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声のポスト

なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思う? 28人の声

生活に密接に寄り添う音楽を介し社会性・政治性を新たに見出す『Candlelight』とコラボ

言葉にならない違和感が生まれるきっかけになったできごとや、社会に存在する問題まで、ひとつの「問い」を立てて、公募を含めたさまざまな人の声を集める「声のポスト」の企画。複数の声から、それぞれの思いや語りが同時に存在する社会そのものを見つめていきます。

一人で聴いたり、パフォーマンスを見たり、歌詞を読んだり、歌ったり、口ずさんだり。長い歴史のなかでさまざまな形で愛され続けてきた音楽は、その時代を映し出してきたものでもありました。そして、音楽を通じて届けられた人種差別や性差別などの社会に存在する不平等に対するメッセージは人々の心を動かし、社会を動かしてきました。

me and youでは、生活に密接に寄り添う「音楽」を介し「社会性・政治性」を新たに見出すイベントプロジェクト『Candlelight』と共に、「なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思う?」をテーマに声を募集。質問には、主催者のアリサさん・廣松さん、メインビジュアルを手がけてくださったあないすみーやそこさん、そして11月21日(火)のライブに出演するHomecomingsの福富優樹さん、手話パフォーマーの中嶋元美さんも答えてくれました。

わたしたちの生活は個人的なものでありながら、同時に社会的であり政治的でもあるもの。一方で、日本では「音楽に政治を持ち込むな」という声を耳にすることも多い現状があります。生活に密接に寄り添っているがゆえに、なかなかあらためて言葉にすることがなかったかもしれない「音楽」に対する一人ひとり異なる思いを通じて、音楽の持つ力を再確認し、音楽との関わり方を考えていく機会になったらうれしいです。

🕯️質問
1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?
2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?
3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?
4.音楽が自分自身のアイデンティティを肯定してくれると感じたことはありますか? エピソードとともに教えてください。

いつか音楽を自分で作ったり大きなステージでライブをしてみたい、という夢が自分を肯定してくれた

福富優樹さん

1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?

音楽に限らず、物語をたのしむことや笑うこと、あらゆるカルチャーもそうだと思うのですが、「生物」として生きることには直接的には必要のないようなことだとしても、ぼくたちは感情というものを捨てることができないからだと思います。

2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?

あの手この手で声を掻き消そうとする手段のひとつだと思うし、実際にそれが知らず知らずのうちに社会に染み込んでいって、政治に対するアレルギーのようなものを引き起こしているような気がします。

3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?

自分のなかのライブラリーとしての音楽も、自分が表現するもの/作るものとしての音楽も、昔も今も変わらずとても大切なイマジナリーフレンドのような存在です。

4.音楽が自分自身のアイデンティティを肯定してくれると感じたことはありますか? エピソードとともに教えてください。

小さな頃から音楽というものが自分にとって常に自分を肯定してくれているものであり続けてくれているような気がします。不器用でどんなこともいまいち上手にできなかったり、吃音やその他のいくつものコンプレックスのせいで自分にがっかりしていた小学生の頃の自分にとって、音楽そのものもそうですが、たくさんアーティストを知っていることや下手ながらギターが弾けるようになったこと、そしていつか音楽を自分で作ったり大きなステージでライブをしてみたい、という夢が自分を肯定してくれたのだと思います。

福富優樹

1991年5月生まれ石川県出身。Homecomingsのギターと作詞を担当。

海外ツアーや、今年5度目となる「FUJI ROCK FESTIVAL」出演など、2012年の結成から精力的に活動を展開。心地よいメロディに、日常のなかにある細やかな描写を紡ぐような歌詞が色を添え、耽美でどこか懐かしさを感じさせる歌声が聞く人の耳に寄り添う音楽で支持を広げている。2021年IRORI Recordsからメジャーデビュー。今年4月にMajor 2nd AL「New Neighbors」をリリース。

『Candlelight』ではHomecomingsとしてライブで出演。

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私は逆に聴者の皆さんに聞いてみたい。音楽がない社会についてどう思いますか?

中嶋元美さん

1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?

私は逆に聴者の皆さんに聞いてみたい。音楽がない社会についてどう思いますか? と聞いてみたいです。
社会の一員でいる以上、音楽と触れ合うことはあると思います。私には音がありませんが、なくても生きてはいける。聞こえない私から見ると、耳から受け取るメロディーや歌詞、歌声でのコミュニケーションのように見えています。
友達になるとき、恋人になるとき、「好きな音楽なに?」「今好きなアーティストいる?」そのようなコミュニケーションから仲良くなる。聞こえない世界にはない文化なのかなと思います。

2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?

誰のために、誰に聞いてもらいたくて、によるのではないかなと。
政治というとすごく難しいように見えますが、世の中の今の流れや今の考え方、生き方、たくさんの人に共感してもらうためにもそのようなテーマにする曲もある。たくさんの人に共感を得られなくても少数派に共感してもらう音楽もあると思います。
歌詞でしか私はわかりませんが、今の曲には時代の背景があるのか昔の曲に比べると曖昧な表現が多かったりして、レコード機械からスマホで音楽を聞くのに変わってきてる歴史のように、歌詞にも歴史があって見ていて面白いです。

3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?

私にとってはストレス発散の場所です。

聞こえない人の中にはもちろん、音楽が嫌いな人もいます。聞こえないのに聞こうとする意味がわからない人だったり、手話歌というと聴者がやってることの方が圧倒的に多いので、「何を言っているのかわからない」「手話で遊ばれてしまってる」という印象を持つこともあると思います。手話はろう者にとって大切な言葉なので、そのようなことをされたら嫌いになる理由もわかります。「聞こえない人に楽しんでもらうために音楽に手話をつけたから見て」とか「わかるでしょ?」と強要するのも違うのかなと。

逆に私のように聞こえなくても歌詞や振動で音楽を楽しむ人もいると思います。
私はもともとバレエをやっていて小さい頃から音楽と共に成長してきました。高校生のときに聞こえなくなってからは音楽の趣味が変わり今はハードロックが大好きです!
振動に合わせてバンドの演奏が目で見える、一緒に参加できる(ヘドバンやモッシュなど笑)。その場所に行くことが趣味であり、私にとってストレス発散に繋がってます(笑)。

4.音楽が自分自身のアイデンティティを肯定してくれると感じたことはありますか? エピソードとともに教えてください。

音楽というより手話パフォーマンスが私自身のアイデンティティを肯定してくれてるなと感じたことはあります。

実際に私のパフォーマンスを見た方の大半は「聞こえないのにどうやってリズムを合わせているの? 聞こえないのにすごい」などという感想が多いですが、たまに少数の感想の中に「空間に映像が見えた」「手話はわからないけど歌詞が目で見てわかるのが面白い」「いつも聞いていた音楽が違うものに見えた」などパフォーマンスに対する感動や意見をもらえたとき、ろう者として手話で歌うこと、私の声は手であるということを感じてくださる方がいると思うとこの活動をやってる意味がありますし、私が音楽と共に私らしくいられる気がしています。

中嶋元美

『私の声は手』。小さい頃から踊ることが大好き。高校生の時に聴力を失い、手話に出会う。現在は手話で歌い踊るアーティストとして活動の場を広げ、表舞台に立つだけでなく、テレビドラマや映画の手話指導にも携わっている。また耳の聞こえないアイドルとして数々のステージに挑戦中。

『Candlelight』では、Homecomings / さらさ(band set)のライブ中にKuniyとともにライブ手話パフォーマーとして公演に参加。

「音楽に政治を持ち込むな」という言葉にすら政治性があることに気がついてほしい

あないすみーやそこさん

1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?

