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声のポスト

あなたの性の悩みはとるにたらないものではない。性について話しはじめるための19人の言葉

セックスやセクシュアリティ、性自認、心やからだの悩みのこと

言葉にならない違和感が生まれるきっかけになったできごとや、社会に存在する問題まで、ひとつの「問い」を立てて、公募を含めたさまざまな人の声を集める「声のポスト」の企画。複数の声から、それぞれの思いや語りが同時に存在する社会そのものを見つめていきます。

性にまつわることを、いつもの自分の温度で話してみませんか? そんな問いかけからはじまった、me and youがナビゲーターを務める音声コンテンツ『わたしたちのスリープオーバー』が、1周年を迎えました。

できるだけ安心できる場所で、個人的な「性」の経験や感情に向き合う環境をつくること。性にまつわる正しい知識を学び、その知識をもとに、自分で考えはじめてみること。

それによって、人生のどこかのタイミングで「とるにたらないことなのだ」と思ってしまっていた、あるいは社会によって思わされてきてしまった、自分自身の心やからだ、セックス、性差別、セクシュアリティ、ジェンダーアイデンティティ、恋愛などの性の悩みに向き合い直すことができるかもしれない。その行為が集まれば、個人的な問題にとどまらず、社会で考えていく必要があることが可視化されるかもしれない。

今回、1周年を迎えるにあたり、これまでゲストにお越しいただき、まるでお泊まり会のような雰囲気で「スリープオーバー」してきた19名の方々に、次の3つの質問を行い、回答をいただきました。

🤍性にまつわる3つの質問
1. 「こんなこと、きっととるにたらないから」と性にまつわることをたったひとりで悩み、考えたことのある、今を生き抜いている人たちに届けたい言葉。

2.いま特に関心を寄せている、性にまつわる課題やトピックは? その課題が改善するために、一人ひとりが取り組めることとは?

3.性にまつわる正しい知識を学び、押し込めていた感情や経験に自分の言葉で向き合えるようになる、おすすめの作品は?(本、映画、アートなどジャンルは問いません)

🤍声を寄せてくださった方々
青葉市子さん(音楽家)、浅田智穂さん(インティマシーコーディネーター)、飯田エリカさん(少女写真家)、稲葉可奈子さん(産婦人科専門医・医学博士)、エミリーさん(ライター)、清田隆之さん(文筆家、恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表)、金城小百合さん(編集者)、合田文さん(起業家、『パレットーク』編集長)、竹中万季(編集者、『わたしたちのスリープオーバー』ナビゲーター)、たなかみさきさん(イラストレーター)、寺原真希子さん(弁護士)、戸田真琴さん(セクシー女優、文筆家、映画監督)、中村佑子さん(映像作家、作家)、西野芙美さん(TENGA 国内マーケティング部 部長、広報)、根本宗子さん(劇作家・演出家)、野村由芽(編集者、『わたしたちのスリープオーバー』ナビゲーター)、はらだ有彩さん(テキストレーター)、haru.さん(クリエイティブディレクター)、和田彩花さん(アイドル)

性あることは、命あること

青葉市子さん

1. 「こんなこと、きっととるにたらないから」と性にまつわることをたったひとりで悩み、考えたことのある、今を生き抜いている人たちに届けたい言葉。

性あることは、命あること。
息をした、ときめいた、心や身体が反応すること、
どんな小さなことでも、自分自身をいっぱい褒めて、肯定してあげたいですね。

2.いま特に関心を寄せている、性にまつわる課題やトピックは? その課題が改善するために、一人ひとりが取り組めることとは?

個々の尊重。
自分と同じ人はひとりもいないはずなのに、“違う人”と認識した途端に、人はびっくりしてしまいます。
でも、びっくりすることは悪いことではないから、まずはその気持ちを認めて、おもいきり許して、”違う人”が自分と同じように息づいていることに耳を澄ませてみる。

3.性にまつわる正しい知識を学び、押し込めていた感情や経験に自分の言葉で向き合えるようになる、おすすめの作品は?

図鑑。
魚や、動物、植物、虫、菌類。
いろんな生物の図鑑を眺めていると、人間の多様性も等しく美しく感じます。


📻「音楽家 青葉市子さんを迎えてスリープオーバー」│わたしたちのスリープオーバー
📻「音楽家 青葉市子さんを迎えてスリープオーバー」 vol.2│わたしたちのスリープオーバー

青葉市子

音楽家。1990年1月28日生まれ。
2010年にファーストアルバム『剃刀乙女』を発表以降、これまでに7枚のオリジナルアルバムをリリース。うたとクラシックギターをたずさえ、国内外で活動中。近年はラジオDJやナレーション、CM・舞台音楽の制作、芸術祭でのインスタレーション作品発表など、さまざまなフィールドで創作を行う。自主レーベル「hermine」(エルミン)より、体温の宿った幻想世界を描き続けている。最新作は、”架空の映画のためのサウンドトラック”『アダンの風』。

ICHIKO AOBA
hermine

自分と相手を大切にすることと、同意をすることの大切さ

浅田智穂さん

1. 「こんなこと、きっととるにたらないから」と性にまつわることをたったひとりで悩み、考えたことのある、今を生き抜いている人たちに届けたい言葉。

自分の気持ちや行動に素直でいたくても、疑問や不安、葛藤が勝ってしまう時、それはきっと自分や相手のことを思うからこそ。インターネットで調べてすぐにわかることが答えの時もあれば、それで悩みが増えることも。自分を大切に。想いを寄せる相手がいるのならば、その相手も大切に。

2.いま特に関心を寄せている、性にまつわる課題やトピックは? その課題が改善するために、一人ひとりが取り組めることとは?

小学生の子供の母として、子供の性教育をどう進めていけばいいかという課題が常に頭にある。もうすぐプライベートゾーンの話だけでは足りない年頃に。LGBTQ+の正しい理解、思春期の体の変化はもちろんだが、何よりも、自分と相手を大切にすることと、同意をすることの大切さを教えていきたい。

3.性にまつわる正しい知識を学び、押し込めていた感情や経験に自分の言葉で向き合えるようになる、おすすめの作品は?

Netflixドラマ 『セックス・エデュケーション』
イギリスのコメディドラマ。インティマシーコーディネーターも参加していて、「性教育」というタイトル通り、性に関する話題が散りばめられている。性に関する疑問や不安を抱くダイバーシティに富んだキャラクターたちを見ていると、悩みは年齢や人種、セクシュアリティに関わらずユニバーサルだと感じられる。自分の悩みと似たキャラクターに出会えるかも。

Netflix『セックス・エデュケーション』

📻「ラブシーンに違和感をもったことある?」Vol.1│わたしたちのスリープオーバー
📻「ラブシーンに違和感をもったことある?」Vol.2│わたしたちのスリープオーバー

浅田智穂

1998年、University of North Carolina School of the Arts卒業。
2003年、映画祭の審査員付き通訳をしたことがきっかけとなり、撮影の監督付き通訳などで映画の現場に参加。舞台では、英語圏の演出家、振付家と、日本の製作者、キャストとの間の通訳として活動。 
2020年、LAに本拠地を置くIPAにて、インティマシーコーディネーター養成プログラムを修了。Netflix作品『彼女』において、日本初のICとして作品に参加。その後、現在までに7本の作品にICとして関わる。

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自分が感じた悲しみや苦しみや違和感はこれからの人たちのためになる

飯田エリカさん

1. 「こんなこと、きっととるにたらないから」と性にまつわることをたったひとりで悩み、考えたことのある、今を生き抜いている人たちに届けたい言葉。

性にまつわること、身体のこと、自分のことなのにわからないこと、他者の目線が降り注がれることで向き合うことすら難しいと感じることが多々です。 自分のなかにある異性愛至上主義のひとつひとつの違和感を何度も何度も飲み込んで、自分がおかしいのだと抑え込んで、自分の心に正直になる方法すら私はわからなくなったこと、とても悲しいことがあったことを機会があったときに話すことがありました。
話したことで、私は間に合わなかったけど、その子達は間に合って、ともに生きていることを報告してもらえたとき、自分が感じた悲しみや苦しみや違和感はこれからの人たちのためになるのだと知ることができました。 センシティブなことを沢山の人に話すのは難しいですがもし幸福に生きてほしいと祈りたくなる相手が目の前にいたら少し話してみてもいいのかもしれないです。少しでも生きづらさをほどくことができますように。

2.いま特に関心を寄せている、性にまつわる課題やトピックは? その課題が改善するために、一人ひとりが取り組めることとは?

