連載
“問い”をくれる本を販売していきたい
2024/10/17
一冊の本に出会うことは、新しい扉をひらくこと。たとえば頭や心にもやもやと霧がかかっているようなとき、世界の未知の側面に手を伸ばしたいとき、旅に出たとき、いつもは歩かない街に行ってみたいなとふと思ったとき……。そんなとき、本屋を訪れてみるのはいかがでしょう?
この記事では、me and youがおすすめしたい本屋さんをご紹介します。me and youが出版している小さな本を取り扱ってくださっている独立系の書店を中心に、自分の意思でお店を立ち上げたり、心地よい方法を日々工夫しながら、その土地に根づいた場所づくりを行っているお店たち。つくり手の表情が見える本屋は、そこに集まった人たちが想いや考えを交換したり、学びあうような場になったりしていることも。訪れればきっと、さまざまな形の居心地のよさに出会えるような本屋たちです。
今回ご紹介するのは、大阪にある「toi books」。店主の磯上竜也さんに言葉を寄せていただきました。記事の最後には、『あの本屋に行こう』のGoogle Mapも埋め込んでいるので、お散歩や旅のおともにぜひご活用くださいね。
1.どんなことを大切にしている本屋ですか?
よい本というものは、その時のあなたにとっての“答え”だけではなく新たな“問い”を与えてくれるものだと思っています。toi booksではジャンル・新刊古本問わず、そんな“問い”をくれる本を販売していきたいと考えています。
2.選書のこだわりは?
先ほどと同じです。加えて言えば、特に小説や詩歌などの文芸書が中心で、言葉のおもしろさや奥深さを感じられるものが多いような気がします。
3.お店の空間のこだわりは?
特にありませんが、来てくださった方が新たな本との出合いがおこるような場であってほしいと考えて、日々棚をつくっています。
4.「わたしとあなた」というテーマで、おすすめしたい本を1冊教えてください。
『この世の喜びよ』(著:井戸川射子、発行:講談社/2022年)
「あなた」という二人称で語られる、ショッピングセンターの喪服売り場で働く女性の日々。フードコートに入り浸っている少女と言葉を交わすうちに、娘たちの子どもの頃のことや自らのことを思い出し、今が過去が降り積もった場所にあることが、確かな手触りをもって描きだされていく。そしてこれまでの主人公の生の喜びが奥行きをもっていくなかで、この小説を読む「わたし」の生の喜びもを掬いだしてくれるような、豊かなひろがりと温もりをもった作品です。
他にハウスメーカーの建売住宅にひとりで体験宿泊する主婦を描いた「マイホーム」、父子連れのキャンプに叔父と参加した少年を描いた「キャンプ」の計三篇を収録。
言葉がもつ力を存分に味わえる時間を、「あなた」もぜひ全身で浴びてください。
🚶♀️本屋を訪れてみよう
me and youがご紹介したい本屋を地図にまとめました。
toi booksさんのほか、全国の本屋を都度更新していきますので、おでかけのお供にチェックしてみてくださいね。
磯上竜也
1987年生。大阪・本町の本屋、toi books店主。
いまは本を売ったり買ったりして生きています。
プロフィール
今のあなたに必要な問いを探しに、近くの本屋に立ち寄ってみませんか?
おしらせ
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