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同じ日の日記

明日はいよいよ出産のための入院/塩川いづみ

夫の育休申請で考えたこと。ぼんやりと触る大きなお腹

毎月更新される、同じ日の日記。離れていても、出会ったことがなくても、さまざまな場所で暮らしているわたしやあなた。その一人ひとりの個人的な記録をここにのこしていきます。2022年9月は、2022年9月25日(日)の日記を集めました。出産のための入院前日の一日を記録した、イラストレーターの塩川いづみさんさんの日記です。

明日はいよいよ出産のための入院。
朝9時にマネージャーのMさんとテレビ電話をする。この夏の忙しさに頻繁にやりとりはしていたものの顔を合わせるのは久しぶり。仕事の連絡は早々に終わり、たわいない話に相槌したり互いに沈黙があったり、メールでは感じられない間合いを味わう。ショートカットが似合う彼女。髪を切ってよりスッキリしていた。

さて、夫が息子を公園に連れ出してくれている間に明日の用意をしなくては。今年は作品集を出し展示も続いたので仕事を先に延ばしたり逆に産後の締め切りを前倒ししたりで、結局今日まで仕事をしていた。「ドライブで寝かしつけしてから帰るね」とラインが届く。もう少し時間はありそうだ。
10月からは夫が1年間の育休を取ることになった。彼が育休申請をする時、育休の理由を書く欄に「育児がしたい」という選択肢がなかったことに疑問を抱いていた。男性だって育児がしたい人がいるのになかなかそれを公に言える環境はないのかもしれない。仕事と育児、頑張らなくては。
ぼんやり大きなお腹を触る。いつもよりよく動いている気がする。元気に生まれてねと祈るしかないこの直前の気持ち。嬉しさと不安。母がこんなそぞろな気持ちでいることが後ろめたい気がしてごめんねとお腹を触る。昨日、限定公開のストーリーに息子2歳の誕生日ケーキをアップしたら思いがけず方々の友人達からメッセージが届き、繋がりに励まされる。ありがとう。どんと構えて明日を迎えよう。全てはなるようになるしかない。

塩川いづみ

イラストレーター。長野県生まれ。2006年多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。広告、書籍、雑誌、プロダクトのイラストレーションを中心に活動するほか、作品の展示発表も行う。対象の内面や背景に思いを巡らせて描かれる率直な表現が、幅広く好まれている。

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