社会が音楽とともにあったから、これからもあるのかなと思います。

2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?

音楽に関わらず、社会で生きる以上どんな表現も「政治」と繋がっていることを、あえて無いことのように話されることに違和感を持っています。「音楽に政治を持ち込むな」という言葉にすら政治性があることに気がついてほしい。

3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?

自分のムードを強調したり、特に制作するときには欠かせない存在です。

4.音楽が自分自身のアイデンティティを肯定してくれると感じたことはありますか? エピソードとともに教えてください。

自分の「好き」という気持ち、フィーリングが肯定されてると思うことがよくあります。それは、その音楽を聞いて理由もわからずよい気分になれることが他ではなかなか無い体験だからかもしれません。

あないすみーやそこ

東京生まれ、女子美術大学洋画専攻卒業。オーストラリア(メルボルン/シドニー)在住のアーティスト。二都市を拠点に、イラストやコミック、グッズデザイン、アニメーション、ラインスタンプ、ZINE(個人が自由なテーマや手法で制作した紙雑誌・冊子)制作等を行なっている。

『Candlelight』ではメインビジュアルを担当。あないすみーやそこさんが描いた「CEASFIRE NOW! FREE فلسطين パレスチナの解放を!即時停戦を!」のフリープラカードを11月21日のイベント会場でも限定枚数でテイクフリーで紙印刷を配布予定。

社会に音楽が「ある」というよりも、社会に生きている以上、人間は音楽を「見出し」てしまうのかもしれない

アリサさん

1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?

社会に音楽が「ある」というよりも、社会に生きている以上、人間は音楽を「見出し」てしまうのかもしれないと考えました。

「すべての人にとっての、すべての障壁が完璧に無い社会」という理想郷は、一人ひとり違う人間が集まってできる「現実の社会」には起こり得ないのかもしれないと最近思います。
自分とはどうしても異なる「社会の隣人」たちと、時に衝突したり傷つけあったりしながらも手をとりあって共に生きていくためには、自分も社会の痛みの一部を引き受けなくてはいけない場合があるということ。そのことからもう目を逸らしてはいられない、という気がしています。

でも、やっぱり、その痛みを淡々と処理していくっていうのは人間には難しい。だから、日常のちょっとした音や経験や感情から「音楽」を「見出し」て、痛みをやわらげるために/あるいは痛みしか知らない存在にならないために、「文化」をつくるのではないかと思いました。

2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?

日本の文化圏だと「差別に反対する」という内容を歌っただけで、「政治的」と揶揄されてしまうイメージがあります。だけど、「差別に反対する=政治的」というのもちょっとヘンな気がします。

なぜなら、本来であれば、差別をゆるさないことが政治の土台であってほしいと思うからです。

それに、政治的でないものなんて究極存在しないとは思うのですが、「政治的」とわざわざ抽出して言及されるものがどんなものかといったら、「現状の政治に抗議する内容」のことが多い気がします。

その前提の中で「差別に反対する=政治的」という方程式が成立しているのだとしたら……。考えると怖くなります。

3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?

社会のなかのルールや基準に自分がうまく当てはまれないと感じることが多いので、自分の気持ちや状態を的確に表せる言葉も見つからないことが多いです。

そういった、言葉に変換できない、もしくは社会的に言葉に変換されてこなかったものを自分の中から放出するためのツールとして、音楽(特に歌詞のない音楽)を演奏することが特に幼い頃の生活にはどうしても必要でした。

大人になってからは、歌詞のある音楽も好きになって、楽曲中だからこそ感じとることのできる曖昧な言葉の表現などに、自分が生活を続けるための心の居場所を見つけることも増えてきています。

4.音楽が自分自身のアイデンティティを肯定してくれると感じたことはありますか? エピソードとともに教えてください。

この質問への答えを考えるまですっかり忘れていたのですが、小学生くらいの時に泣いても泣いても止まらない涙に溺れそうになりながら(今や何が悲しかったのかすら覚えていない)、実家の子供部屋のアップライトピアノを一人で何時間も弾いたことがある……、と思い出しました。

音楽に関する自分の記憶をたどっていくと、思っていた以上に明るい思い出がなく、悲しみ・痛み・怒りなどの負のパワーと一緒にいることが多い気がします。

負の感情が強いときって、たとえ自分の外部に不満や怒りを抱いていたとしても、私は自分のアイデンティティさえも蝕んでしまいそうになるのですが、そういうタイミングで無意識のうちに音楽に触れることを選択していて、それによって自分の大事な部分を守ってきたんだなと思います。

アリサ

『Candlelight』主催。YouTubeチャンネル<ありさきちゃんねる>で包括的性教育を妹と発信。その後、性やジェンダーに関するテーマを中心に表現活動を続ける。

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過去に聴いていた音楽を聴くと自分が生きていた証のようなものを感じる

廣松直人さん

1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?

ボールペンの芯をカチッとする。出来心で何回か不必要に押してしまう。
ため息をつく。「はぁ」だけじゃ治らず、息を伸ばしたり、切ったりする。もしくは途中で音程を上げてみる。
子どもをあやす。いつの間にか「よしよしよし」と音頭をとって自作の歌詞を口ずさんでいる。
日常の中で、私たちはいつの間にか音楽を生み出し続けているのかもしれないと思う。

そんな根源的に生まれてきてしまう音楽は、私たちが作る生活、社会にも当たり前に存在して、密接に関わり続けるのだと思う。

2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?

歌詞を見ると、肯定的にも否定的にも「うわ、時代だなぁ」と思うことがある。
流行りの歌の歌詞で描かれる出来事や、登場人物の振る舞いは、その時代の生活や社会の鏡だと思う。時代が変わればその内容は変わっていく。
音楽を作るのは生活や社会で、生活や社会を作るのは政治だ。
音楽の中に政治性は既に含まれているのだと思う。
持ち込む持ち込まないの話ではない。
政治は私たちの音楽の中にあるし、私たちの生活の中にもある。

3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?