初めて、ヌード作品を撮りました。その作品を世の中に発表するときに「これが見えていたらアダルト作品になる」という規定があり、それは本質を見ていないものでした。
アートなら良いのか? たくさんの疑問が浮かびました。
とことんわたしたちの身体は他者にバラバラにされてしまうのだと。
ひとの身体を、肖像を見るときに私達はそこに写るひとのことをバラバラにしていないだろうか。見る側のリテラシーを高めていくには作品を見るうえで対話が必要なのではないかと考えています。

3.性にまつわる正しい知識を学び、押し込めていた感情や経験に自分の言葉で向き合えるようになる、おすすめの作品は?

村田沙耶香さんの『しろいろの街の、その骨の体温の』
ずっと抱いてはいけない、穢らわしいものと刷り込まれていた<女子の性欲>というものをあまりにもまばゆく書かれていて思春期のころにこの本に出会えていたら……と思わずにはいられないくらい、刷り込まれていたものを拭い去ってくれる素晴らしい作品です。

『しろいろの街の、その骨の体温の』(著:村田沙耶香/朝日新聞出版)

📻「ラブシーンに違和感をもったことある?」Vol.3│わたしたちのスリープオーバー
📻「ラブシーンに違和感をもったことある?」Vol.4│わたしたちのスリープオーバー

飯田エリカ

1991年東京都調布市出身。都立工芸高校デザイン科、日本大学芸術学部写真学科卒業
2013年少女写真家として活動をはじめる。
自らの少女時代の記憶をもとに今だからこそ写せる少女、女の子を撮影した“少女写真“という表現を追い求め作品を制作。女の子たちのための写真活動を志している。“誰にも見つけられないあなたを愛する“写真プロジェクト『I’m a Lover,not a Fighter.』や女の子を取りたい女の子のためのコミュニティー「またたく女の子たち」を主催している。

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すぐ解決しなくても、だれかに話すだけで心が軽くなる

稲葉可奈子さん

1. 「こんなこと、きっととるにたらないから」と性にまつわることをたったひとりで悩み、考えたことのある、今を生き抜いている人たちに届けたい言葉。

自分が悩んでいたらそれはもう立派な悩み事。きっと他人にとってはとるにたらないことやろうと抱え込まずに、誰かに相談してみると、意外とヒトって優しいはず。自分の相談、って言いづらかったら、「友達が~で悩んでるんだけど」って聞いてみると気楽に聞けるかも! すぐ解決しなくても、だれかに話すだけで心が軽くなりますよ。

2.いま特に関心を寄せている、性にまつわる課題やトピックは? その課題が改善するために、一人ひとりが取り組めることとは?

SRHR(セクシャルリプロダクティブヘルス&ライツ)の考え方が日本にも広まるように、「みんリプ!みんなで知ろうSRHR」というプロジェクトを産婦人科有志で立ち上げました。生理痛やPMSや更年期、望まない妊娠などに振り回されないためにも、一人ひとりが取り組めることは、「#かかりつけ産婦人科をもとう」です!

3.性にまつわる正しい知識を学び、押し込めていた感情や経験に自分の言葉で向き合えるようになる、おすすめの作品は?

『青春の記録』
大事なことがたくさんつまっている作品。まずは見てみて。見ればわかります。

Netflix『青春の記録』

📻「ピル、使ったことある?」Vol.1│わたしたちのスリープオーバー
📻「ピル、使ったことある?」Vol.2│わたしたちのスリープオーバー

稲葉可奈子

産婦人科専門医・医学博士
京都大学医学部卒業、双子含む四児の母。老若男女問わず活き活きと活躍できる社会を目指して、病気の予防や性教育など生きていく上で必要な知識や正確な医療情報とリテラシー、育児情報などを、SNS、メディア、企業研修などを通して効果的に発信することに努めている。
みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト 代表 / みんリプ!みんなで知ろうSRHR 共同代表/コロワくんサポーターズ / メディカルフェムテックコンソーシアム 副代表 / NewsPicksプロピッカー

とにかく一つひとつ、自分にできる行動(ただ知り考えるだけじゃなく!)を諦めずに続けていくこと

エミリーさん

1. 「こんなこと、きっととるにたらないから」と性にまつわることをたったひとりで悩み、考えたことのある、今を生き抜いている人たちに届けたい言葉。

自分の抱いている個人的な違和感や葛藤や思いは、誰かに話すにはとても勇気がいるし、私の話に意味があるのかな? 否定されるんじゃないかな? と不安になったり、無力さやとるにたらなさを感じて口をつぐんでしまうこともあります。
でも、私自身もそんな誰かの個人的な声や言葉にいつもなぐさめられ、力をもらい、ひとりではないことを教えてもらってきたし、だからこそ自分の声や言葉も、きっと誰かにとってのそういうものであるはずだ、と少しずつ思えるようになりました。
まだまだ大きな声にばかり意味や力があるとされてしまう世の中ですが、本当は小さな声にこそ切実で大切なものがつまっていて、私はそういう声をもっと聞きたいし、もっと話したいと思います。まさに「わたしたちのスリープオーバー」という場所がそうであるように、誰もが安心して自分の声を伝え合うことのできる場所や輪がもっと広がっていってほしいし、そのために自分にできることを、いっしょにやっていけたらいいなと思っています。

2.いま特に関心を寄せている、性にまつわる課題やトピックは? その課題が改善するために、一人ひとりが取り組めることとは?

今特に関心があって切実に変えていかなければと感じているのは、セクシュアル・マイノリティをめぐる日本社会の環境や法律などの問題と、性教育・ジェンダー教育の不十分さについて。
まずは正しい知識や状況を、記事や本や物語などを通して知ろうとすることと、その情報を身近な誰かに共有することが、一人ひとりにできる最初の行動なのではないかな、と思います。そして個人的には、最近同性婚実現に向けた情報発信やさまざまな活動を行っている「Marriage For All Japan」に寄付をしたり、子ども向けのジェンダー/性教育の絵本や本などをいくつか買って読み、それを既に子どもがいる身近な友人たちにおすすめしたりプレゼントしたりできたらいいなと考えたりしています。
時に勇気が必要で、自分の無力さにやるせない気持ちになることもあるけれど、少しずつでも小さくても、とにかく一つひとつ、自分にできる行動(ただ知り考えるだけじゃなく!)を諦めずに続けていくことを、大切にしていきたいです。

3.性にまつわる正しい知識を学び、押し込めていた感情や経験に自分の言葉で向き合えるようになる、おすすめの作品は?

