連載
創業109年。学校に行きにくい子どもたちの居場所をつくる取り組みも
2026/7/8
映画館でスクリーンを見つめるとき、わたしたちは、他者の背景にある日々やその連なりを、社会の一面を、複雑さや曖昧さを、ひいては自分自身を見つめているのかもしれません。
この連載では、me and youがおすすめしたい映画館をご紹介。独立系のミニシアターを中心に、me and you little magazineで記事を制作した作品やカルチャートピックスページでおすすめした作品を上映している映画館から、つくる人をバックアップする映画館、地域に根ざした場づくりをおこなっている映画館、その場ならではの鑑賞体験ができる映画館まで、さまざまな映画館で働く人たちの声を集めます。
今回ご紹介するのは、1917年(大正6年)創業で109年の歴史がある上田映劇。2011年に一度、定期上映を終了するも、2017年から再開。現在は、上映にあわせたイベントやワークショップ、対話の会、音楽ライブなどもおこなわれている、上田の文化の拠点です。支配人の長岡俊平さんに言葉を寄せていただきました。
記事の最後には、「あの映画館へ行こう」のGoogle Mapも埋め込んでいるので、お散歩や旅のおともにぜひご活用くださいね。
1.どんなことを大切にしている映画館ですか?
上田映劇は、大正6年に建てられた上田の中心市街地に位置する映画館です。
もともとは芝居小屋として建てられ、昭和頃から映画館として機能を移行してきました。
芝居小屋時代の舞台(ステージ)と、東京の旧帝国劇場と同じデザインと言われる格天井(ごうてんじょう)が今も変わらず残っていることが大きな特徴です。
古い趣を残した劇場は、これまで多くの映画やドラマなど、様々な映像作品のロケ地としても使われ、撮影で使われた美術や小道具をそのまま活かした空間づくりをしています。
館内には重澤珈琲というカフェが併設され、映画に関連した書籍や地元の障害福祉サービスの利用者が制作した雑貨の販売など、映画を観ないかたも立ち寄れるような取り組みもおこなっています。
若い世代に映画館で映画に触れてもらいたいという想いから、学校に行きづらい・行きにくい子どもたち向けの「うえだ子どもシネマクラブ」や、親子で楽しめる「週末こども映画館」など、若い世代向けの上映にも力を入れています。
現在は、上田映劇と上田映劇から徒歩1分ほどの別館トラゥム・ライゼ(旧うえだでんき館)の2館2スクリーンで上映をおこなっています。
2.上映作品を選ぶとき、プログラムをつくるときのこだわりは?
上映作品は、番組編成担当が国内外問わず、今、劇場で観てもらいたい作品を選定しています。
新作のミニシアター系作品からドキュメンタリー作品、また往年の名作など、2スクリーンを活かしてなるべく偏りがないようテーマをもってプログラムを組んでいます。
上映されている作品からラインナップのテーマを探してみるのも楽しみの一つかもしれません。ぜひ、様々な形で映画を映画館で観る楽しみを見つけてみてください。
3.「わたしとあなた」というテーマで、これまでに上映した作品やこれから上映予定の作品からおすすめしたい映画を1本教えてください。
上田映劇にて7月10日から上映の『ライフテープ』をおすすめさせていただきます。
3人と1匹のかけがえのない家族の暮らしを描いたドキュメンタリー作品です。
もちりとした白い肌に何度も頬をすりよせる朱香(あやか)。家族の未来を想い、音楽制作やダンスに取り組むアーティストの隆一。ふたりには珀久(はく)が生まれたばかり。3人と猫のフィガロの暮らしには笑顔が絶えない。
珀久は、銅の欠乏により様々な健康問題が生じる指定難病「メンケス病」を抱えている。
安楽監督の幼なじみである隆一の「家族を撮ってほしい」という祈るような想いから制作された本作。生まれてきた新しいいのちとその両親、友人と家族、そして被写体と撮影者といった様々な「わたしとあなた」が浮かび上がってきます。
有限な時間のなかで紡がれる日々の営みから、誰かと寄り添い生きていく日常を見つめなおす一作となっています。ぜひ劇場でご覧ください。
📍映画館情報
上田映劇
住所:長野県上田市中央2-12-30
電話番号:0268-22-0269
営業時間・休館日:上映スケジュールに準ずる
URL:
Web
X(Twitter)
Instagram
🚶♀️映画館を訪れてみよう
me and youがご紹介したい映画館を地図にまとめました。
上田映劇さんのほか、全国の映画館を都度更新していきますので、おでかけのお供にチェックしてみてくださいね。
長岡俊平
1992年生まれ。中学生頃から映画館で働きたいと思い、紆余曲折を経て2017年より上田映劇にて勤務。
プロフィール
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