拠り所だと思う。
音楽を聴いたり、歌詞を読んだりすると景色が思い浮かんでくる。教科書やテレビで見たことのある場所を連想しているだけなのかもしれないけれど、場所や景色を思い浮かべる。
それを思い浮かべているだけで安心する感覚がある。
私は作曲もするけれど、作曲を通しても過去に見た景色、見たい景色をパッケージしたいという思いがある。自分で自分の拠り所を作っているのかもしれない。

4.音楽が自分自身のアイデンティティを肯定してくれると感じたことはありますか? エピソードとともに教えてください。

過去に聴いていた音楽を聴くと自分が生きていた証のようなものを感じる。
それは聴いてきたものや、アーティストから影響を受けて生きてきたという側面もあれば、単純に時間の部分もある。
音楽を聴くのには(流しておくだけでも)時間がかかる。過去にこの曲を、アルバムを聴いていた自分が確かにいたんだなという実感がある。色々な気持ちを抱えながら、音楽とともに生きてきた自分がいる。
様々な娯楽でそれを感じることはできると思うが、私にとってはそれが音楽だったのだと思う。
自分を見失いそうになった時、自分のことを肯定してくれる瞬間だと思う。

廣松直人

『Candlelight』を主催。ロックバンドSeukolのギタリストとして下北沢を中心に活動中。作詞作曲、CD流通、主催ライブの企画運営などを担当している。他バンドのサポートギターとしても活動中。

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♬なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思う? ここからは公募で声を届けてくれた方々♬

音楽は僕たちを生かしてくれているのです

autumn birdさん

1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?

必要だから。

2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?

聞いたことはない。

3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?

生かしていてくれる存在。

4.音楽が自分自身のアイデンティティを肯定してくれると感じたことはありますか? エピソードとともに教えてください。

僕はいつも死にたいと感じています。布団から起き上がる時にもお風呂に入る時も何かをする時も音楽をかけないと動き出せません。
音楽といってもなんでも良いわけではないのです。その時に必要な曲を選んでからじゃないと動けないのです。
その時の気分に合わないとなんか違うな、となって動き出せないのです。僕の死にたいと思ってしまうそんなことも肯定してくれる曲がたくさんあって、それらの音楽に出会う度に嬉しい気持ちになります。その歌を聴きたくてライブに行っては涙を流して、過呼吸になったりもします。音楽は僕たちを生かしてくれているのです。音楽によってたくさん救われてきました。

(autumn bird)

アーティストたちの交流を知ったり、友人が音楽を紹介してくれたりして、私の世界は広がる

椛谷質さん

1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?

他では表現できない感情を音楽で表現するため。

2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?

文化背景によっていつの間にか組み込まれているということはあると思う。けれど、その賛否は私にはまだわからない。

3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?

私は最近やっと音楽に出会ったばかり。これまでは好みではなかった、いえ、出会ったことのない音楽に出会い、音楽というものの広さ深さを知った。その音楽に惚れ込んでしまったとき、そんなじぶんに衝撃を受けた。その音楽を奏でるアーティストたちの交流を知ったり、友人が音楽を紹介してくれたりして、私の世界は広がる。常に刺激を求めている私には、音楽は異文化を教えてくれる異国の親友のよう。私が言葉にできなかったことの表現の仕方を教えてくれたりする。

4.音楽が自分自身のアイデンティティを肯定してくれると感じたことはありますか? エピソードとともに教えてください。

私は、歌詞のある音楽を聴く時、その歌詞が聞き取れない。この春、カラオケにいった時の話。中島美嘉さんの“僕が死のうと思ったのは”を歌った人がいた。そのときの映像は今でも浮かぶ。衝撃的な題名だが、その曲と歌詞に希望を見た。大学に行けなくなって布団を被っていたこと。同じような経験をして表現しようとした人がいたこと。
最近だと、이랑(イ・ラン)さんの“환란의 시대(The Generation of Tribulation)”や折坂悠太さんとの“윤슬(ユンスル)”も、なんだか私の「底」を教えてくれるような感じがする。アイデンティティという言葉がまだじぶんのなかでよくわかっていないのもあって、私のイメージで書きました。

(椛谷質・長野県・23歳・女性)

危機を感じるまで政治的発言が行われないような個人と政治に距離感がある土壌が根本的な問題

Kanta Takanoさん

1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?

良さと接続し、自分が世界(外的なもの、内的なもの両者)に開かれるために最も適した表現の一つだから。

2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?

公的な場における政治的主張への拒否反応については主にマイノリティの意見が黙殺されることに繋がるため、音楽においてもこうした反応はされるべきではないと思う。
一方、そう言われるようなアーティストは、キャリアの途中から危機的状況だと感じ政治的発言をするようになっているケースが多いように思う。出来上がったファン層に向け自分の政治的主張をある種一方的に行うのも非対称的な関係だとは思うので、拒否反応も理解はできる。
こうした状況は、そもそも危機を感じるまで政治的発言が行われないような個人と政治に距離感がある土壌が根本的な問題だし、改善していかなければならないと思う。

3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?

人(自己を含む)とちゃんと話をするために必要。

(Kanta Takano・東京都・男性)

生きる力の源のひとつで、ないと多くの人が動けなくなる

kuuさん

1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?

生きる力の源のひとつで、ないと多くの人が動けなくなるから。

2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?

ありようにもよりますが、持ち込むこと自体は良いのではないかと思います。今年一番自分の印象に残った曲はAgust Dの“극야(Polar Night/極夜)”で、メロディと雰囲気にはまったのですが、調べてみたら歌詞はとても社会的で政治的でした。真摯な内容だったので、より好きになりました。

3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?

空気や水と同じくらい大事な世界の構成要素。ない生活が考えられない。

4.音楽が自分自身のアイデンティティを肯定してくれると感じたことはありますか? エピソードとともに教えてください。

自分の半生を彩った曲のプレイリストをSpotifyで作って、2年かけてようやく500曲以上になりました。作成している時も楽しいですし、それを聴くと人生は無駄ではなかったといつも思えるので、おすすめです。

(kuu・女性)

左手のみで演奏する奏法に出会い、新たな道が開けました。その奏法が生まれたのは実は戦争なのです

cleさん

1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?

人と人との「交流」「繋がる」上で大切だと思います。そして現在においては、個々の癒しにも繋がっていると思います。

2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?

政治は生活と結びついていますし、音楽も生活に結びついています。音楽と政治は切り離せないと思います。今で言うとSIRUPさんなど、政治的な発言をする方、とても良いなと思います。
歴史的にみても、とくに世界大戦のころにプーランク(1899年、フランス生まれ)などの作曲家は多くの反戦の曲を生み出しました。

3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?