学術的なものだと、『はじめてのジェンダー論』(著:加藤秀一/有斐閣ストゥディア)は、ジェンダーや性にまつわるあらゆる基礎知識やトピックについて幅広く知ることができるので、入門書としてとてもおすすめです。漠然と抱いている違和感に言葉や思考の枠組みを与えてくれ、新たな気づきや学びをたくさんもたらしてくれる本だと思います。
「恋愛」や「性愛」というものが自分にはしっくりこないと感じている人には、ドラマ『恋せぬふたり』や、小説『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』(著:大前粟生/河出書房新社)、『N/A』(著:年森瑛/文藝春秋)、雑誌『現代思想2021年9月号 特集=〈恋愛〉の現在――変わりゆく親密さのかたち』などをおすすめしたいです。
自分ひとりで抱えていた感情や経験がはじめてちゃんと言語化され、可視化され、「私はひとりじゃなかったんだ……!」となぐさめられ心強い気持ちになる人も、きっといるのではないかと思います。私もそのひとりでした。

『はじめてのジェンダー論』(著:加藤秀一/有斐閣ストゥディア)
『恋せぬふたり』
『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』(著:大前粟生/河出書房新社)
『N/A』(著:年森瑛/文藝春秋)
『現代思想2021年9月号 特集=〈恋愛〉の現在――変わりゆく親密さのかたち』(青土社)

📻「Sleepoverプチ忘年会」│わたしたちのスリープオーバー
📻「Sleepoverプチ新年会」│わたしたちのスリープオーバー

エミリー

1991年生まれ。フリーライター兼会社員として活動。
主にフェミニズムやジェンダーにまつわることをベースとした、エッセイやコラムなどを執筆。
学び、考え、言葉にすることを通して、未来の誰もが少しでも生きやすい世の中になることを願っています。

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性にまつわる悩みやモヤモヤをみんなで持ち寄り、共感や発見をシェアしていくような語り合いは、とても豊かなもの

清田隆之さん

1. 「こんなこと、きっととるにたらないから」と性にまつわることをたったひとりで悩み、考えたことのある、今を生き抜いている人たちに届けたい言葉。

「自分の悩みごとなんて……」みたいな気持ちになってしまうことってありますよね。でも悩んでいることは事実なわけで、そこに大きいも小さいもないと思います。ひとりで悩み考えること自体は、自己理解を深め、心を豊かにしてくれる、とても価値ある行為だと思います。でも、思考が堂々めぐりし、孤独感が深まってしまったら要注意ですよね。そんなときはぜひ他者や社会に視野を広げてみてください。性にまつわる悩みやモヤモヤをみんなで持ち寄り、共感や発見をシェアしていくような語り合いは、とても豊かなものだと思うので!

2.いま特に関心を寄せている、性にまつわる課題やトピックは? その課題が改善するために、一人ひとりが取り組めることとは?

個人的に関心があるのは「男性にとって性欲とはどういうものか」というテーマです。経済的な利益と直結するためか、この社会には性的なサービスやコンテンツがあふれている一方、なかば強制的に刺激され、かき立てられ、選ばされることで駆動していく男性の性欲は、本当に男性たちが望んでいるものなのか、その人自身の心や身体に合ったものなのか、個人的に疑問がありまして……。一人ひとりの声を集めながら、そんな問題について考えていけたらと思っています。

3.性にまつわる正しい知識を学び、押し込めていた感情や経験に自分の言葉で向き合えるようになる、おすすめの作品は?

『おうち性教育はじめます』(著:フクチマミ、村瀬幸浩/KADOKAWA)
科学的な知識を土台に、「自分と相手を大事にするためにはどう関わっていくべきか」を教えてくれる性教育の入門書です。

『あそびあい』(著:新田章/講談社)
自分の欲望と快楽に正直で、いろんな人と関係を持ってしまう女子高校生の小谷さんを通じ、性とジェンダーをめぐる規範意識をぐらぐら揺さぶられるマンガ作品です。

『1122』(著:渡辺ペコ/講談社)
“公認不倫”というルールを設けたひと組のセックスレス夫婦を描いた物語。「あり/なし」の線引きはどこにあるのか、善悪の区別はどこでつけられるのかなど、性にまつわる価値観を問い直されるマンガ作品です。

『すべてはモテるためである』(著:二村ヒトシ/イースト・プレス)
男性の心と身体をひたすら「因数分解」し、“性欲”というひと言で雑にまとめていた欲望や願望をひとつひとつ改めて見つめ直していく一冊。男子必読の性愛をめぐる哲学書です。

『おうち性教育はじめます 一番やさしい!防犯・SEX・命の伝え方』(著:フクチマミ、村瀬幸浩/KADOKAWA)
『あそびあい』(著:新田章/講談社)
『1122』(著:渡辺ペコ/講談社)
『すべてはモテるためである』(著:二村ヒトシ/イースト・プレス)

📻「“モテ”から考える、“男らしさ”って?」Vol.1│わたしたちのスリープオーバー
📻「“モテ”から考える、“男らしさ”って?」Vol.2│わたしたちのスリープオーバー

清田隆之

文筆業、恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表。「恋愛とジェンダー」をテーマに様々な媒体で執筆。著書に『さよなら、俺たち』(スタンド・ブックス)『自慢話でも武勇伝でもない「一般男性」の話から見えた生きづらさと男らしさのこと』(扶桑社)など。新刊『どうして男はそうなんだろうか会議――いろいろ語り合って見えてきた「これからの男」のこと』(澁谷知美さんとの共編著/筑摩書房)が発売中。

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いつかは味方が現れます。それは研究かもしれないし、本かもしれないし、友人かもしれない

金城小百合さん

1. 「こんなこと、きっととるにたらないから」と性にまつわることをたったひとりで悩み、考えたことのある、今を生き抜いている人たちに届けたい言葉。

私が私を信頼している理由のひとつに、自分が日常で感じた違和感が、その時は周囲の誰とも共有できなくても、その後の世の中でそれは問題だと認識されていく経験にあると思います。
私には世界を納得させるような学もなく、弁も立たず、感情を上手に言葉にすることもできない。
それでも「おかしい」と思い続けることをやめず、たった1人だけだったとしても「私だけは許さない」と、自分の日常の範囲においてそれに反発し続けてきたことが、自分への信頼に繋がっています。
いつかは味方が現れます。それは研究かもしれないし、本かもしれないし、友人かもしれない。この世界のどこか遠くで、自分と同じことに違和感を感じ、悩み、怒っている人がいる。そして各々が自分のフィールドでそれを世界に問うている。そう信じています。

2.いま特に関心を寄せている、性にまつわる課題やトピックは? その課題が改善するために、一人ひとりが取り組めることとは?

「性」が広くて回答が難しいですが……
今年、アメリカの連邦最高裁で、49年前に認められた“中絶は女性の権利”が覆ったり、日本でも選挙の際に、いくつもの政党が同性婚に賛成の立場を取らなかったりする様をみると、「もうちょっと建前だけでもいいから、個人を尊重してくれよ」と思います。
そんなにも話が通じない相手とも対話しなければならないと思うと気が遠くなる。向こうは対話が必要と思っていないから、こちらが「丁寧に」接することが必要だという理屈も分かってはいるが腹立たしいです。でもそんなことを言っていても現実は動かないので、何が一番大事なことなのかを見失わず、そのためにどう動くかを常に自分に問うことでしか、前には進めないように思います。

3.性にまつわる正しい知識を学び、押し込めていた感情や経験に自分の言葉で向き合えるようになる、おすすめの作品は?

