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同じ日の日記

本屋を始める準備をしながら/鈴木美波

本を手に取った人は、その本とどんなふうに付き合っていくんだろうか

毎月更新される、同じ日の日記。離れていても、出会ったことがなくても、さまざまな場所で暮らしているわたしやあなた。その一人ひとりの個人的な記録をここにのこしていきます。2026年5月は、2026年5月25日(月)の日記を集めました。今年7月に国内外の書籍を紹介する本屋Peas(ピース)をオープンした、フリーランスのブックディレクターとして人と本を結ぶ活動をおこなう鈴木美波さんの日記です。

「やることリスト」を作るタイプと作らないタイプがいると思うけど、私は作るタイプだ。前の日の夜かその日の朝にやることを書きだす。やることを忘れたくないし、リストを消すのは気持ちが良い。でもこのやることリストというのは厄介で、それを作っただけでちょっと安心してしまうところがある。

最近は本屋を始める準備をしている。一つが終わるとなぜか二つやることに気付かされるような感じでずっと何かに追われている。そういう状況でいつものようにリスト作りをすると、さまざまなことが果てしなく終わらない。これはまずいと感じて、思いついたらすぐさまそれを実行に移す、ということを意識して過ごしている。今日で3日目。

本屋を始める埼玉の越生は私の地元。山がすぐそばにあって、田んぼや畑も身近な環境。これからの生活のことを考えて決めたけど、こんなところに思うように人が来るのだろうか。正直不安もある。けれどもやってみることで出会える人がいて、おそらく久しぶりの再会や、思ってもみなかった感情や経験が待っているだろう。そう思うと力が湧いてくる。

今はオープン時の書籍リストを作っている。長年の仕事で、新刊を追いかける癖があり、もちろんその面白さはある。けれども実際、人はどんなふうに本と付き合っているのだろうか。

読書会を開催すると、新しい本を追いかける職業的な本との付き合いとは違う豊かな読書経験に触れることができる。若い時に見ていた雑誌、大切な人に勧められた小説。昔読んでたからと絵本を持ってきてくれた中学生、同じ本を何度も紹介しにきてくれる方。これまで25回の読書会を続けて、その人それぞれの時間があって、その傍に本があることを実感させてもらえている。

これから始まる店で本を手に取った人は、その本とどんなふうに付き合っていくんだろうか。日々ほんとうにいろんなことがある中で、生きている。一人一人がどんな時に、どんな気持ちで来てくれるのかはわからない。クタクタかもしれないし、やる気に満ちているかもしれないし、悲しみや怒りの中にいるのかもしれない。本当のところはわからないけど、おげんきですか、応援しています、無理はしないで欲しい、そういう気持ちを選書を通して伝えられたらと思う。

それぞれの人生で、時間が経ってもなんだか手放せない、そんな1冊に巡り合うきっかけが作れたら嬉しい。

鈴木美波

埼玉県生まれ。2007年ごろから東京都内にて図書館、大型書店、インディペンデント書店でのスタッフを経験し、2024年末に独立。フリーランスのブックディレクターとして人と本を結ぶ活動をおこなう。2026年7月、本屋Peas(ピース)をオープン。実店舗とオンラインで、国内外の書籍を紹介している。

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Instagram(本屋Peas)
Website

写真家・宇壽山貴久子さんの作品をPeas店内で展示します。
11/15には作品や本にまつわるトークイベントも。

ONE HUNDRED EIGHT FLOWS OF TIME / Kikuko Usuyama
会期:2026年10月27日(火) -11月21日(土)
営業日:火・木・金・土 11:00-16:00
会場:Peas bookstore(埼玉県入間郡越生町成瀬19-1)
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