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連載

国立映画アーカイブ(東京・京橋):連載「あの映画館に行こう」

映画の収集・保存・研究を行うからこそ実現できる企画と映写を

映画館でスクリーンを見つめるとき、わたしたちは、他者の背景にある日々やその連なりを、社会の一面を、複雑さや曖昧さを、ひいては自分自身を見つめているのかもしれません。

この連載では、me and youがおすすめしたい映画館をご紹介。独立系のミニシアターを中心に、me and you little magazineで記事を制作した作品やカルチャートピックスページでおすすめした作品を上映している映画館から、つくる人をバックアップする映画館、地域に根ざした場づくりをおこなっている映画館、その場ならではの鑑賞体験ができる映画館まで、さまざまな映画館で働く人たちの声を集めます。

今回ご紹介するのは、日本で唯一の国立映画専門機関である国立映画アーカイブ。国内外の映画や、図書など映画関連資料の収集・保存と、学術的な調査研究に携わるとともに、館内での上映や展示、オンライン配信サイトなどでの所蔵資料の公開を行っています。2025年8月に新設された「アニメーション室」の研究員である吉田夏生さんに言葉を寄せていただきました。

記事の最後には、「あの映画館へ行こう」のGoogle Mapも埋め込んでいるので、お散歩や旅のおともにぜひご活用くださいね。

映画が初めて公開された時の状態に可能な限り近づける、「真正性」に重きを置いた映写

国立映画アーカイブ・吉田夏生さん(研究員)

1.どんなことを大切にしている映画館ですか?

国立映画アーカイブは、映画館というよりも、活動の一環として映画上映も行う「フィルムアーカイブ」です。上映においては、映画が初めて公開された時の状態に可能な限り近づける、「真正性」に重きを置いた映写を大切にしています。そのため、映画館でのデジタル上映が一般的になった現在でも、当館は、かつてフィルムで上映されていた作品はなるべくフィルムで上映することを心がけ、スクリーンのアスペクト比(画郭)や映写速度も作品ごとに調整をして、観客の皆様に、公開当時と同じような環境で映画を楽しんでいただけるよう取り組んでいます。

2.上映作品を選ぶとき、プログラムをつくるときのこだわりは?

映画の上映だけでなく、収集・保存・研究も行うフィルムアーカイブだからこそ実現できる企画にしたいと考えています。例えば、現在開催中の「フィルムでみよう!東映アニメーション」では、所蔵フィルムを活用して全作品をフィルムで上映しており、中には約70年前に作られた、鑑賞機会の少ない作品も含まれます。また、多様な映画・映像文化のなかで、それぞれの作品がどのような位置を占めているのかを示すこと……ひとつひとつの作品という “点”を結ぶ“線”を描き、作品の背後にあるコンテクストを届けることも意識しています。

3.「わたしとあなた」というテーマで、これまでに上映した作品やこれから上映予定の作品からおすすめしたい映画を1本教えてください。

「わたしとあなた」とひらがなで書いたとき、そこには、単に自分と相手を示す機能だけでなく、「わたし」と「あなた」を心地よい繭で包むような、親密な空気が生まれるように思います。そこで紹介したいのが、「フィルムでみよう!東映アニメーション」で上映する『とんがり帽子のメモル』です。
孤独な少女・マリエルと、小さな宇宙人の女の子・メモルの友情を描くTVシリーズで、今回上映するのは、2つのエピソードを再編集して当時公開された劇場版です。マリエルにとってメモルが“秘密”の友だちだからなのか、メモルが手のひらに乗るほど小さいからなのかはわからないけれど、マリエルとメモルの間には、ふたりだけにしか――「わたしとあなた」にしか分かち合えないような親密さが息づいています。
水彩で描かれた背景美術はふたりの溶け合う心象風景を映し出しているかのようで、とりわけ、景色が淡い橙色に包まれる夕暮れは印象的です。「わたしとあなた」の特別な友情の物語である『とんがり帽子のメモル』は、性別や世代を超えて多くの人の胸に残るでしょう。

国立映画アーカイブ(東京・京橋):連載「あの映画館に行こう」

©東映アニメーション

📽️『とんがり帽子のメモル』

2026年8月18日、8月30日に国立映画アーカイブ・長瀬記念ホール OZUで上映

演出:佐藤順一
脚本:雪室俊一
キャラクター原案:名倉靖博
作画監督:小松原一男
美術:土田勇
撮影:佐野和広
音声:青木望
声の出演:渡辺菜生子、安田あきえ、川島千代子、つかせのりこ

作品ページ

📍映画館情報
国立映画アーカイブ(本館)
住所:東京都中央区京橋3-7-6
電話番号:050-5541-8600
休館日:月曜日、上映準備・展示替期間、年末年始
URL:
Website
X(Twitter)
Instagram
YouTube

🚶‍♀️映画館を訪れてみよう
me and youがご紹介したい映画館を地図にまとめました。
国立映画アーカイブさんのほか、全国の映画館を都度更新していきますので、おでかけのお供にチェックしてみてくださいね。

me and youの「あの映画館に行こう」マップ

吉田夏生

国立映画アーカイブ研究員。2025年8月に新設された「アニメーション室」で、アニメーションの収集・保存・公開事業に携わっています。

上映企画「フィルムでみよう!東映アニメーション」は9月6日まで開催中です。
ぜひご来場ください。
https://www.nfaj.go.jp/film-program/toeianimation202607/

また、地下1階の小ホールでは、9月6日まで上映企画「返還映画コレクション(4)――文化・ニュース・漫画映画篇」を開催しています。
https://www.nfaj.go.jp/film-program/repatriated_film4_202607/

国立映画アーカイブは、9月23日23:00までクラウドファンディングを実施中です。
映画文化を未来に残すため、皆さまの温かいご支援をお待ちしております。
https://readyfor.jp/projects/NFAJ2026

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