『99%のためのフェミニズム宣言』最もしっくりきたフェミニズム本。表面上の連帯や思いやりではない、本気の革命が必要だ。
『これからのヴァギナの話をしよう』世界各地の例をあげて、いかに現代男女が女性を差別しているか、それに慣れきってしまっているかに気がつかせてくれる。軽快でわかりやすくあっという間に読めるので、プレゼントにももってこいです。

『99%のためのフェミニズム宣言』(著:シンジア・アルッザ、ティティ・バタチャーリャ、ナンシー・フレイザー、訳:惠愛由/人文書院)
『これからのヴァギナの話をしよう』(著:リン・エンライト、訳:小澤身和子/河出書房新社)

📻「これってセクハラなのか…?セクハラだったのか…?Vol.3」│わたしたちのスリープオーバー
📻「これってセクハラなのか…?セクハラだったのか…?Vol.4」│わたしたちのスリープオーバー

金城小百合

1983年生まれ。秋田書店に入社後、入社3年目に立ち上げた「花のズボラ飯」が『このマンガがすごい!』オンナ編1位、「マンガ大賞」4位受賞、TVドラマ化など話題に。漫画誌『もっと!』を創刊、責任編集長を務める。その後、小学館に転職。その他の担当作に、藤田貴大主宰の「マームとジプシー」によって舞台化された「cocoon」、TVドラマ化作品「プリンセスメゾン」 、「あげくの果てのカノン」「往生際の意味を知れ!」「サターンリターン」「女(じぶん)の体をゆるすまで」など。現在、スピリッツ編集部に所属しながら、ファッション・カルチャー誌『Maybe!』の創刊、編集にも携わっている。

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「社会という厄介なものにそう思わされている」という構造に気づけたのが、悩みから少し抜け出せたきっかけ

合田文さん

1. 「こんなこと、きっととるにたらないから」と性にまつわることをたったひとりで悩み、考えたことのある、今を生き抜いている人たちに届けたい言葉。

「世界に自分ひとりだったら、この悩みはあっただろうか?」そう考えることがよくあります。
たいてい答えはNOで、私たちは切っても切り離せない「社会」という厄介さの中で生きているからこそ、悩みは尽きません。
自分と自分の性のことに、社会と切り離して向き合いたいのに、社会と切り離して愛してあげたいのに、なかなかさせてもらえないんですよね。
私の場合「社会という厄介なものにそう思わされている」という構造に気づけたのが、悩みから少し抜け出せたきっかけでした。
「きっと私のせいじゃないんだ、社会がそうだから」と、そのことだけは頭と心でしっかりわかっていたいと思っています。

2.いま特に関心を寄せている、性にまつわる課題やトピックは? その課題が改善するために、一人ひとりが取り組めることとは?

パレットークという、性のあり方についてのメディアを運営しているのですが、メディアを上げて同性婚訴訟を応援しています。お互いに共に生きていきたいと考えるふたりが法的に配偶者同士であると認められることで、不安が解消されたり、子供が育つ家庭がふえたりします。

みんなが「どっちでもいいか」と行動しないでいると、世の中の波にさからえず法制化はなかなか近づきません。
一人ひとりが同性婚について調べたり、同性婚に賛成する人に投票したり、訴訟の傍聴に出かけたり、寄付をしたりなどでサポートできます!

3.性にまつわる正しい知識を学び、押し込めていた感情や経験に自分の言葉で向き合えるようになる、おすすめの作品は?

王道だけどNetflixの『セックス・エデュケーション』を仲良しの友だち数人でワイワイしながら見ること。
「あ、これ私もだわ」「こういうこと高校のとき悩んでた」と、気軽にMeTooしやすいんですよね。

Netflix『セックス・エデュケーション』

📻「恋愛するのは当たり前なの?」Vo.1│わたしたちのスリープオーバー
📻「恋愛するのは当たり前なの?」Vol.2│わたしたちのスリープオーバー

合田文

1992年生まれの起業家。「らしく生きるを、もっと選びやすく」をテーマに株式会社TIEWAを設立。マンガでわかるLGBTQ+メディア「パレットーク」編集長をつとめ、共通点でつながる男性同士向けマッチングアプリ「AMBIRD」を運営。ダイバーシティ&インクルージョンの視点を用いた登壇やコンサルティングも行う。

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決してひとりじゃないということ

竹中万季

1. 「こんなこと、きっととるにたらないから」と性にまつわることをたったひとりで悩み、考えたことのある、今を生き抜いている人たちに届けたい言葉。

性にまつわることは生活のあらゆる瞬間に存在しているし、自分自身の尊厳とも大きく関わること。にもかかわらず、とるにたらないように感じてしまうのは、決してあなたのせいではないよということを初めに伝えられたらなと思います。誰かがつくった「普通」が押し付けられる場所では、どうしても心の奥底に悩みを押し込めたくなってしまうのはしかたないはず。そのうえで、小さな悩みであっても決してとるにたらないということはないし、自分が自分のままでいられる環境があれば、それを大切にしてほしい。もし身近にいなかったとしてもどこかに悩みを共有できる人が必ずいるはずで、決してひとりじゃないということを番組を通じて伝え続けていけたらいいなと思います。

2.いま特に関心を寄せている、性にまつわる課題やトピックは? その課題が改善するために、一人ひとりが取り組めることとは?

あまりにも身近に存在している性暴力、もっと多様であっていい家族やパートナーシップのあり方、なぜか学校でしっかり教えてくれないセックスと妊娠、トランスジェンダーへの差別、メディアや作品における表象など。この世界が、一部の人だけでなくあらゆる一人ひとりが自分のありのままを大切にしながら生きていけるような場所であってほしいけれど、それを狭めようとする根源にはいったい何があるのか、ということに関心があります。

自分が女性だからこそ受けた性差別の経験があると同時に、シスジェンダーでヘテロセクシュアルだからこそ得ることができている権利が数多くあることを忘れないようにしながら、関心のある領域の本を読んだり、署名運動やクラウドファンディングなどには積極的に参加したりするようにしています。そして友人と本や映画を観た感想を話し合ったり、最近あった違和感について話したりすることも、積もり積もって社会のムードを変えることにつながるのだと信じています。

3.性にまつわる正しい知識を学び、押し込めていた感情や経験に自分の言葉で向き合えるようになる、おすすめの作品は?

・なかったことにされていると感じるほど普段伏せられがちなヴァギナやオーガズムのこと、生理や妊娠などについてリサーチや対話をもとに綴られた『これからのヴァギナの話をしよう』(著:リン・エンライト、訳:小澤身和子)は10代の頃に読みたかった本! ヴァギナについて語ることは重要であると共に、すべての女性にヴァギナがあるわけではなく、みんなが自分の性器やジェンダーに定義されない人生を送る権利があり、それらは相反しないことだと投げかける「私はヴァギナ以上の存在である」の章がとても好き。

・ベル・フックスの『フェミニズムはみんなのもの 情熱の政治学』(著:ベル・フックス、訳:堀田碧)は、フェミニズムとは「性差別をなくし、性差別的な搾取や抑圧をなくす運動」だと定義し、女性だけでなく男性も含めみんなで社会を変えていく必要があるということに気づかされる。読んだ後に誰かと一緒に感想をシェアしたくなります。

・清水晶子さんのVOGUE連載が一冊になった『フェミニズムってなんですか?』(著:清水晶子)は、性と身体、性暴力、中絶、結婚、ケア、スポーツ、セックスワーク、インターセクショナリティなど多様なキーワードに触れながら、性について学び考えていくための手がかりが掴めるような本。

『これからのヴァギナの話をしよう』(著:リン・エンライト、訳:小澤身和子/河出書房新社)
『フェミニズムはみんなのもの 情熱の政治学』(著:ベル・フックス、訳:堀田碧/エトセトラ・ブックス)
『フェミニズムってなんですか?』(著:清水晶子/文春新書)

📻『わたしたちのスリープオーバー』

竹中万季

1988年生まれ。2017年に野村由芽と自分らしく生きる女性を祝福するライフ&カルチャーコミュニティ「She is」を立ち上げ、2021年に二人で独立し「me and you」を立ち上げる。2022年、「me and you little magazine&club」をオープン。音声番組「わたしたちのスリープオーバー」ナビゲーター。

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どれくらい他人同士が対等でいられるのだろう? 何をもって対等と感じるのだろう?

たなかみさきさん

1. 「こんなこと、きっととるにたらないから」と性にまつわることをたったひとりで悩み、考えたことのある、今を生き抜いている人たちに届けたい言葉。

私も自分の悩みを「取るに足らない」と思っていた時期があります。でもそれを自分にし続ける事は他人の悩みや、社会の悩みも蔑ろにしてしまっている事と同じなのでは? と私の話を真剣に聞いてくれる周りの人達のお陰で思うようになりました。
「自分を愛せなければ人を愛せない」という言葉がありますが、そこまで真っ直ぐにはなれなくても自分の周りの大切な人を大切にするように自分の事も大切にしたいです。

2.いま特に関心を寄せている、性にまつわる課題やトピックは? その課題が改善するために、一人ひとりが取り組めることとは?