人生そのものです。

4.音楽が自分自身のアイデンティティを肯定してくれると感じたことはありますか? エピソードとともに教えてください。

わたしはピアニストなのですが、19歳の時に右手がうまく動かなくなる病気を患いました。しかし、左手のみで演奏する奏法に出会い、新たな道が開けました。左手演奏……その奏法が生まれたのは実は戦争なのです……。
ヴィトゲンシュタインという偉大なピアニストがいたのですが、彼は戦争で右腕を失い、その後何人かの作曲家に左手作品を依頼します(その代表例がラヴェルの“左手のためのピアノ協奏曲”です)。それがきっかけで左手作品が世界中に広まるのです。今では私の同じ病気の人や障害を持つ人の新しい可能性としてたくさんの左手作品があります。
音楽の表現方法にはいろいろあって、その垣根をなくしていきたいとわたしは切に願っていると、奏者目線からのエピソードを書かせていただきました。

(cle・埼玉県・25歳・女性)

時に精神安定剤でもあり、時に子守唄でもあり、時に「毒」でもある。それが後々「薬」になるときもありました

啓さん

1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?

日頃の言えない気持ちは、たとえ便利な世の中になっても(必要以上に便利になったからこそ……かもしれません)そう簡単には打ち明けられないもので、それを紛らわせてくれるのが音楽だから。
音楽を聞いている間は、心の中で独り言を言える時間を作ってくれるのが音楽の魅力だとも思います。
人がこの世にいるかぎり音楽は生きていくし、音を消したくない人が音楽の存在を続けさせているような気がします。

2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?

これを言う人は確実に「政治に音楽を持ち込んだ」ときには何も言わない人です。
事実、数年前にある男性シンガーとYou Tubeで勝手に「共演」した元総理の動画があがったときにその悪質さを垣間見ました。
音楽をやっている人間とて、選挙権のある一国民(ただ、選挙権があるのは現状日本国籍を持つ人のみに限るので、選挙権のない方にはこの言い方は良くないと自覚はしてますが)。政治的発言を誰しもがしろとは言いませんが、仮にしたとしてもそれは日常会話の一つに過ぎないと思います。

3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?

時に精神安定剤でもあり、時に子守唄でもあり、時に「毒」でもある。特に毒になるときは自傷行為にも思えるのですが、それが後々「薬」になるときもありました。
その時々で、存在する意味合いが私の中では変わります。

4.音楽が自分自身のアイデンティティを肯定してくれると感じたことはありますか? エピソードとともに教えてください。

ずっと行ってみたかった歌手のライブに行ったときのことで、人生で初めてのライブでした。
ライブの一曲目が、日々働く人間の言えない本音を吐露した歌で、いろいろあり仕事をやめたばかりの当時の自分にはあまりにも刺さり、目に涙が浮かんで視界がぼやけ、隣の人に泣いてることがわからないように必死に堪えてたことがあります。
音楽を直に聞いて泣いたのはそれが初めてだったので、忘れることができない思い出です。

(啓・兵庫県・女性)

私にとって音楽は、初めて胸を張って「私が好きなもの」と言えるような基礎を作ってくれた存在です

しょこさん

1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?

人が集まるからこそあり続けるのかなと思います。個人だけの世界だったら音楽があり続けるのは難しいのかも。

2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?

私たちの生活に関わる全てのことが政治に繋がっていることを多くの人はわかりつつも「恐ろしいこと、嫌なこと、難しいことを見聞きしたくない」を思う傾向が年々強くなっているのかなと思います。「生きることは大変だ」ということを大なり小なり皆さん思っていて、逃げ場や癒し(夢を見ること)の一つとして音楽を求めているのだと。だからその音楽が、急に現実を語ることに対するアレルギー反応があるのかもしれません(生きることが大変と感じる裏側に政治が関わっているのですが……)。

3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?

人の文化のなかで存続できるものを一つしか選べないとしたら、音楽を選ぶだろうなと思うくらい必要なものです。

4.音楽が自分自身のアイデンティティを肯定してくれると感じたことはありますか? エピソードとともに教えてください。

テレビ、ゲーム、漫画が禁止の家で、流行はもちろん自分が好きなものすらわからないため、周りと話が合わずに孤独を深めていた14歳のとき、かつて池袋西武にあったCDショップのWAVEでたまたま視聴したあるバンドの曲に魅了されて、初めてお小遣いでCDを買いました。あのときの「私はこれが好きなんだ!」と発見した嬉しさは、20年近く経った今も忘れられません。その後初めて一人でライブに行ったのですが、そのとき着ていた黒いワンピースや、夜のSHIBUYA-AXの佇まいなど……今でも時々思い出して、少し恥ずかしいようなでも温かな気持ちになります……。私にとって音楽は、初めて胸を張って「私が好きなもの」と言えるような基礎を作ってくれた存在です。

(しょこ・東京都・34歳・女性)

不安と孤独でボロボロだった時、中村佳穂さんの“祝辞”を「おめでとう私、これは門出だよ」と言い聞かせながら何度も何度も聴きました

sekichamさん

1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?

人間が生きものとしての喜びを得るものだから。魂に届くものだから。神聖なのだと思います。

2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?

音楽には多くの種類があるし、自由にしたらいいと思う。そう言うひとが「〜するな」と禁止するのは、自分の中の何かが台無しにされたり、犯されるような恐れがあるのかな。政治を歌う音楽があってももちろん良いと思う。音楽は本と同じでジャンルがある。

3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?

灯台!

4.音楽が自分自身のアイデンティティを肯定してくれると感じたことはありますか? エピソードとともに教えてください。

新卒で入社した会社をたったの3ヶ月で辞めてフリーターになった時に、決断したのは自分でも不安と孤独でボロボロでした。そんな時に中村佳穂さんの“祝辞”を「おめでとう私、これは門出だよ」と言い聞かせながら何度も何度も聴きました。今となってはその選択が本当に人生の分岐で新章のはじまりで門出であったと感じます。あの時どこまでも落ちていきそうだった私を肯定して繋ぎ止めてくれたのは音楽だったなあと思います。

(sekicham・愛知県・24歳・女性)

誰もが楽しく平等で最高の音楽で踊れる日を迎えるために、私たちは、誰かが誰かの生活を台無しにするあらゆる必要性を認めない

So Youngさん

1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?

人々が作り出してきた音楽には、人間の歴史と技術が結晶のように宿るから。
作った人々のアティチュードや言葉もそこには存在していて、時にそれが「生きる」ということと分かち難く結びついていることもある。

2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?

もしかしたら、政治との関わりをもった/もつことになったアーティスト、たとえば星野源、オアシス好き、あるいはブルース・スプリングスティーン好きなのかも。「音楽に政治を持ち込むな」という声明が、例えば彼らが政治に利用されたことに対する反感なんだとしたら、別の言葉をスローガンにした方がクールだと思うけど。

3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?

