今年も夏が来て、今日から私が勤める飲食店でもかき氷を出しはじめた。6月下旬にとある商店街を散歩した時には、喫茶店にたこ焼き屋と、ジャンルを問わずあらゆるお店でかき氷が出ていた。年々暑い日が早まっている。それを思うと少し出遅れたかなと思う。
おそらく、弊店のかき氷の味のラインナップは他店と比べて偏っている。チャイティー、梅、そして新作のマンゴー。この3種類。スパイス料理を出すお店なので、スパイスに合う味がチョイスされている。
かき氷を綺麗につくるのはけっこう難しい。うかうかしてると最初の方に乗せた氷が、みぞれのようにべちゃっとするし、思うに任せて山をつくると予想以上にいびつな形になる。丁寧さとスピード、どちらも求められて、カレーや他の料理をつくるのと比べても難易度は高めだと思う。
電動のかき氷機のスイッチを押して、氷を削る刃の位置をハンドルを回して調整する。すると、大きくて薄い氷がふわふわと、容器の上に落ちてくる。微妙に不規則な動きとにらめっこしながら、手を動かす。
ひらひらと落ちる氷は美しいけど、捕まえるのが難しい。容器をなるべく氷の出口に近づけて、回しながら落としたい位置に氷を誘導する。内側から外側へ、そっと肉付けしていく。
今日気づいたコツなのだが、樹木の年輪を思い浮かべてつくると、うまくいく気がする(それに、木を生み出すキャラ的な何かになれた気がして気分もいい)。木の幹が太く成長するイメージを手元に浮かべながら、どんどん落ちてくる氷を積み上げていく。
これでもかというボリュームまで氷が乗っかったら、シロップをかける。とろりとしたマンゴーは思うように流れていかない。てっぺんから下に向けて放射状に、丁寧にシロップを塗る。最後に一振り、ティースプーンで適量のスパイスをかけて、完成。
一度つくりはじめると他の作業と並行できない、やり直しがきかない。最初はそんなかき氷をつくるのが億劫にも思えたけれど、最近は楽しくなってきた。綺麗なかき氷ができる条件とは、ちょっとした工夫、気づき、心の平静をうまく積み重ねることのように感じる。ほんの5分の出来事で大げさかもしれないけれど、私にとってはそういう壮大さがある。