性にまつわる信頼関係
それぞれの人間が持つ別々の力、それは筋力、語彙力、精神力と様々にあると思うのですが、こと性に関しては特に力関係や、信頼関係が大切になっていきます。それは夫婦間、恋人、友達であったりSMプレイのようなパートナーシップなどでも重要だと思っていて、それぞれ違う人間がどのように信頼関係を築き、どれくらい他人同士が対等でいられるのだろう? 何をもって対等と感じるのだろう?
様々な関係の人がこの人になら肉体を見せても預けてもよいと決める瞬間に興味があります。

3.性にまつわる正しい知識を学び、押し込めていた感情や経験に自分の言葉で向き合えるようになる、おすすめの作品は?

『先生の白い嘘』鳥飼茜
この漫画は気が付いたら繰り返し読んでいます。
性にまつわる古傷を抉られるようなショッキングな描写が多いので気をつけて読んで頂きたいのですが、この漫画を読んで今まで自分がしてきた事、されてきた事、知りたくなかった事に容赦なくバットでボンボンと頭を殴られている感覚で気づかされるような作品です。
過去から現在の自分を遡って自分の性について意識的に考えたり、自分の体と心の譲れない部分に気づくきっかけになってくれました。私の成長と共に読む年によって心が動く箇所が変わるずっと大切な作品です。

『先生の白い嘘』(著:鳥飼茜/講談社)

📻「イラストレーターたなかみさきさんとスリープオーバー」│わたしたちのスリープオーバー
📻「イラストレーターたなかみさきさんとスリープオーバー」Vol.2│わたしたちのスリープオーバー

たなかみさき

たなかみさき1992年生まれ 
人物のやり取りや、日常生活を描くイラストレーター
現在J-WAVE「midnight chime」のラジオパーソナリティとしても活動中。

性的マジョリティかマイノリティかにかかわらず、個々人が同性間の結婚が認められていない問題を「自分事」として捉える

寺原真希子さん

1. 「こんなこと、きっととるにたらないから」と性にまつわることをたったひとりで悩み、考えたことのある、今を生き抜いている人たちに届けたい言葉。

現在、日本では、同性カップル(法律上同性同士のカップル)の結婚は認められていません。これにより、国から自分たちの存在自体が認められていないように感じ、将来の自分や家族像を思い描くことができず、日々を生き悩んでいる性的マイノリティの方々が少なからずいらっしゃるかと思います。しかし、同性間の結婚が認められないことは、性的マイノリティに対する許されない差別であり、これを解消すべく、今、私が弁護団を務める「結婚の自由をすべての人に」訴訟の原告を含む多くの人々が、具体的なアクションを起こしています。社会は確実に動きつつありますので、注視していただければと思います。

2.いま特に関心を寄せている、性にまつわる課題やトピックは? その課題が改善するために、一人ひとりが取り組めることとは?

同性間の結婚が認められていないことによって、同性カップルは、結婚に伴う多数の権利・利益・保護を受けることができません。また、現在の状況は、国が、同性カップルを異性カップルと同等に保護すべき対象としてみていないという負のメッセージを日々発信し続けているのと同じであり、性的マイノリティに対する差別・偏見を助長することに繋がっています。これは、私自身を含む性的マジョリティが、このような状況に無関心で、結果として差別を放置してきてしまったことによるものです。そうであれば、性的マジョリティにこそ、この状況を解消すべき責任があるとも言えます。性的マジョリティかマイノリティかにかかわらず、個々人がこの問題を「自分事」として捉えることが、とても重要だと考えています。

3.性にまつわる正しい知識を学び、押し込めていた感情や経験に自分の言葉で向き合えるようになる、おすすめの作品は?

2000年にアメリカで製作された映画『ウーマン ラブ ウーマン』(If These Walls Could Talk 2)は、3話のオムニバス形式で、異なる時代に同じ家に住んだそれぞれの女性カップルのエピソードを描いています。性的マイノリティを取り巻く現在の日本の状況を考える上で、非常に参考になる映画だと思います。

『ウーマン ラブ ウーマン』

📻「婚姻制度にもやもやしたことがある?」Vol.3│わたしたちのスリープオーバー
📻「婚姻制度にもやもやしたことがある?」Vol.4│わたしたちのスリープオーバー

寺原真希子

弁護士(日本・NY)。長島・大野・常松法律事務所等の都内事務所勤務、ニューヨーク大学ロースクール留学、メリルリンチ日本証券(株)でのインハウスロイヤーを経て、2010年より弁護士法人東京表参道法律会計事務所共同代表。無償の活動として、選択的夫婦別姓訴訟弁護団、「結婚の自由をすべての人に」訴訟東京弁護団共同代表、公益社団法人「Marriage For All Japan – 結婚の自由をすべての人に」代表理事などを務め、女性と性的マイノリティの人権擁護に努める。

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風通しよくさまざまな知識や感覚が共有されていく世の中に

戸田真琴さん

1. 「こんなこと、きっととるにたらないから」と性にまつわることをたったひとりで悩み、考えたことのある、今を生き抜いている人たちに届けたい言葉。

こんなにも、だれもが孤独に悩み、悩んだことさえも打ち明けられないトピックスはなかなかないと思っています。歴史上、そして今もなお、どれだけのひとたちが「わたしは/ぼくは変なのではないか?」と不安に暮れる夜を越えてきたのでしょうか。
わたしたちのスリープオーバーで出会いなおせるような、あの日の苦しみや恥ずかしさ、今この瞬間も過る不安感、そういったモヤモヤによって、わたしたちはゆるやかに手を繋ぐことができるのかもしれません。今悩んでいる人も、いつか、たいへんだったよね、しんどかったね、と優しく心を撫であえるような時が来るように、そして、わたしたちみんな、誰も変じゃなかったのだと心から安堵できる日が来るように、できるところから、できる形から少しずつ対話を重ねていきましょう。

2.いま特に関心を寄せている、性にまつわる課題やトピックは? その課題が改善するために、一人ひとりが取り組めることとは?

性教育の歯止め規定と、リプロダクティブ・ヘルス/ライツについて。アメリカでもたくさんの議論がなされていますが、日本でもようやく問題の根っこにあった組織や構造の問題が取り沙汰されるようになり、私達が自身の身体と心を守るための知識を得ること自体を意図的に侵害されてきた理由があきらかになったことで、議論が進みそうな気配(どうか、進んでくれと祈りながら)のする現状を追っています。政治をきちんと監視し意見を訴えつづけることも大切ですし、身近なところからは大人たちが性についてタブー視せずに話し合える空気をよりつくっていく、風通しよくさまざまな知識や感覚が共有されていく世の中にしていくことが大事だと思っています。

3.性にまつわる正しい知識を学び、押し込めていた感情や経験に自分の言葉で向き合えるようになる、おすすめの作品は?