音楽は薬。17歳〜20歳前後まで続いた鬱を治してくれたから。

4.音楽が自分自身のアイデンティティを肯定してくれると感じたことはありますか? エピソードとともに教えてください。

音楽は、鬱だった自分を癒してくれた。これを作ればいいんだと思ったし、これが好きな人たちと繋がっていけばいいんだと思った。だから、アイデンティティと言語も国籍や性別を超えて共有できるコスモポリタンな感覚を貰ったと思う。誰もが楽しく平等で最高の音楽で踊れる日を迎える為に、私たちは、誰かが誰かの生活を台無しにするあらゆる必要性を認めない。差別、搾取、戦争、気候変動と経済格差、どれも狂っていると思う。

(So Young・東京都・24歳・男性)

ArcaやSOPHIEといったクィア当事者のアーティストの存在によって自分が自分であることに自信を持つことができた

Tairaさん

1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?

音楽は人間から、人々の営み/生活から生まれるものだから。社会的/政治的でない人間は存在しないから。

2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?

音楽と社会の連続性を無視した/不可視化した言説であるように感じる。政治の上に人々の生活があり、そこで音楽が生まれるという事実を踏まえて、音楽と政治を切り離すことには無理があると思う。

3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?

日々の疲れを癒し、苦しみから一時的に解放してくれる存在であり、ときには社会や政治への怒りなど自分のまっすぐな感情を認めてくれる媒体。

4.音楽が自分自身のアイデンティティを肯定してくれると感じたことはありますか? エピソードとともに教えてください。

ArcaやSOPHIEといったクィア当事者のアーティストの存在によって自分が自分であることに自信を持つことができた。自分を代弁してくれている/クィアを代表してくれているなどと思うことはないが、かれら*の存在そのもの、そしてかれらを取り巻くシーンに対して、自分の属性まるごと抱きしめられている感覚を覚える。あたたかなブランケットのような、コミュニティ全体を包んで繋いでくれる膜のような心強さを感じている(*themという意味での)。

(Taira・埼玉県・19歳)

呼吸と同じ、必要不可欠。なりたい気分にならせてくれるフィルターのような存在

tenさん

1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?

考えや思いを人に伝えるとき、受け取り側のハードルを低くするため。言葉だけで伝えるよりもリズムやメロディに載せることでキャッチーに伝わる、覚えやすくなる、簡単に伝わる。

2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?

もし自分が好きな歌手やバンドが政治を持ち込んだら、ちょっと戸惑ってしまうかもしれない。音楽を聴くとき歌詞に自分の感情を重ね合わせて聞いているところがあって、政治という現実と切り離して身を委ねている感覚があるから、直接的なメッセージが音楽に盛り込まれていたらいきなり現実が顔出してきた! と思ってビクッとしてしまう。

3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?

呼吸と同じ、必要不可欠。なりたい気分にならせてくれるフィルターのような存在。

4.音楽が自分自身のアイデンティティを肯定してくれると感じたことはありますか? エピソードとともに教えてください。

BUMP OF CHICKENの“プレゼント”という曲で、以下の歌詞を聞いた時。
<このままだっていいんだよ 勇気も元気も 生きる上では 無くて困る物じゃない あって困る事の方が多い でもさ 壁だけでいい所に わざわざ扉作ったんだよ 嫌いだ 全部 好きなのに>

中学生の時、“親友”という存在に憧れていたけど親友ができなくて、自分を受け入れてくれる人なんかいないんだと絶望していた時にこの歌詞に出会いました。ずっとひとりぼっちなんだと心を閉ざしながらも、でも人と仲良くなりたいと思う矛盾した心情と歌詞がマッチして、ぼろぼろ泣きました。音楽を通して、自分はこのままでいいんだと思えた初めての体験でした。

(ten・埼玉県・25歳・女性)

作り出す歌詞、音に自分のどろどろした感情は存在していいのだと感じていました

なぜならばさん

1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?

当たり前に存在していて、恥ずかしいのですが、まったく考えたことがなかったです。

2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?

こちらも正直にお答えするのがとても恥ずかしいのですが考えたことがありませんでした。今回のアンケートを答えるにあたり、このことについてネットで調べてみました。浅い知識の中、ズレた回答をしてしまうかもしれませんが、生きていたら今年100歳になる祖母が戦争中の歌をしょっちゅう口ずさんでいました。きっと当時の国が広めた歌だと思うのですが、現在日本で「音楽に政治を持ち込むな」と言っている意見があるのならば、戦時中はプロパガンダを布教していたのに現在は政治を持ち込むなと、その時にとても都合の良いことしか言わない人達ばかりなのだな、と思います。

3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?

「そうだよね」と語りかけてくれるような。ライブも好きですが、部屋の中で1人の時にヘッドフォンをつけて自分とそのアーティストの方のつくる音と1対1で向かい合っている存在です。

4.音楽が自分自身のアイデンティティを肯定してくれると感じたことはありますか? エピソードとともに教えてください。

・2018年から2019年頃に「女王蜂」にとても気持ちが救われライブにもよく行きました。作り出す歌詞、音に自分のどろどろした感情は存在していいのだと感じていました。何度も涙をこぼしました。その時は地方で生きていたので、「社会」に目を向けるのではなく、どろどろした感情はずっと「自分」の問題だと思っていたのです。

・宇多田ヒカルさんの歌詞が好きで今でも常に聞き続けています。あまりジェンダーなどを想定した言葉が少ないところが好きで、シス男性以外の人を好きになる自分を、まわりの好きな人にも打ち明けることもできなかったときに(今もあまり人に打ち明けられません)歌詞を自分の経験や思いにのせて聴いていました。

(なぜならば・東京都・28歳)

この世界に「音」が存在する限り、そして人に心があり続ける限り、音楽はあり続けるのだと思う

にくきゅうぷにこさん

1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?

この世界に「音」が存在する限り、そして人に心があり続ける限り、音楽はあり続けるのだと思う。そこに理由なんかない。言葉と同じくらいに呼吸と同じくらいに、それはわたしたちの身体中から自然発生的に溢れてくるもの。日々、生活をしていく中で奏でている音、それすらも音楽だと感じる。

2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?

すみません、そのような意見があることを存じ上げなかったです。ジョン・レノンやボブ・マーリーのことを思い出しました。数ある音楽の中で何を選択するかは個人の自由で、だれか特定の個人を意図的に傷つけるようなものでなければ、そこに規制はいらないのかな、と思いました。

3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?

