💜関連記事💜
・すべての人の装いを肯定するところから始めたい。杉田聖司が信じるファッションの力
・熊井晃史×me and you。揺らぎながら、信頼に値する社会を思い描くこと
SEASON、FOME & hibi、暇午後-𝐡𝐢𝐦𝐚𝐠𝐨𝐠𝐨-、bluesis、見た目!
2024/7/19
4月28日・29日の2日間にわたり、「SHIBUYA CAST.(渋谷キャスト)」でおこなわれた7周年祭。「不揃いの調和」というテーマを踏まえ、インディペンデントファッションマガジン『apartment』が、自身が好きで実際によく通っているという5つのセレクトショップを一堂に集めたポップアップ『ニューブティック』を開催。
循環型のファッションを提案し、国内でまだ取り扱いの少ないアーティストのブランドも多数扱う「SEASON」、スーザン・チャンチオロやBLESSといったデザイナーズと古着をミックスしたセレクトが魅力的な「FOME/hibi」、ファッションのみならず、コミュニティなどさまざまな活動を行う「暇午後-𝐡𝐢𝐦𝐚𝐠𝐨𝐠𝐨-」、新宿6丁目の住宅街に位置し、レースや花柄のアイテムなどオーナーの“好き”が詰まったbluesis、店主もデザイナーであり、ファッションに関することを続けていきたい人たちのためのお茶会なども開く「見た目!」……。
それぞれにファッションの傾向は少しずつ異なりますが、どこのショップにも、お店に関わる人たちの「これ着たい!」「最高!」という心の叫びが聞こえてくるようなアイテムばかりが並んでいます。いまのファッションの風景を確かにつくる、5ショップの魅力を『apartment』主宰の杉田聖司さんの言葉で紹介します。
「SEASONがお店としてオープンしたのは2024年4月で、ちょうど『ニューブティック』と近い時期でした。でもお店ができる前からポップアップを時々開催されていて、そのポップアップが朝7時から夜10時までオープンしていて、どういうことだろう? と(笑)。実際にポップアップに行ってみると、オーナーの(平江)マルコさんからは『自分の好きな服に囲まれた、自分の好きな空間に1秒でも長くいたいし、その空間を1秒でも長く開いていたい』という話を聞けて、なんて素敵なんだ! と感心したことを覚えています。それだけの熱量があるとやっぱり信頼できる。そこまで自分の生活と服の距離感が近いことに興味を引かれましたし、そんな人をこれまで見たことがありませんでした。
マルコさんの装いやSEASONの服はかわいいしかっこいいし、人をリラックスさせるようなパワーを持っていると思います。『ニューブティック』でも来てくれた人たちとのコミュニケーションが本当に丁寧でその心の余裕はどこから? と気になっています。ウェブサイトを見ていても一つひとつのブランドの説明に愛を感じて、マルコさんの暖かく芯の通った想いが伝わってくる魅力的なショップです」
SEASONのオンラインショップ。取り扱っているブランドのアイテムのストーリーが、オーナーのマルコさんの言葉で細やかに綴られている
SEASON
SEASONは世界中のエシカルなクリエイターと協力し、“循環”型のファッションを提案するセレクトショップ。
愛を込めて生み出されたものが、誰かの価値として永く“循環”し、愛されながら生き続けることを願い、フェアトレード、アップサイクル、手仕事など、愛の詰まった美しいクリエイションを世界中から集めて紹介している。
everyone’s mother やsulaなど、まだ国内では取り扱いの限られたブランドを多く扱う。
東京・表参道には小さな実店舗 Seasonvoice Studio が2024年4月にオープン。
実際にクリエイションを見て体験し、買い物を楽しめるスペースになっている。
住所:東京都港区北青山3-12-7 カプリース青山 #402
営業時間:12:00〜20:00
店休日:不定休
店舗情報
「FOMEの皆さんは僕より若く、着飾ることへの好奇心が強く感じられるショップです。『おもしろい格好したい!』という衝動が常にスタートにあるから、FOMEが提案する装いはある意味で消費者視点で、『それもあり……!』と自分も着たいと実際に思わされます。店舗を始める前からオンラインで自分たちが着たい服を集めて広めるということをやっていた人たちだからこそ、それが今もちゃんと反映されてる感覚があって、 今の時代においてもこうした価値観が反映されているショップって面白いし、それが大阪という場所で共感されている状況も興味深いです。
