06/04
連載
変化を恐れないこと
2024/06/04
2024/06/04
newsletter
me and youの竹中万季と野村由芽が、日々の対話や記録と記憶、課題に思っていること、新しい場所の構想などをみなさまと共有していくお便り「me and youからのmessage in a bottle」を隔週金曜日に配信しています。
me and you shop
me and youが発行している小さな本や、トートバッグやステッカーなどの小物を販売しています。
売上の一部は、パレスチナと能登半島地震の被災地に寄付します。
※寄付先は予告なく変更になる可能性がございますので、ご了承ください。