竹中夏海さんの『アイドル保健体育』(CDジャーナルムック)。女性アイドルという職業をとりまく環境の構造的問題点を取り上げると同時に、生理・摂食障害・性教育といったテーマを初歩的なところからわかりやすく読ませてくれるやさしい教科書のような一冊です。わたしはアイドルではないけれど、この社会で女性という性に対して求められるプレッシャーや、性にまつわる悩みの内訳はとにかくうんうんと頷ける内容で、性について知識がないなか悩んでいた10代の頃の自分に読ませたい……と思い涙が出ました。わたしもあの頃大変だった、わけがわからなくて苦しかった、と口に出してもいいんだ、という許しを得たような感覚になりました。大人の方があらためて学び直すのにも、これからの女の子たちにすすめるのにも、身近な男性に勉強してもらうのにもおすすめです。

『アイドル保健体育』(著:竹中夏海/CDジャーナルムック)

📻「ラブシーンに違和感をもったことある?」Vol.3│わたしたちのスリープオーバー
📻「ラブシーンに違和感をもったことある?」Vol.4│わたしたちのスリープオーバー

戸田真琴

セクシー女優・文筆家・映画監督。写真集に「The Light always says.」(幻光社)、著書に『あなたの孤独は美しい』(竹書房)、『人を心から愛したことがないのだと気づいてしまっても』(KADOKAWA)、監督作に映画「永遠が通り過ぎていく」がある。
作品のディレクションや衣装スタイリング、Podcast、小説の執筆など活動は多岐にわたる。2022年8月29日に最新写真集『神画』(主婦の友インフォス)をリリース。

性に対する感じ方こそ、その人に固有で、他の人とは代替え不可能な、“感覚の貯蔵庫”のようなもの

中村佑子さん

1. 「こんなこと、きっととるにたらないから」と性にまつわることをたったひとりで悩み、考えたことのある、今を生き抜いている人たちに届けたい言葉。

性に対する感じ方こそ、その人に固有で、他の人とは代替え不可能な、“感覚の貯蔵庫”のようなものだと思います。
性はいままで、ふざけて自分を嘲笑するように、あるいは赤裸々に、あるいは露悪的に、あるいは自分を調査し分析しながら冷静に……とても限られた話し方しかされてこなかったのだと思います。
きっともっと自分にしかできない語り方で、性を語ることができる。
性を考えることはとても孤独なことだけど、
どんなささいな感じ方でも、そこにいやおうなく自分の姿が映っている。
だから嫌気がさすこともあるけれど、自分にしか大切にできないものでもある。

2.いま特に関心を寄せている、性にまつわる課題やトピックは? その課題が改善するために、一人ひとりが取り組めることとは?

性教育。
性行為だけでなく、男女の身体の成り立ち、マスターベーション、避妊、月経、出産、授乳……男女別の教室ではなく、オープンかつ自然に教える土壌を作りたい。
タブー視するから、人は隠れて近づきたくなる。
自分の子どもたちには、早くから自然に教えていこうと思っています。

3.性にまつわる正しい知識を学び、押し込めていた感情や経験に自分の言葉で向き合えるようになる、おすすめの作品は?

サリー・ポッター監督『オルランド』。ヴァージニア・ウルフによる、ジェンダー研究に多大な影響を与えたといわれる一作を、サリー・ポッター監督が映画化。初めは王子として描かれた主人公の性が途中で変わり、男の人を愛し、子をもうけるまで描かれる。
演じきったティルダ・スウィンソンが(そもそもジェンダーフリーな女優ですが)大変美しい。
ジェンダーが変わっても人を愛し、生きることはなにも変わらない。
ロココの時代から現代までを駆け抜ける、一人の<彼女/彼>の内的一貫性を捉え切っている。

『オルランド』

📻「母と娘 映像作家の中村佑子さんとスリープオーバー」│わたしたちのスリープオーバー
📻「母と娘 映像作家の中村佑子さんとスリープオーバー vol.2」│わたしたちのスリープオーバー

中村佑子

1977年、東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒。編集者を経て、テレビマンユニオン参加。映画作品に『はじまりの記憶 杉本博司』、『あえかなる部屋 内藤礼と、光たち』、テレビ演出作にNHK「幻の東京計画 首都にありえた3つの夢」等がある。シアターコモンズにて、スーザン・ソンタグ『アリス・イン・ベッド』リーディング演出、AR映画『サスペンデッド』脚本・演出。2020年、初の単著となる『マザリング 現代の母なる場所』を出版。立教大学映像身体学科兼任講師。

映画『あえかなる部屋 内藤礼と、光たち』
『マザリング』まえがき
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性は大事な己の一部

西野芙美さん

1. 「こんなこと、きっととるにたらないから」と性にまつわることをたったひとりで悩み、考えたことのある、今を生き抜いている人たちに届けたい言葉。

性は時に自分を悩ませたり、誰かを傷つけたりするものだけれど、人生を彩ってくれる豊穣なものでもあります。悩みを解決するためのサポートが、世の中にはたくさんあります。どうかあなたがアクセスしてくれますように。そしてどうかその悩みが、あなたの傷跡ではなく、いつか気づきとなり糧となって、実りある経験をもたらしてくれますように。

2.いま特に関心を寄せている、性にまつわる課題やトピックは? その課題が改善するために、一人ひとりが取り組めることとは?

大多数の人にとって、性が一様に覆い隠すべきものだと思われていて、大事な己の一部だと感じられていないこと。なにか違和感を抱いたとき、「どうしてそう思うの?」「なぜそれが当たり前なんだと思う?」と、一度立ち止まって考えてみる。そういった一人ひとりのちいさな省察が、いずれ大きな波になるのだと思います。

3.性にまつわる正しい知識を学び、押し込めていた感情や経験に自分の言葉で向き合えるようになる、おすすめの作品は?

小倉千加子『セックス神話解体新書』(ちくま文庫)。世の中に張りめぐらされた性の神話を、まな板の上でバサバサと腑分けしていくさまは痛快そのもの。ライブ感あふれる言葉は世の中に向かいつつ、自分はどうなの? と否応なく読者にも問いかけてきます。

『セックス神話解体新書』(著:小倉千加子/ちくま文庫)

📻「セックスの数は愛情のバロメーターなの? VOL.3」│わたしたちのスリープオーバー

西野芙美

早稲田大学文化構想学部を卒業後、出版社での勤務を経て株式会社TENGAに入社。2021年3月より国内マーケティング部 部長。TENGAグループが展開するブランド「TENGA」「iroha」「TENGAヘルスケア」のPR業務を統括するほか、自身も広報として活動。

作品を生み、皆さんの一人の時間と交わっていたい

根本宗子さん

1. 「こんなこと、きっととるにたらないから」と性にまつわることをたったひとりで悩み、考えたことのある、今を生き抜いている人たちに届けたい言葉。

この2年半、本当に全員しんどいと思います。
「元気」と言える日っていつが最後だったかなって思います。
「それなり」をなるべく毎日重ねることがきっと今の幸せだし、なんとか「それなり」を維持する毎日だなって思います。
作品を生み、皆さんの一人の時間と交わっていたいです。

2.いま特に関心を寄せている、性にまつわる課題やトピックは? その課題が改善するために、一人ひとりが取り組めることとは?

先日、学校の校則についてのニュースを目にしました。校則についてはもうここ10年くらいずっと問題になっていますが、もう言葉もなかったです。

・眉毛を整えたから罰
・ポニーテールにしていたから罰

わけがわからないだろ、というのが正直な感想です。ポニーテールは毛先が他の人の目に入るかもしれないから、という理由だそうですが、そんな校則入りますか?それぞれの性別にいろんなルールが作られていますが、そんなもの本当にいりますか?
「思春期の子がおしゃれにばかり関心を持ち、勉学に興味を持たないと困るから」
という理由だって、ただの言い訳だろと思います。
人間は楽しいことに関心を持ちます。勉学の楽しさを教える先生に当たれば、楽しくやれるし、それ以前に学校側はそんなくだらぬルールを考える時間を別のことに使って欲しいです。

化粧するもしないも、個人の自由。見た目と勉強が関係ないことくらい、もうわかりますよねの気持ちです。人間ってそんな簡単なことで形成されていないですよね。

3.性にまつわる正しい知識を学び、押し込めていた感情や経験に自分の言葉で向き合えるようになる、おすすめの作品は?