ともだちであり、家族であり、呼吸のようなもの

4.音楽が自分自身のアイデンティティを肯定してくれると感じたことはありますか? エピソードとともに教えてください。

いろいろたくさんあるけれど、生活の中で人と比べそうになってしまったり、ちょっとした疎外感を感じてしまうようなことがあったとき(本当はそんなことは感じなくてよいのかもしれないけど)そんなときに、星野源さんの“日常”という曲を口ずさんでみたり聴いてみたりしています。特に、以下の部分が好きです。
<無駄なことだと思いながらも それでもやるのよ 意味がないさと言われながらも それでも歌うの 理由などいらない 少しだけ大事な物があれば それだけで 日々は動き 今が生まれる>
<みんなが嫌うものが好きでも それでもいいのよ みんなが好きなものが好きでも それでもいいのよ 共感はいらない 一つだけ大好きなものがあれば それだけで 日々は動き 君が生まれる>

(にくきゅうぷにこさん・東京都・43歳・女性)

音楽があったから文化が生まれて社会が生まれ、社会があるから音楽があり続けると思います

Bluesyさん

1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?

人々の癒し。音楽があったから文化が生まれて社会が生まれ、社会があるから音楽があり続けると思います。

2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?

音楽は自由なものでありそこに人々を管理、制限するものは必要ないと思いますが、社会に存在する限り切り離すこともできないとも思います。

3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?

いつもある存在。なかなか気付けないけど普通に音楽を楽しめることに感謝したいです。

4.音楽が自分自身のアイデンティティを肯定してくれると感じたことはありますか? エピソードとともに教えてください。

逆に自分のアイデンティティを確立させてくれたのが音楽だと思います。
その音楽というアイデンティティのおかげでかけがえのない友人ができました。

(Bluesy・大阪府・37歳・男性)

どうしようもない気持ちや痛みが、ギュッとある時結集して音楽ができるのだと思います

ほにさん

1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?

苦しい時に「うー!」と声を出したり「ぱらっぱら〜」とか適当な音を出すと、なんだかすっきりすることがあります。目の前の事態は変わらないけれど、何かが抜けていく感じです。
どうしようもない気持ちや痛みが、ギュッとある時結集して音楽ができるのだと思います。音楽がなくなるとしたら、人間が感情を、つまり人間性を失った時だと思います。

2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?

政治性のないとされる音楽はそうした態度自体が政治的という前提があり、いわゆる政治的な音楽はざわめきや痛みを強く訴えかけてきます。
そうした意見を言う人たちは、その痛みをもって自分たちがケアされていることを知らない、経験したことがないのだと思います。

3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?

気づいたら口ずさんでいるもの、動物に話しかける時に替え歌として発されるもの、頭の中で延々再生されるもの、不安を掻き消すために耳を塞ぐもの。

4.音楽が自分自身のアイデンティティを肯定してくれると感じたことはありますか? エピソードとともに教えてください。

まったく別の意図で書かれた歌詞ですが、kiss the gamblerの“ベルリンの森”という曲に、<恋人がいなくても生きて行けるように心の居場所を決めておかなくちゃ>という歌詞があります。それが明るいメロディで歌われるのが嬉しいです。

(ほに・東京都・26歳・ノンバイナリー女性)

仕事場に行くのが嫌なとき、皿洗いが面倒なときに背中を押してくれる存在

まつりさん

1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?

音楽が身近ではない育ちでしたが、学生時代の合唱や合奏はそれでも印象的で、言葉のコミュニケーションとはまったく別の関係性で、投げかけ、受け取り、合わさっていく特別な感覚があり、それが変わっていく社会の中で音楽の変わらない魅力なのかなと思います。

2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?

政治は私たちの生活のことなので、音楽になって当然と思います。一方で、私はアイドルが好きで、彼らの曲やパフォーマンスが、特定の政党や行政機関の意思でオリンピックや万博など政治的な意味も大きい催しに利用され(時には一緒に写真を撮ったり……)、政党や議員自身のイメージアップにも繋がってしまっているような状態は、嫌だなぁと思いながら見ています。

3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?

仕事場に行くのが嫌なとき、皿洗いが面倒なときに背中を押してくれる存在。好きなアイドルが、仕事場に行くのが憂鬱なときどうしていますかという質問に、前向きになれる音楽を聴いていますと答えていて、普通のことかもしれないけれど、いつでも元気で明るくふるまえるアイドルでも、音楽に助けられるんだ! と自分には大きな発見でした。それ以来、頭でこねた理屈では気持ちが晴れないときに音楽に助けてもらう選択肢が増えました。

(まつり・27歳)

テリー・ライリーの“In C”を聴いていると「ここにいていいよ」というゆるしを感じます

まなぶさん

1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?

そこに人が存在していることを知らせるためだと思います。ボイジャー探査機のゴールデンレコードみたいな。

2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?

そういう意見があってもよいし、聞きたくないものは聞かなければよいと思います。
「政治的でないものはない」というのがわたしの意見ですが。
そのうえで、好きになった音楽がよく聴いたらめちゃくちゃ政治的だったという経験があり(ニーナ・シモンとか)、「音楽に政治を持ち込むな」という意見が無効になるほど政治を音楽に昇華できるかはアーティストの技量によると思います。

3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?

空気

4.音楽が自分自身のアイデンティティを肯定してくれると感じたことはありますか? エピソードとともに教えてください。

あんまりないですが、例えばテリー・ライリーの“In C”を聴いていると「ここにいていいよ」というゆるしを感じます。

(まなぶ)

音楽への没入は自分を語りなおすカタルシス、そして声が交じることは世界とつながる喜びでした

観るさん

1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?

日常の文脈だと語りそこねる領域をカバーするため、逸脱するため。

2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?

日本の文化では、音楽と偶像性が結びついていると思います。例えばアイドルを推しとして消費する文化。キャラクター設定と音声データで成立するボーカロイド。アニメーションとのタイアップ楽曲。日本において、音楽と「虚構のイメージを享受する消費」は切っても切り離せません。
現実を加工し逃避させる嗜好品としての音楽。そこに逃れようのない生活の生々しさと切迫を持ち込まれることに抵抗が生まれるのでは……と私は考えました。

3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?

深さの豊かさを教えてくれる、ダイビングインストラクターです。
水面下に沈められているものの影や輪郭、その人が編み出した息の仕方など。色々な知恵を、深さに寛容なときだけ聴こえる言語で教えてくれる存在。

4.音楽が自分自身のアイデンティティを肯定してくれると感じたことはありますか? エピソードとともに教えてください。

小学校の頃、合唱部に入っていました。当時の私は学校社会に馴染めない孤立しがちな子供でした。その疎外感を和らげ登校のモチベーションになっていたのは、おそらく「合唱」です。

放課後、音楽室へ行けば合唱できる。私が声を出すことが全体のためになる。私は集団に受け入れられ、参加できる存在である。拍手される。

子供ながらに合唱を通じて社会参加の実感を味わったのだと思います。
レパートリーの中には、戦争や孤独、地球温暖化をテーマにした非常に重くシビアな楽曲もありました。この世の悲哀に思いを馳せ歌うことが、一周回って私自身の感情表現にもなっていたのでしょう。音楽への没入は自分を語りなおすカタルシス、そして声が交じることは世界とつながる喜びでした。

(観る・山形県・25歳)

この曲があるのなら、この曲を作った人間が同じ世界にいるのなら、うまく言葉で伝えられない自分も、この社会に位置づけられるな、と思えました

yuweさん

1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?

