連載
バラのオブジェ、水中映画館をイメージした内装。「思う存分映画に浸って」
2026/10/14
映画館でスクリーンを見つめるとき、わたしたちは、他者の背景にある日々やその連なりを、社会の一面を、複雑さや曖昧さを、ひいては自分自身を見つめているのかもしれません。
この連載では、me and youがおすすめしたい映画館をご紹介。独立系のミニシアターを中心に、me and you little magazineで記事を制作した作品やカルチャートピックスページでおすすめした作品を上映している映画館から、つくる人をバックアップする映画館、地域に根ざした場づくりをおこなっている映画館、その場ならではの鑑賞体験ができる映画館まで、さまざまな映画館で働く人たちの声を集めます。
今回ご紹介するのは、大阪・西区の九条で1997年に開館したシネ・ヌーヴォ。インディペンデントの新作から過去の名作まで上映し、生演奏付き上映会「ピアノーヴォ」といったユニークな取り組みもされています。支配人の山﨑紀子さんに言葉を寄せていただきました。
記事の最後には、「あの映画館へ行こう」のGoogle Mapも埋め込んでいるので、お散歩や旅のおともにぜひご活用くださいね。
1.どんなことを大切にしている映画館ですか?
シネ・ヌーヴォは1997年に大阪西区の九条にオープンしました。外観のバラのオブジェや水中映画館をイメージした内装は大阪を拠点に活動していた劇団維新派が手掛けてくれました。映画は日々生活する人にとって非日常の世界だから、上映する映画館も特別な非日常空間で、思う存分映画に浸ってほしいという思いが込められています。
昨今の不安な社会情勢のなか、よりその思いは強くなっています。日常から切り離された映画館に身を置き映画と出会うことで、一時的ではあれ、心が安らいだり、新たな思考が芽生えたり、泣いたり笑ったり怒ったり感情を解放して、また明日を迎えることに少しでも前向きな気持ちになって日常に戻ってもらえるような場所であったらいいなと思います。
2.上映作品を選ぶとき、プログラムをつくるときのこだわりは?
とにかく上映可能な作品ぜんぶ。という意気込みはずっと変わらないのですが、そうもいかず、シネ・ヌーヴォの映画館としての関西での立ち位置、役割を考えて選ぶことが増えたように感じています。独自の特集上映については、映画人の生誕100年記念などの節目特集のほかには、これまで観られてこなかった監督作品や新作に合わせた過去作の特集など、自分たちがいま観たい! といった気持ちも大いに反映されていると思います。
企画した特集を年代順やテーマなどにこだわって組む上映スケジュールを支えてくれているのは映写技師で、35mmフィルム・16mmフィルム・デジタルとバラバラな上映素材ひとつひとつを上映の準備から本番まで引き受け、その存在なしにはヌーヴォのラインナップは成り立たないということもとても大切なことです。
3.「わたしとあなた」というテーマで、これまでに上映した作品やこれから上映予定の作品からおすすめしたい映画を1本教えてください。
『ナウ・アンド・ゼン』(2026年/監督:西原孝至)
1923年、関東大震災の混乱のなかで、警察や自警団などが朝鮮人や中国人を虐殺するジェノサイドが起きました。犠牲者は6,000名とも言われていますが、いまだ日本政府はこの問題を公式に認めていません。そして2026年の現在、日本人による外国籍の人々への差別はなくならず、排外主義が支持される社会で私たちは生きています。過去の過ちをみとめて謝罪し、困難な状況にある人々の助けになりたい、そんな当たり前のことができない社会を変えるためにできること。監督の西原孝至さんは「本作を契機に、ひとつでも多くの対話が生まれることを願っています」とコメントしています。まずは家族や友人と、シネ・ヌーヴォのお客さんと、映画の後に話がしたいなと思います。
📽️『ナウ・アンド・ゼン』
2026年11月14日(土)〜シネ・ヌーヴォにて上映
監督・撮影・編集・プロデューサー:西原孝至
プロデューサー:増渕愛子
撮影:山崎裕、飯岡幸子、井手口大騎ダグラス
音響:黄永昌
録音:川上拓也
編集:大川景子
音楽:篠田ミル
製作・配給:ML9
📍映画館情報
シネ・ヌーヴォ
住所:大阪市西区九条1-20-24
電話番号:06-6582-1416
休館日:上映スケジュールに準ずる
URL:
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Instagram
🚶♀️映画館を訪れてみよう
me and youがご紹介したい映画館を地図にまとめました。
シネ・ヌーヴォさんのほか、全国の映画館を都度更新していきますので、おでかけのお供にチェックしてみてくださいね。
山﨑紀子
シネ・ヌーヴォ支配人。
美術専門学校で油彩を学んだ後、梅田花月の夜だけ映画館「シネマワイズ」でのアルバイトを経て、2001年シネ・ヌーヴォに入社。2008年支配人に就任。特集上映の企画や作品の選定、劇場運営全般の仕事に携わる。
プロフィール
「没後60年 映画監督 清水宏監督特集・第2弾」
5月に開催し大好評だった清水宏監督特集第二弾!
『有りがたうさん』『按摩と女『蜂の巣の子供たち』『小原庄助さん』など代表作をはじめ、国立映画アーカイブ所蔵の貴重な作品など全15作品を上映。
10/24(土)より。
写真:『蜂の巣の子供たち』神戸映画資料館提供
上映情報
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