アムステルダムに行った際、街を歩いたりミュージアムを巡りながら「女性」という存在についてとても考えさせられました。
長年この仕事をしていると、とても大きなものを描こうとはしているけれど、どうしても日本の演劇界というとても狭いところしか20代の自分は見えていなかったなと思い、それはもちろん性についての感覚も。
30歳になるタイミングで訪れたんですが、広く、様々な感覚を知りながら作家を続けたいなと感じるきっかけになり、すごくよかったなと思っています。

📻「劇作家・演出家の根本宗子さんとスリープオーバー」│わたしたちのスリープオーバー
📻「劇作家・演出家の根本宗子さんとスリープオーバー」vol.2│わたしたちのスリープオーバー

根本宗子

19歳で劇団、月刊「根本宗子」を旗揚げ。以降劇団公演全ての作・演出を手がける他に、様々なプロデュース公演の作・演出も担当。近年では様々なアーティストとタッグを組み完全オリジナルの音楽劇も積極的に生み出している。常に演劇での新しい仕掛けを考える予測不能の劇作家。現在、初の小説「今、出来る、精一杯。」が発売中。10月には原作・脚本を手掛けた映画「もっと超越した所へ。」の公開も控えている。

どんなに「とるにたらない」ざらつきだったとしても、生活を営んでいくうえでの確かなひとこま

野村由芽

1. 「こんなこと、きっととるにたらないから」と性にまつわることをたったひとりで悩み、考えたことのある、今を生き抜いている人たちに届けたい言葉。

「些細」や「とるにたらない」などと世の中で言われているたいがいのものごとは、大切なことなのではないかと個人的に思っています。たとえば、言われて/されて嫌だったこと、やって/やってしまって後悔したこと、それらはどんなに「とるにたらない」ざらつきだったとしても、生活を営んでいくうえでの確かなひとこまです。
人生は、小さなひとこまの積み重ねのうえに成り立っているのだと思うと、その断片を「とるにたらないもの」となかったことにして、別の何かに目を向けさせる力はなにやら歪です。「なかったこと」にしたほうが、都合がよい人がいるのではないか? と疑わないといけないなと感じるし、特定の誰かやなにかを「無力化」しようとする所作には注意を払い、抗わなければならないと思っています。

あなたの悩みもわたしの心のざらつきもとるにたらなくないし、一つひとつが集まれば一緒に対処していけるものになる。あなたやわたしの心もからだも、自分の意思でもっと大事に扱っていい。こういったことを社会のなかで共有することが、性の話を前進させるのではないかと思います。

2.いま特に関心を寄せている、性にまつわる課題やトピックは? その課題が改善するために、一人ひとりが取り組めることとは?

特定のジェンダーやセクシュアリティの人々への差別、インターセクショナルな視点を大切にしたフェミニズム、中絶の権利などを含む、セクシュアルリプロダクティブヘルス&ライツなどに特に関心があります。
具体的には、「結婚の自由をすべての人に – Marriage for All Japan -」の活動報告を見て寄付をしたり、性差別反対の意思のもと行われる署名運動に参加したりといったスピード感を大切にする行動と、本や映画などと向き合い、自分が抱えている疑問やまだわかっていないことをじっくり考える時間の両方を自分なりに行き来するようにしています。

She isというコミュニティメディアを運営していたときには、「女性はこうあるべき」といった、社会の「属性」によって生き方を限定されるような風潮や言説への異議申し立てとして、一人ひとり異なる声があることを伝える場所をつくろうとしました。
その過程でさまざまな人に出会い、話を聞くなかで、シスジェンダーの女性だけではなく、さまざまなジェンダーアイデンティティやセクシュアリティの一人ひとりにもそれぞれの困難があることに耳を傾け、考え、行動していきたいという思いを強くもつようになり、me and youというかたちでいま活動しています。
絡み合った社会の構造のなかで、自身が差別的な状況の維持に加担している可能性があると知り、わたしはわたしだけではなく、より声の届きにくい異なる誰かの味方でいられるように、自分ができることを考え、取り組んでいきたいです。

3.性にまつわる正しい知識を学び、押し込めていた感情や経験に自分の言葉で向き合えるようになる、おすすめの作品は?

『ウォークス: 歩くことの精神史』(著:レベッカ・ソルニット、訳:東辻賢治郎/左右社)
『説教したがる男たち』で「マンスプレイニング」という言葉を世に広めたレベッカ・ソルニットが、歩くことが思考と文化にどのように結びついてきたかについて考察した本。
「夜歩く──女、性、公共空間」の章では、公共の場に夜出歩くことが今よりもままならなかった女性たちはどこにおしやられていたのか、どのようにまなざされてきたかなどが綴られています。

【書物復権】『カタコトのうわごと 新版』 (著:多和田葉子/青土社)
ドイツ語と日本語で作品を書き続ける多和田葉子さんが1991年に発表したエッセイ集の新版。
性をテーマにした本ではありませんが、「社会人である女性が本気で使える罵倒語」の少なさに言及したり、年齢の若い女性の作家が「ミズミズシイ感性」のようなものを持っていることにされているといった描写があったりなど、言葉の境界をためつすがめつ眺める過程で、言葉とセットになっていた「凝り固まった思い込み」がはらはらと剥がれ落ちていく快感があります。そのなかに、性に対する鋭い批評も含まれていると感じます。

『ウォークス: 歩くことの精神史』(著:レベッカ・ソルニット、訳:東辻賢治郎/左右社)
【書物復権】『カタコトのうわごと 新版』 (著:多和田葉子/青土社)

📻『わたしたちのスリープオーバー』

野村由芽

編集者。2017年に竹中万季と自分らしく生きる女性を祝福するライフ&カルチャーコミュニティ「She is」を立ち上げ、2021年に二人で独立し「me and you」を立ち上げる。2022年、「me and you little magazine & club」をオープン。音声番組「わたしたちのスリープオーバー」ナビゲーター。

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「性にまつわる課題は全くもって個人のみの課題ではない」

はらだ有彩さん

1. 「こんなこと、きっととるにたらないから」と性にまつわることをたったひとりで悩み、考えたことのある、今を生き抜いている人たちに届けたい言葉。

「とるにたらないから」とためらうとき、私はなぜ自分が「そう」思うのかを、誰が自分に「とるにたらない」と思わせているのかを考えます。なぜなら性にまつわる悩みは社会によってもたらされているからです。社会が性について「こうあってほしい」と期待し、私たちの行動を左右しているからです。私が今悩んでいることは、私と目の前のできごとだけで完結する、私だけの範囲で解決しなければならない問題ではないのです。

2.いま特に関心を寄せている、性にまつわる課題やトピックは? その課題が改善するために、一人ひとりが取り組めることとは?

トピック:体と性を、場合によってはさほど関連しないものとして考えたり、場合によっては切り離さずに考えたりすることをもっと自由に実践できる方法。性にまつわる話題がどういうわけかとにかく苦手な人が、無理せずに健康管理やセックスについての選択肢を広げられる方法。「性」という言葉の大まかさを意図的に跨いで、ひとつひとつの問題のとっかかりを見逃そうとする社会的な「とぼけ」に抵抗する方法。

取り組めること:「性にまつわる課題は全くもって個人のみの課題ではない」と一人ひとりが認識し、いつでも大きな声を出せるように助走をつけておくこと。具体的にはニュースを追い、人と話す練習をすること。

3.性にまつわる正しい知識を学び、押し込めていた感情や経験に自分の言葉で向き合えるようになる、おすすめの作品は?

『これからのヴァギナの話をしよう』リン・エンライト

ヴァギナが目や耳と同じように「それ専用の情報を過不足なく取捨選択できるべき」いち器官であり、それ以上でも以下でもないはずであること、にもかかわらず他者から余計な意味を課せられてきたことを厳密な言葉で知り、厳密な言葉で言語化できるようになるための本。

『これからのヴァギナの話をしよう』(著:リン・エンライト、訳:小澤身和子/河出書房新社)

📻「セックスの数は愛情のバロメーターなの?」│わたしたちのスリープオーバー
📻「セックスの数は愛情のバロメーターなの? VOL.2」│わたしたちのスリープオーバー

はらだ有彩

テキスト、テキスタイル、イラストを作るテキストレーター。著書に『日本のヤバい女の子』(柏書房/角川文庫)、『百女百様』(内外出版社)、『女ともだち』(大和書房)、『ダメじゃないんじゃないんじゃない』(角川書店)。

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あなたは絶対にひとりではないし、共鳴する魂は案外近くに潜んでいるもの

haru.さん

1. 「こんなこと、きっととるにたらないから」と性にまつわることをたったひとりで悩み、考えたことのある、今を生き抜いている人たちに届けたい言葉。

ひっそり、ゆっくり悩むこともあれば
今すぐにでもどうにかしたいと
身体が熱を帯びるように悩むこともある。
あなたは絶対にひとりではないし、
共鳴する魂は案外近くに潜んでいるものなので、調子のよい日は心と好奇心を少し広げてみてください✩⌢芝生の上にシーツを敷くように。

2.いま特に関心を寄せている、性にまつわる課題やトピックは? その課題が改善するために、一人ひとりが取り組めることとは?

