me and you’s eyeでは、me and youスタッフのそれぞれの生活を支える視点をだいたい毎週お届け。
個人的なことから社会や世界のことまで、自分の速度で感じ、考え、生きていくために。好きなものを好きでいる自分を忘れることなく、深刻さも喜びもどちらも受けとめながらやっていけるように。
目一杯からだを使って限界を知ったとき、からだを知り直すことができる(野村由芽)
2026/10/23
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個人的なことから社会や世界のことまで、自分の速度で感じ、考え、生きていくために。好きなものを好きでいる自分を忘れることなく、深刻さも喜びもどちらも受けとめながらやっていけるように。
昔の自分にしがみつくことを手放したら
運動が習慣にならないことが悩みだったけれど、7月から4ヶ月連続でヨガに行けているから、気分をよくして次は自転車に乗ってみることにした。
高校時代はチャリ通で、いまからは考えられないほど向こう見ずな気質をもちあわせていた。そして遅刻魔だった。カーブを曲がるときにはからだごと自転車を傾けて風になる。すれちがう他校生には「自転車漕ぐのが速い河童」(前髪が短かった)と呼ばれていた。
「自転車に乗ればわたしは風」という自覚を引きずったまま、GoogleMapで片道20分と表示されているコワーキングオフィスを目指す。河童ではない。そんなにひょうひょうとしていられない。わたしは吐きそうな鬼の顔で山手通りを立ち漕ぎをしていた。
かつての自分に縛られて苦しむことがよくある。「こういうことができていたのに」「前はこうだったのに」「これができなくなったらどうしよう」。いまを受け入れられない不安が、自分のじゃまをする。
帰り道は静かな住宅街を選ぶ。森の匂いがした。夜道を走る人に抜かれる。ゆっくりペダルを踏む動作は、ノクターンを弾くことに似てる。目一杯からだを使って限界を知ったとき、からだを知り直すことができる。
あんたよく漕いでたよ、と高校生の自分に話しかける。昔の自分に別れを告げるような寂しさが一瞬よぎったけれど、昔の自分にしがみつくことを手放したら、これからもっと話し相手になれそうな気もした。それは戸惑うようなうれしさで。
(野村由芽)
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