実際に東京にいてもいろんな局面でFOMEの名前を耳にしますし、今回もFOMEを目当てに来てくれる方も多かったので、自分たちが主語になってやりたいことをやるインディペンデントな動きの必要性が感じられます。元々はメンズウェアのみの取り扱いでしたが、最近ではhibiというウィメンズのお店も始めていて、今回は一緒にお声がけしました」
FOME & hibi
ヴィンテージ、レギュラー、デザイナーズ古着を販売するポップアップ兼オンラインショップとして 2020年にオープンし、2021 年に大阪中津にセレクトブランドと古着をミックスした実店舗をオープン。また 2023 年に洋服をメインに書籍やインテリアを扱う姉妹店「hibi」を同じく大阪中津にオープン。スーザンチャンチオロやBLESS といったデザイナーズや、新進気鋭の国内外のデザイナーズブランドを多数取り扱う。
東京の書店flotsam booksのポップアップや、edtion.nord、デンマークのPLETHORA MAGAZINEなど、ジャンルを超えた様々なイベントを多数実施。
住所:大阪府大阪市中津3-20-14
営業時間:12:00〜20:00
店休日:不定休
店舗情報
「暇午後は元々コロナ禍に、オンライン上でみんながコミュニケーションを取り合う場をつくる活動をしていました。当時僕自身もそこに参加していて、今振り返ってみると安心できる大切な場所でした。それから移動型セレクトショップとしての活動が始まったとき、それまでの内側に向けられた意識が外側に広がっていった印象があって、そのコミュニケーションの姿勢に共感しました。
暇午後の中里周子さんとアチキ(三宅英正)さんはずっと一緒に活動されているお二人。元々はファッションデザイナーとフォトグラファーでもあるので、お二人によるつくり込まれたビジュアルやオリジナルアイテムなど、先見的なファッション感覚にいつも惹かれます。現在も店舗はなく、ポップアップやレイヴイベントに出展する形で活動していて、異なるコミュニティの中に自分たちの居場所を見つけているのも興味深いポイント。そういうオープンなマインドの人とぜひご一緒したいなと思ってお声がけしました。緩やかに生活と創作を結びつけるコミュニティをつくる活動がどんどん発展して、今はショップになっているので、お二人が実践していることには軸が感じられますし、これからどんな形にまた変わっていくのか、とても楽しみです」
暇午後-𝐡𝐢𝐦𝐚𝐠𝐨𝐠𝐨-
tribe grunge,romantic battle royale,soft trash coreといったワードをテーマに制作したオリジナルプロダクトや、ヴィンテージアイテムの販売をおこなっている。昨年にはLA、NYでのポップアップストアも開催し、海外での活動も展開中。
ショップやブランドの他にも、コミュニティをはじめとして様々な活動を行っている。
店舗情報
「bluesisは基本的に古着を扱っていて、今回のイベントではタイで買い付けたアイテムを出してくれました。僕自身はこれまで触れてこなかった系統の服が多いですが、どれも案外合わせやすいし、街の中でサラッと着ている人を見たいなと思えるアイテムばかり。純粋にいろんな人にもっと見てほしいなって思ってお呼びしました。古着のなかにおりまぜられたブランドのセレクトにも注目です。
bluesisは原宿にあった店舗が閉まるタイミングで初めてお邪魔して、そのときは友達の付き添いくらいの気持ちだったのですが、bluesis視点のメンズが着れるアイテムもあったり、オーナーの(小笠原)静さんが『こんな人いたら超可愛い』と言いながらおすすめしてくれるスタイリングも面白くて、お客さん一人ひとりの可能性を広げてくれるいいショップだなと感じました。静さんご自身がbluesisを象徴するような装いの方で、そこにも厚い信頼を置いています」
「見た目!は、デザイナーでもあるミクさんが服を作りながら営んでいるお店。だけどお店に並ぶミクさんの服は一部で、世界中から見たことのない服やアクセサリーが所狭しと並んでいます。普段のミクさんは静かな印象ですが、アイテムの話になると声が一回りか二回りくらいは大きくなる印象も。強い熱量で紹介してくれます(普通なら自分の作った服を一番売りたいはずなのに……)。
『お茶会』という体で、どうやって服を届けるか、どうやって服を作り続ける環境を維持できるかという会話をする機会をつくったり、本人がつくり手だからこその活動も面白いです。今の日本に絶対にそういう場所が必要だし、つくり手と受け手の双方の立場からもここにしかない服がある良さが生きている場所だなと実感します。見た目!に行く度に、見たことのないスタイルのお客さんとも出会うことができて、確実にその輪は広がってきている。ここで生まれるファッションから目が離せません」
