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静かで遠い夏の読書/まとまらない自分の日常

me and youのニュースレター「message in a bottle」vol.87

「me and youからのmessage in a bottle」は、個人と個人の対話を出発点に遠くの誰かにまで想像や語りを広げる活動を行なっていくme and youの竹中万季と野村由芽が、日々の対話や記録と記憶、課題に思っていることなどをみなさまと共有していくお便りです。

2026年8月15日に発行したvol.87の日記文通では、野村はこの夏読んだ川端康成『山の音』と戦争の影について、竹中はまとまらない日常とMitskiのライブで感じたことなどを綴りました。me and you’s eyeは、ニュースレターからお引越ししたのでこちらからご覧くださいね。

💌日記文通 – diary and letter –

me and you のふたりの日記と、お互いの日記から考えたことや感じたことにお手紙をそっとそえた「日記文通」のこころみです。わかりやすい言葉を少し脇に置いておいて、誰に見せるでもない自分のためだけの言葉をまず書いてみること。その言葉を親密な場所ですこしだけオープンにすること。朧げな自分の思考の輪郭を朧げなまま認識し、それを共有することで、個人が個人のままでいながら誰かと生きる未知の豊かさに迷いながら辿り着けるのではないか? という実験の記録です🚶

📗2026.8.13 – 野村由芽:静かで遠い夏の読書

文庫の本棚にじっと耳を澄ませて、これ、という本を手にとった。川端康成『山の音』。

主人公は尾形信吾、62歳。1歳上の妻と息子夫婦と住んでおり、老いの気配が迫り来る暮らしのなかでは、かつての憧れの人に似た息子の妻・菊子が心の支えだ。1949年に連載がはじまり、1954年に一冊にまとまったそうだけれど、老境を憂う62歳の信吾はいまの80歳ぐらいの雰囲気がある。調べてみると、1947年頃の平均寿命が、男性50.06年、女性53.96年だったというデータがある。ちなみに1945年は、男性23.9歳、女性37.5歳という調査も見つける。異常な短さ。『山の音』にも、静けさのなかに当たり前に戦争の影がある。戦地に行った息子、未亡人となった女たち。直接的ではなくとも、生きることのほうに残された者たちのやるせない戦いのようなものが、四季折々の鎌倉の植生とともに描かれる。

📕2026.8.13- 竹中万季:まとまらない自分の日常

あれこれと日々忙しく過ごしながらも、いつまで経ってもぼんやりと宙に浮いている感じがする。年をとったら、場所が変わったら、きっと何かが変わるし、いつかはっきりと何かがわかるときがくるのだろう、と思っていたけれど、今のところそんなことはない。私はそうは思わないと感じることも多ければ、ぱっと伝えるのも苦手で、自分のペースを乱されたくなくて、人と共有するのがわかりづらい趣味ばかりで、そういう自分が面倒くさくて嫌になる。一方で、それらは自分のことを面白いと思える部分でもあって、本当に裏表なのだ。ふとした瞬間に裏返る。私はシラフだとだいたい裏返らないから、喉が回復して話せるようになって、いろんな友人と飲みに行って話す時間が何よりも楽しい。まとまらないことをまとまらない言葉で話せる貴重な場所が、私にとっては酒がある場所なのだ。

そんなことをもやもやと考えながら、Mitskiのライブのことを思い出す。

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