わたしは、専ら音楽を聴く側の人間です。社会に音楽があり続けてくれるのは、作ってもらい続けているからだと思います。音楽を作ってくれる人々は、どうして作り続けてくれるのか。聴いてくれる人々に応えるためもあるだろうし、自分の内から作りたいという思いが湧いてくるからでもあるのだろう。でも、作っている人々も、元は聴く側の人間でした。そもそも今自分の手で作れるようになっているという状態は、音楽を聴いていただけの頃に、作られた音楽から影響を受けたことで引き起こされたものなのではないだろうか。つまり、音楽はいつも、聴いてくれる人々の存在があって生み出され続けているのだと思います。

では、どうして聴く側の人間は音楽を求め続けるのだろう。わたしはいつも、好きな歌というのは、歌詞以外の部分に影響を受けて好きになっているし、ジャズやクラシックなどで歌詞がないけれど好きな曲がたくさんあります。歌詞以外の部分は、音の並び方や、並んだ音の鳴り方(リズム)、強弱、どんな色でどんな感触の音なのかがあると思います(音に声は含みます)。そのそれぞれ、またはそれら全体は、気分を作り出し、その気分は、聴く側にとって未知のものであるほど、影響があると思います。未知の気分になった時、そこにはまだ知らない世界が広がっています。新たな気分、世界に出会う楽しみを求めることは、新たな音楽作品を求めることです。たぶんわたしは、未知の世界に連れて行ってほしいから音楽を求め続けています。

でも、わたしと違って、歌詞に影響を受けて音楽を求める人々もきっといる。想像するに、歌詞は、わたしもその気持ち知っているよ、という共感や、自分だけと思っていた世界に仲間がいた、という安堵をもたらしてくれると思います。今現在の自分自身と距離の近い世界を肯定してほしい人々が、音楽の歌詞に影響を受け、自らを取り巻く環境が変わるたび、新しい音楽を求めるのではないかと思います。しかし、音楽は歌詞とそれ以外に分けきれないとも思います。歌詞に影響を受けている人々は、歌詞の字面ではなくて、歌詞の世界が音楽として存在しているからこそ肯定されているような気持ちになれるのだと思います。同じ言葉でも、心に入っていく感じが異なるのではないかな。また、小説を読むのが得意でなくても、音楽なら聴けて、出会える世界があるし、救われる人々もいるのでしょう。だから、歌詞以外も音楽を求める人々には必要な部分で、音楽が音楽として存在しているからこそ、人々は求め続け、作り続けているのだと思います。

2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?

音楽を含めた表現活動の源は、何かに触れて、湧いてきた考えや思いだと思うけれど、そうしたものが湧いてくるのは自然な現象で、君のその思い、タブーだよ、だなんて、わたしは言えない。アートにしたくなるものは、一人の個人がなるべく多くの他人に伝えたい思いなはずです。自然な現象である感情の吐露を否定することはもちろん、そんな切実な思いを否定するなんて、わたしはやっぱり、できません。そのアートが、音楽でも、その思いが、政治に関してでも。

3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?

わたしの生活の中の音楽は、ほとんどラジオから流れています。自分でディグっているわけではないから、毎日思いもよらぬ曲との出会いがあります。そのため、わたしの生活の中では、音楽は毎日自分が見ている世界を変化させ、新鮮な気持ちで生きさせてくれる存在です。

4.音楽が自分自身のアイデンティティを肯定してくれると感じたことはありますか? エピソードとともに教えてください。

わたしは人と喋るのが本当に苦手で、いつも伝えたいことがほとんど伝えられないので苦しくなることが多いです。でも、ゴーゴー・ペンギンの“Everything is Going to Be OK”に出会って、歌詞、言葉がなくてもこんなに伝わるものがあるんだと思ったことがきっかけで、言葉だけが伝える手段ではない世界があることを知りました。この曲があるのなら、この曲を作った人間が同じ世界にいるのなら、この曲を聴いている人間もこの世界にいるのなら、うまく言葉で伝えられない自分も、この社会に位置づけられるな、と思えました。

(yuwe・千葉県・19歳・女性)

音楽を通して、様々な出自、性や愛、暮らし方を持つアーティストたちが肩を支えてくれるような気持ちになります

佳史さん

1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?

私たちの日々に会話や愛、空想があり続けるように、社会の大きな脳みそには、いつも音楽が鳴り続けているから。

2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?

戦うパワーがなく音楽を安らぎとしたいとき、強い主張に面食らうことはあります。しかし、それは他人の表現を止める理由にはなりません。
この国では政治のみに関わらず、自分の主張を強く展開することがよくないとされることがあります。「私はこう思った!」「これには賛成/反対だ!」ということを、お互いに真っ直ぐ言い合うことは稀に感じます。政治について語り合うことなんてしないし、みんななんとなく黙っている。そんな社会のなか、曲中でアーティストから一方的に政治を語られれば、まるでプロパガンダのように感じられるのかもしれません。でもアーティストも、あなたも、思ったことを主張していい。
自分の中の主張や感情を表現する方法として、芸術があることは自然なことに感じます。他の題材でも、政治についてでも、それは変わらない。そして私たちが思ったことを綴るのに取る方法は、小説でも絵画でも、音楽であっても良いと思います。

3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?

ずっと一緒の友達のような存在です。
幼い頃、覚えたての歌を口ずさんで帰った日、面接へ向かう電車の中でイヤホンから鳴る音楽に守ってもらい自分を鼓舞した日、家で不安なとき、その場で頭に浮かんでくるメロディーを歌って気を紛らわしたり、レンジの温め中にちょっと踊ってハッピーになったり、思い出を集めて目に見える形を作ったら、私によく似た友達の姿をしていそうです。
苦しめられたり怒ったりしたこともあるけど、これからもずっと一緒に人生を並走してほしい、大好きな友達です。

4.音楽が自分自身のアイデンティティを肯定してくれると感じたことはありますか? エピソードとともに教えてください。

お気に入りの曲の歌詞には「自分を愛すること」「自分は何も間違っていない、そのままで完璧」と堂々と書かれていて、自分のあり方に迷うときはこの曲をお守りのように聴くときがあります。
好きな音楽を作ったアーティストのインタビューを読んで、「私と似た経験を持つ人がこんなに素敵な作品を作るんだ」と勇気をもらうこともあります。
私のアイデンティティには確かなところと曖昧なところがありますが、音楽を通して、様々な出自、性や愛、暮らし方を持つアーティストたちが肩を支えてくれるような気持ちになります。

(佳史・東京都・20歳)

理不尽で辛いことの多い世の中だと感じてますが、目を瞑って音楽を聴く瞬間は癒しのひとときです

Yuさん

1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?