ファッションマガジン『apartment』を主宰する杉田聖司さんに、「SHIBUYA CAST.(渋谷キャスト)」の7周年祭の『ニューブティック』を振り返ってお話しいただきました。「すべての人の良さを肯定するところから始めたい」と話す、杉田さんのファッションに対する想いも。
記事はこちらから(撮影:野口花梨)
杉田聖司
ファッションを中心に企画、インタビュー、シューティング、ライティングなどを行う。2019年よりファッションマガジン「apartment」を主宰し、個々人の装いを起点とした雑誌発行やイベント制作などを継続中。また10代向けのクリエーションの学び舎「GAKU」事務局としても活動する。
プロフィール
SHIBUYA CAST. 7周年祭
「不揃いの調和」「頼まれなくたってやっちゃうことを祝う」
2日間とその前夜、渋谷キャストの願いと問いかけを、共に考える試み
※本イベントは終了しています。
複合施設「SHIBUYA CAST.(渋谷キャスト)」は、2024年4月28日(日)に迎える 7 周年を記念し、28 日(日)と29日(月・祝)の 2 日間、施設内各所で様々な思考と体感を促す「渋谷キャスト7周年祭」を開催。 周年祭では、渋谷キャストの建築コンセプトでもある「不揃いの調和」に改めて向き合い、その願いを叶えるための問いかけを行っていきます。それは、渋谷キャストのあり方を探る取組みであると同時に、これからの都市の姿を考える契機に。
今回は、その姿勢のひとつとして「頼まれなくたってやっちゃうことを祝う」をテーマに掲げます。2日間とその前夕にかけて、 様々なクリエイターと共に、特別編集誌の創刊号配布、トークイベント、ポップアップショップ、フォトワークショップ、インスタレーション、パフォーマンス、サンクスセールを実施。訪れる人々と共に「不揃いの調和」を考え、想いを深める機会となることを願います。
開催日程:2024年4月28日(日)、4月29日(月・祝)
開催時間:11:00〜19:00
開催場所:渋谷キャスト(スペース・ガーデン)
・年刊特別編集誌「SHIBUYA CAST. memorial booklet」創刊
「頼まれなくたってやっちゃことを祝う」をめぐる3者インタビュー 話者:田中元子、若林恵、猪瀬洸平
・若林恵 ×tofubeats「発注向上委員会立ち上げ !? 記念トークイベント(仮)」
4月27日(土)開催 特別編集誌関連企画
・東京・大阪から5つのショップが集い、新しい装いを祝う Popup Project「new boutique」
参加ショップ:SEASON、bluesis、FOME、暇午後、見た目!/キュレーター:apartment
・5人の写真家が切り取る、装いと社会の縮図「集合写真ワークショップ」
参加写真家:東海林広太、立山大貴、榊風人、野口花梨、藤井さくら
・自立する個性が交差し“これからの渋谷”を描く Popup Event「marchers(行進者)」
参加ショップ:Bastone Tokyo、Dill Pickle Club、アイアンドアイ、PLEST、California Spice キュレーター:muddler
・Performance:耳を澄ますことで届く、凝縮された響きたち
出演:アキビンオオケストラ、川口貴大、高橋美佳/競技:石すもう/キュレーター:宮﨑岳史
・渋谷キャスト7周年祭の環境を祝福する、2日間限定のアートインスタレーション
作家:鉄彫刻家・飯田誠二、美術家・光岡幸一
・7 周年の感謝を届ける、2 日間限定の「Thanks Sale」
参加ショップ:CITYSHOP NOODLE、Marked
イベント情報
newsletter
me and youの竹中万季と野村由芽が、日々の対話や記録と記憶、課題に思っていること、新しい場所の構想などをみなさまと共有していくお便り「me and youからのmessage in a bottle」を隔週金曜日に配信しています。
me and you shop
me and youが発行している小さな本や、トートバッグやステッカーなどの小物を販売しています。
売上の一部は、パレスチナと能登半島地震の被災地に寄付します。
※寄付先は予告なく変更になる可能性がございますので、ご了承ください。