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同じ日の日記

愛する能登、長かったこの1月のことを忘れない/wade

味噌汁との再会、冬のチューリップ、能登半島地震、考え行動し続けた1か月

毎月更新される、同じ日の日記。離れていても、出会ったことがなくても、さまざまな場所で暮らしているわたしやあなた。その一人ひとりの個人的な記録をここにのこしていきます。2024年1月は、1日31日(水)の日記を集めました。公募で送ってくださった、金沢で古着屋のスタッフとして働きながら、服を心地よく着るためのサービス「Hi,MY」を運営しているwadeさんの日記です。

ひさしぶりに味噌汁を飲んだ。
平野紗季子さんのPodcast番組「味な副音声」にて、私が好きな食べ物というテーマで、お便りを送ったことがあるくらい大好きな食べ物、味噌汁。
妊娠が発覚してからというもの、つわりの影響か大好きな味噌汁さえも体が受け付けなくなってしまっていた。食べられないというより、食べたいと思わない、思えないというのが正しい表現。食の好みが変わってしまったのでは? と、長年連れ添った相棒と別れるときが来てしまったのかもしれない……という感覚に不安と寂しさを覚えつつ、今食べたいと思うものを食べて日々を過ごしていた。そんな相棒、味噌汁との再会は実に3ヶ月ぶりである。また再会できる日が訪れて本当に嬉しい。身体にも心にも沁みた朝ごはんだった。

職場に出勤すると、前日に花瓶に生けたチューリップが天井に向かってスッと背筋を伸ばして佇んでいた。室内の暖かさのせいか昨夜退勤する頃にはすっかり開いてしまっていた花びらも、今朝は固く閉じられていて、真っすぐに伸びた姿が凛々しい。そんな姿を目の当たりにして私の背筋もシャンと伸びた。チューリップは春のお花というイメージがあるけれど、毎年冬の時期にも少しだけお花屋さんに並び始める景色に癒される。まだまだ寒いけれど、もうすぐ暖かな春が訪れるのだなあと妄想してウキウキしてしまう。色や花びらの形状など様々な種類があるチューリップ。私は花びらの端がフリル状になっているものが好きだ。オウムの羽根に似ていることから「パーロット(=オウム)」と呼ばれているのだそう。なんだか格好良い……今年もきっとお花屋さんで見かけるたびに連れて帰るのだろうな。春までに何回出会えるかな?

私は、古着屋のスタッフとして働いている。
お店の場所は、金沢市。1月1日に能登半島地震が起きた石川県にある。
幸いお店のあるあたりは大きな被害もなく、お店も街の景色もいつも通りの日常を取り戻しているように見える。だけど、それまでの日常とは明らかに変わってしまったことを肌でひしひしと感じる。みんなが心に何かを抱えながらも懸命に一日一日を生きている。私自身は、住んでいる家も職場も離れて暮らす家族もみんな無事で、何不自由なく生活ができている。そのことに罪悪感を感じてしまうほど、被災地の悲惨な状況に胸が張り裂けそうになり涙が止まらなくなる毎日。心を落ち着かせるためニュースや情報を見ないようにしたりもしたが、そうなると今度は自分の作り出す妄想の世界に溺れそうになる。私一人が心を沈ませていたところで何にもならない、分かってはいても整理をつけられない気持ちたち。私のような想いを抱えながら外では無理にでも明るく振舞っている人たちがきっと大勢いる。そんな私たちが、愛する能登のため、自分に/自分たちにできることは何か、考え行動し続けた1ヶ月だったように思う。被災地と私たちの奮闘は、きっとまだまだ続く。だけど私は、長かったこの1月のことを忘れない。
2月はどんな日々が待っているのだろう。

wade

1994年、富山県生まれ。服の「仕立て」「修理」「再構築」を手段に〝服を心地よく着る〟ためのサービスHi,MYを運営。ラジオ、日記など、誰かの想いに触れるのが好き。
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me and youの竹中万季と野村由芽が、日々の対話や記録と記憶、課題に思っていること、新しい場所の構想などをみなさまと共有していくお便り「me and youからのmessage in a bottle」を隔週金曜日に配信しています。

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me and youが発行している小さな本や、トートバッグやステッカーなどの小物を販売しています。
売上の一部は、パレスチナと能登半島地震の被災地に寄付します。

※寄付先は予告なく変更になる可能性がございますので、ご了承ください。

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