女性というだけで(医学部などの)受験時に不利になること、性欲の減退、トランスヘイト、遅れている性教育……頭を悩ます深度の差はあれど、あげたらきりがないくらい。でもやはり口に出す、が最初の一歩なのかなと思います。許してはいけない差別にはしっかりNOと意思表示をすること。身近な人と話すだけでも心強い体験になるので、それが連鎖していくといいなと思います。

3.性にまつわる正しい知識を学び、押し込めていた感情や経験に自分の言葉で向き合えるようになる、おすすめの作品は?

タヴィ・ゲヴィンソンが編集長をしていた『ROOKIE』は10代の私のバイブルでした。想像しうるすべてのトピックがそこで表現されていた気がする。性に関しても、正しい性の知識というよりは、同世代の女の子たちが自分の身体や性の悩みをクリエイティブなアウトプットで語り合える場所。「私にもできる(話せる)かもしれない」という意欲をかき立ててくれるメディアはとても貴重だなと思います。

『ROOKIE』

📻「婚姻制度にもやもやしたことがある?」Vol.1│わたしたちのスリープオーバー
📻「婚姻制度にもやもやしたことがある?」Vol.2│わたしたちのスリープオーバー

haru.

1995年生まれ、東京在住。学生時代に同世代のアーティスト達とインディペンデント雑誌HIGH(er)magazineを編集長として創刊。2019年に株式会社HUGを立ち上げ、仲間とともに働き方を模索中。「自分たちに正直でいること」をものづくりのモットーに掲げる。

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あなたのひっかかる気持ちを大切にできる場所をぜひ大切に

和田彩花さん

1. 「こんなこと、きっととるにたらないから」と性にまつわることをたったひとりで悩み、考えたことのある、今を生き抜いている人たちに届けたい言葉。

「こんなこと、きっととるにたらないから」と自分で考えてしまったり、そんな言葉を周りから言われる場面ってときどきありますよね。
きっと、「こんなこと、きっととるにたらない」という言葉が出てくる前に、なんとなくひっかかる気持ちというものにすでに向き合われていると思います。

日々の生活のなかでは、どうしてもそのときの気持ちをリアルタイムで消化できるわけではなかったり、ときにはなかったことにしてしまったりしますよね。なので、ひっかかる気持ちに気づくっていうのは素晴らしいことなのだと私は思っています。

また、この場所がそうであるように、ひっかかる気持ちをさまざまな形で届けようとしてくれる方々がいます。あなたのひっかかる気持ちを大切にできる場所をぜひ大切にしてみてくださいね。

きっと、「こんなこと、きっととるにたらない」ことなんてひとつもないと思います。

2.いま特に関心を寄せている、性にまつわる課題やトピックは? その課題が改善するために、一人ひとりが取り組めることとは?

関心を寄せている課題はさまざまありますが、緊急避妊薬のアクセス改善ははやいペースで進めてほしいなと思いながら、行方を見守ってます。
一人ひとりが取り組めることとなると答えに迷ってしまうので、個人的に気をつけていることを書いてみます。
性にまつわる課題は、教育で教えてもらえるものではなかったとここ数年で気づいたので、まずは生きてるなかで感じるもやもやを大切にしながら、問題点を知るように心がけています。また、ネットや友達間での話題ではなく、専門家の情報を得ることも心がけています。

3.性にまつわる正しい知識を学び、押し込めていた感情や経験に自分の言葉で向き合えるようになる、おすすめの作品は?

川上未映子さん『夏物語』

本書を読み進めていくと、幼い頃に感じていた疑問や大人になることへの嫌悪感のようなものまで思い出しました。今の大人になった自分の視点で、幼少期の自分を振り返りながら読んでいくことができました。

『夏物語』(著:川上未映子/文藝春秋)

📻「自分の見た目がいやになったことがある?」Vol.1│わたしたちのスリープオーバー
📻「自分の見た目がいやになったことがある?」Vol.2│わたしたちのスリープオーバー

和田彩花

1994年8月1日生まれ。群馬県出身。アイドル。2009年4月アイドルグループ「スマイレージ」(後に「アンジュルム」に改名)の初期メンバーに選出。リーダーに就任。2010年5月「夢見る15歳」でメジャーデビューを果たし、同年「第52回日本レコード大賞」最優秀新人賞を受賞。2019年6月18日をもって、アンジュルム、およびHello! Projectを卒業。アイドル活動を続ける傍ら、大学院でも学んだ美術にも強い関心を寄せる。

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同じ時代に生き、それぞれの場所で性について向き合う一人ひとりの言葉が、個人と社会をとりまく性のモヤモヤを少しでもときほぐし、誰かが抱える性の困難や問題に、一人でも多くの人が自分ごととして取り組んでいくきっかけになることを願って。いつか、あなたの性の話も、聞かせてください。

『わたしたちのスリープオーバー』

この番組のテーマは「性にまつわることをいつもの自分の温度で話しはじめてみる」。自分や相手のからだ、セックス、性差別、一人ひとり異なるセクシュアリティ、ジェンダーアイデンティティ、してもしなくてもいい恋愛などについて、普段から個人的な違和感や疑問を抱いているゲストや専門家、そしてリスナーのみなさんとおしゃべりしていくプログラムです。2021年7月のポッドキャスト番組開始以降、これまで「セックスの数は愛情のバロメーターなの?」「婚姻制度にもやもやしたことがある?」「ラブシーンに違和感を持ったことある?」「母と娘」などさまざまな性にまつわるトピックスをテーマに、ナビゲーターであるme and youの野村由芽・竹中万季が、ゲスト・専門家・リスナーのみなさんと知識や考えを深めてきました。2021年10月からは、J-WAVEでのラジオ放送もスタート。ポッドキャスト版のダイジェストに音楽も加わった、ラジオバージョンをオンエアしています。

性にまつわることを、いつもの自分の温度で話してみませんか?自分や相手のからだ、セックス、性差別、ひとりひとり異なるセクシュアリティ、ジェンダーアイデンティティ、してもしなくてもいい恋愛についてなど、さまざまなトピックを自分の言葉で話しはじめ、考えはじめてみる。ここは、気負わず、飾らずおしゃべりする、お泊まり会のような場所です。

世の中の常識や自分自身の思い込みをときほぐすために、個人的な違和感や疑問を手がかりに話しはじめるきっかけと学ぶきっかけをつくり、自分自身がより生きた心地がするよう、選べる扉を増やしていく。「こんなこと、きっととるにたらないから」とたったひとりで悩み、考えたことのある、今を生き抜いているすべてのわたしたちへ。

わたしとあなたで、おしゃべりを。

💫SPINEARおよびApple Podcasts、Spotify、Amazon Music、Google Podcasts などの主要リスニングサービスで配信中(毎週金曜日更新)。また、J-WAVE(81.3FM)で毎週金曜深夜25時30分からダイジェスト版を放送中です。

💫性にまつわることを、いつもの自分の温度で話してみませんか? わたしたちのスリープオーバーでは、性にまつわるお悩みやモヤモヤ、今考えていることなどお便りも募集中💌採用されるとオリジナルステッカーをプレゼント。webサイトからぜひお待ちしております。

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