一人暮らしの、孤独でいられる安心感
2026/10/8
どんな家で、誰と、どうやって暮らしていますか? 一日のなかで最も長い時間を過ごすことの多い家が、自分を繕わずに存在できる場所であったなら、きっとたよりない日々を支えるものになるはずです。今回は、家での暮らしを大切にしながら、それぞれ工夫を凝らしながら日々を営んでいる方々に、いくつかの質問に答えていただきました。
この記事では、漫画家、イラストレーターのオカヤイヅミさんに、家での暮らしについて教えていただきました。生まれた家を出て一人暮らしを始めたときに、孤独でいられる安心感を得たというオカヤさん。生活を気楽に続けていくために、古いものに囲まれ、ぐにゃぐにゃした不安定な時間を多くもつようにしているという自らの暮らしのこと。
1. 暮らしている家の好きなところ、好きになるために工夫しているところについて教えてください。
2. 誰かと暮らすことや、ひとりで暮らすことの選択をどのように行いましたか? そのうえで、「生きることのさまざまなたよりなさ」に日頃どのように向き合っていますか?
3. 暮らしている地域の好きなところは?
4. 家にある、たよりない日々を支えてくれるものとは?
5. 部屋の間取りを教えてください。
1. 暮らしている家の好きなところ、好きになるために工夫しているところについて教えてください。
好きなのは、古いところです。新しいマンションの、流行りのデザインや画一性、そして単純に「新しさ」に疎外感をおぼえるので、物件を雰囲気や意匠で選ぶと、結果的に築年数が自分の年齢と同じくらいのものになりがちです。入居時点ですでに古いと以前の借主によって使われてこなれていて、自分も好きに生活できます。食器など、生活雑貨に古道具が多いのも、生活を気楽に続けていくためかもしれません。
2. 誰かと暮らすことや、ひとりで暮らすことの選択をどのように行いましたか? そのうえで、「生きることのさまざまなたよりなさ」に日頃どのように向き合っていますか?
生まれた家を出て一人暮らしを始めた時に、孤独でいられる安心感で気持ちも体調も良くなったので、それが向いているのだと気づいてからは、概ね一人で暮らしています。
対外的な自分や作るものの強度を保つために、言葉にしたり、白黒つけなくていいような些末な生活時間が人より多く要るように思います。ぐにゃぐにゃした不安定な時間が多くあることで、外に出たり家に人を招いたりする準備ができます。
3. 暮らしている地域の好きなところは?
古く静かな住宅地で、道が程よく狭く、見通しが良すぎず、大通りから小道に折れると、近所という内側に入る感覚になれるので落ち着きます。庭がある家が多いので、塀からはみ出た庭木によって季節がわかるのも楽しいです。少し歩くと巨大なターミナル駅にも出られて、たいていの用事も欲望も事足りるし、人混みも楽しめるので、散歩コースを気分によって調節できるところも好きです。
4. 家にある、たよりない日々を支えてくれるものとは?
とくに掃除洗濯に関しては自分の能力をまったく信用していないので、最近買ったロボット掃除機をとてもたよりにしています。
どんな家で、誰と、どうやって暮らしていますか? 一日のなかで最も長い時間を過ごすことの多い家が、自分を繕わずに存在できる場所であったなら、きっとたよりない日々を支えるものになるはず。
賑やかな場所で暮らしたい。自然に囲まれて静かに過ごしたい。パートナーと、家族と、仲間と、一人で暮らしたい。たくさんのものに囲まれて暮らしたい人もいれば、ほんの少しの好きなもので満たされる人もいます。暮らしの選択肢は、数え切れないほどあるはずで、誰かにあり方を決められるのではなく、自分自身が本当はどんなふうに暮らしたいのかに耳を澄ませ、望むかたちを見つけていけたなら。
今回は、家での暮らしを大切にしながら、それぞれ工夫を凝らしながら日々を営んでいる方々に、いくつかの質問に答えていただきました。年齢もジェンダーも、住む場所も暮らし方も異なる人たちの生活を覗いてみると、暮らしのあり方は人の数だけ存在していることをあらためて実感します。生活の中で一人ひとりが実践している小さな工夫や、身近なものの愛し方を知ることで、たよりない日々のなかで大きなものに飲み込まれずに生きていく支えとなる、自分なりの暮らしを考えるきっかけになったらうれしいです。
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オカヤイヅミ
漫画家・イラストレーター
月刊コミックビームで『ひとごとごと』連載中。
プロフィール
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