音楽は人の心を動かす力を持っています。それは、会話/対話など言葉のみによる表現だけでなく、リズムやテンポが加わることによって感情を刺激しているからだと感じます。故に記憶に残りやすいからこそ、世代を超えても(世代によってトレンドは変わるものの)、社会に音楽はあり続けるのだと思います。

2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?

そう言われるほど、音楽が世の中に与える影響力が強い。一個人としては、表現の自由があるからこそ、音楽を通して政治を揶揄することも必要だと感じます。

3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?

“心の薬”のような存在です。音楽を聴く時は基本的にイヤホンやヘッドホンをします。まさに自分の世界に閉じこもる感覚です。理不尽で辛いことの多い世の中だと感じてますが、目を瞑って音楽を聴く瞬間は癒しのひとときです(現実逃避できるツールなのかもしれません)。

4.音楽が自分自身のアイデンティティを肯定してくれると感じたことはありますか? エピソードとともに教えてください。

乃木坂46の楽曲/歌詞は非常に印象に残っています。
“羽根の記憶”
<今僕にできること自分の背中には 使ってない羽根がある記憶を 信じること>
“きっかけ”
<決心のきっかけは理屈ではなくて いつだってこの胸の衝動から始まる>

これらの楽曲を聴いていた時は大学受験期でした。模試の判定に落ち込んだり、勉強漬けの日々に嫌気がさしたり、先の見えない将来を悲観的に考えたり……とにかく必死に過ごす毎日でした。その時に出会ったのが乃木坂46が届ける音楽でした。特に2つの楽曲、フレーズが大好きです。
“羽根の記憶”からは、どんなに自信がなくても自分を信じることの大切さを、“きっかけ”からは、自分の心に正直に突き進んでいくことの素直さを学びました。8年近く経った今でも、これらの楽曲を聴くと当時の思い出が蘇ってきます。音楽の素晴らしさは色褪せないですね。
この質問を見て真っ先に思い浮かんだエピソードでした。

(Yu・滋賀県・26歳・男性)

ラブソング一つとってみても、生活の一部を歌うものであっても、行く末を想像すると必ず政治的なものへ繋がる

utnさん

1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?

もちろんこれはあくまで僕自身の意見で、人によって様々な理由があると思いますが、「言葉」や「思い」は音に乗せることによっていろんな壁をすり抜けることができるからだと思います。
会話ならうまく伝わらないものが、音楽を乗せた途端、入り込むという経験はたくさんの人にあるのではないでしょうか?
きっとそれを「救い」「安らぎ」や「居場所」に感じたり……。
そういった影響があるから、音楽と社会は常に近くに存在しているのだと思います。

2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?

ぼくは音楽と政治は関わりがないようで関係が深く、また「政治的でない」と言われているものもすべてが政治に関わりがあるのではないかと思っています。
ラブソング一つとってみても、生活の一部を歌うものであっても、行く末を想像すると必ず政治的なものへ繋がるのかな、と。
音楽は確かにたのしかったり、心地のよさを表したりすることがあると思います。
また、近年の音楽シーンや音楽イベントなどではその部分が強いのかなと思います。
それは「政治」と結びつけにくい/結びつけない構造になってしまってるのかもしれません。
ですが、音楽に救われたり、背中を押されたりすることも、「政治的」ではないでしょうか。
ぼくはこのイベントを通して、あらためて考えていきたいです。

3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?

生活の一部、おまもり。

4.音楽が自分自身のアイデンティティを肯定してくれると感じたことはありますか? エピソードとともに教えてください。

具体的なエピソードはどう説明するべきかわからないのですが……
音楽自身が救ってくれることはもちろん、アーティストの発言や制作をした時の想いなどを聴いた時に肯定され、「いてもいい」と言われているような感じたことがあります。

(utn)

私が大勢に埋もれないため。私の人生を生きていると再認識するため。

ルイボスティーさん

1.なぜ社会に音楽はあり続けるのだと思いますか?

私が大勢に埋もれないため。私の人生を生きていると再認識するため。

2.日本でたびたび言われる「音楽に政治を持ち込むな」という意見についてどう思いますか?

音楽と言葉が合わさったときにしか動かされないものがあると信じているので、音楽を愉しむだけのものとしているとすればそれでいいし、音楽の力を信じるならそれを発揮される場所で奏でられればいいと思います。芸術とはそういうもの。

3.あなたの生活のなかで、音楽はどのような存在ですか?

わたしをひとりにしないでくれるもの。そばにいてくれることば。

4.音楽が自分自身のアイデンティティを肯定してくれると感じたことはありますか? エピソードとともに教えてください。

「冬にわかれて」さんの“君が誰でも”。
忘れられない人をずっとおもっている友達に教えてもらった曲なのですが、私は聴いたとき、私自身に「あなたが誰でもいいんだよ。ただ今あなたにプリンが美味しいあの店について話したいんだよ」と言ってくれている感じがして、物事の因果関係や理由に縛られて苦しくなっていた私を解放してくれた感覚がありました。

(ルイボスティー・東京都・26歳・女性)

生活に密接に寄り添う「音楽」を介し「社会性・政治性」を新たに見出すイベントプロジェクト。もっと息をするように「社会的・政治的活動」が私たちの生活の一部に馴染んでいくことができるのではないか、という思いから立ち上がり、人々の生活に密接な「音楽」を介して、私たちの生活はどうやったって社会的であり政治的であるということを実践し、体感する空間を目指す。11月21日(火)に初のライブイベントが開催。TA-net(シアター・アクセシビリティ・ネットワーク)協力のもと、本イベントのアーティスト演奏にはKuniy・中嶋元美による手話パフォーマンス・手話通訳がつく。
「こころに豊かさを満たしていく光であり、時に生活に不可欠な灯ともなりうる。誰かにとってのちいさなキャンドルのような時間と空間を」

日時:2023年11月21日(火)
時間:OPEN 17:30 / START 19:00
会場:東京都・渋谷 WWW X
チケット金額:¥4,500 + 1D
出演:さらさ(band set)、Homecomings、中嶋元美(手話パフォーマー)、Kuniy(手話パフォーマー)、kaolinite
出店:雑貨と本gururi、twililight、vegan cafe PQ’s

【手話に関する注意事項】
本公演では、アーティスト演奏において、ライブ手話パフォーマンスおよびMC手話通訳が提供されます。イープラスにて<手話パフォーマンス優先観覧チケット>を選択された場合は、舞台上の手話通訳士の動きを見やすい観覧場所を優先的にご利用いただけます。当日演奏する楽曲の歌詞カードも貸し出し予定です。また、介助者がいる場合は、介助者の方も同じく<手話パフォーマンス優先観覧チケット>を選択していただいて構いません。手話通訳を必要とする方の優先スペースの確保にご理解ご協力をお願いいたします。

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