連載
カンヌやベルリンに赴き、作品を編成。カフェ「ドゥ マゴ パリ」やNADiffによるブックストアも併設
2026/6/15
映画館でスクリーンを見つめるとき、わたしたちは、他者の背景にある日々やその連なりを、社会の一面を、複雑さや曖昧さを、ひいては自分自身を見つめているのかもしれません。
この連載では、me and youがおすすめしたい映画館をご紹介。独立系のミニシアターを中心に、me and you little magazineで記事を制作した作品やカルチャートピックスページでおすすめした作品を上映している映画館から、つくる人をバックアップする映画館、地域に根ざした場づくりをおこなっている映画館、その場ならではの鑑賞体験ができる映画館まで、さまざまな映画館で働く人たちの声を集めます。
今回ご紹介するのは、東京・渋谷のBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下。もともと1989年にBunkamura内のミニシアターとして開館。2023年から渋谷宮下に移転し、新作、旧作、国、有名無名などを問わず上映をおこなっています。番組編成を担当する浅倉奏さんに言葉を寄せていただきました。
記事の最後には「あの映画館へ行こう」のGoogle Mapも埋め込んでいるので、お散歩や旅のおともにぜひご活用くださいね。
1.どんなことを大切にしている映画館ですか?
Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下は、Bunkamuraの長期休館(オーチャードホールを除く)に伴い、2023年より渋谷駅前で移転営業している映画館です。新たな劇場での営業にあたって、「映画鑑賞前後のムードを彩る非日常の感覚を味わっていただけるような空間にしたい」という想いがあり、ロビー内装は建築家の中山英之氏が率いる中山英之建築設計事務所にご担当いただきました。光と影が美しく包み込む、自慢のロビー空間です。
ロビーでは、「ドゥ マゴ パリ」がスタンドカフェとしてオリジナルブレンドのホットコーヒーや名物タルトタタンをご提供していたり、アートショップNADiffによる特別なキュレーションがなされたブックストアも併設していたりと、「特別な映画体験に寄り添う映画館でありたい」ということを大切にしています。
2.上映作品を選ぶとき、プログラムをつくるときのこだわりは?
カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭、山形国際ドキュメンタリー映画祭などの映画祭に赴き、世界中の映画のなかから、受賞作や話題作はもちろんですが、特に「いまお客様と一緒にスクリーンで分かち合いたい」と思えるフレッシュな作品を編成することを心がけています。近年では濱口竜介監督、山中瑶子監督、清原惟監督、団塚唯我監督など、日本の気鋭の映画作家たちの作品も積極的にご紹介してきました。
また、4K上映や35ミリフィルム上映にも対応しており、過去の名作の4Kリマスター上映や、当時のフィルムでの上映もお楽しみいただけます。『海がきこえる』、『落下の王国 4Kデジタルリマスター』、『ヤンヤン 夏の想い出』、『オリヴェイラ2025 没後10年 マノエル・ド・オリヴェイラ特集』など、多くの人にお越しいただきました。
新作、旧作、話題作、国、有名無名などを問わず、映画を観たひとが、「これはいま、自分が出会うべき映画だった」と思っていただけるような作品を、これからも上映していけたらと考えています。
3.「わたしとあなた」というテーマで、これまでに上映した作品やこれから上映予定の作品からおすすめしたい映画を1本教えてください。
6月19日(金)より上映の濱口竜介監督最新作『急に具合が悪くなる』は、ふたりの女性の人生で一度きりの邂逅を描いた作品です。「わたしとあなた」という関係性と、出会いの偶然の引力をどこまでも深く突き詰めて魅力的に描きながら、その関係性を起点に、この大きな世界そのものに目を見開き手を伸ばしていくような、本当に感動的な映画でした。
5月に開催されたカンヌ国際映画祭での世界初上映の場にも参加しましたが、きっと世界中さまざまな国からやってきたであろう観客たちが、言語の壁を超えて真に心を震わせていることが伝わってきて、あらためて特別な作品だと実感しました。ぜひスクリーンでご覧いただきたい、何度も出会い直したいと思う一本ですし、この映画の原作、哲学者の宮野真生子さんと人類学者の磯野真穂さんおふたりの往復書簡からなる『急に具合が悪くなる』(晶文社)も、ぜひあわせてお読みいただきたい本です。
📽️映画『急に具合が悪くなる』
2026年6月19日よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下にて上映
監督:濱口竜介
原作:宮野真生子・磯野真穂著『急に具合が悪くなる』(晶文社)
脚本:濱口竜介、ルディムナ玲亜
キャスト:ヴィルジニー・エフィラ、岡本多緒、長塚京三、黒崎煌代
2026年/フランス=日本=ドイツ=ベルギー合作/196分
第79回カンヌ国際映画祭 最優秀女優賞(岡本多緒&ヴィルジニー・エフィラ)共同受賞
© 2026 Cinéfrance Studios – Arte France Cinéma – Office Shirous – Bitters End – Heimatfilm – Tarantula – Gapbusters – Same Player – Soudain JPN Partners
📍映画館情報
Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下
住所:東京都渋谷区渋谷1-24-12 渋谷東映プラザ7階、9階
電話番号:050-6875-5280
営業時間・休館日:上映スケジュールに準ずる
URL:
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🚶♀️映画館を訪れてみよう
me and youがご紹介したい映画館を地図にまとめました。
Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下さんのほか、全国の映画館を都度更新していきますので、おでかけのお供にチェックしてみてくださいね。
浅倉 奏
Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下 番組編成
プロフィール
Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下
今後の上映ラインナップはこちら
https://www.bunkamura.co.jp/cinema_miyashita/#upcoming
上映情報
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