※1:臺灣國際酷兒影展(台湾国際クィア映画祭)は、2014年の創設以来、毎年秋に台湾で開催される国際クィア映画祭。台湾の人々に世界中のクィア映画を紹介するだけでなく、台湾の優れたクィア映画を国際的な舞台で紹介することにも力を入れる。映画の上映の他に、監督によるレクチャーイベントや地元の映画制作者を対象とした2日間のワークショップなど、クリエイター同士の交流と対話の場づくりにも力を入れる。1990年代に台湾で始まった同性愛者の人権を求める運動から生まれた映画祭で、映画やメディアを通してクィアの声を一般市民や政府に発信し、コミュニティの連帯を促すことを目的としている。
※2:Portico Media は、コンテンツ制作とチャンネル配信を行うメディア企業。台湾の主要なIPTVやデジタルケーブルのプラットフォームと提携し、世界のプレミアムチャンネルやコンテンツを配信している。
※3:婚姻平權大平台(結婚平等権利連盟)は、2016年に女性の権利団体とGagaOOLalaを含むLGBTQ+の権利団体、合計5団体の組成母体が結成した市民団体。結婚の平等を訴え、台湾のジェンダー運動史上最大規模となった25万人を超えるデモを率いたり、立法府への働きかけの他、全国での講演会や展示会など、2019年の同性婚の法制化の実現に多大な貢献をした。この連盟は2020年に彩虹平權大平台(台湾平等運動)と名前を変え、あらゆるジェンダーの不平等をなくし、より多様で包括的な台湾社会を実現するために活動を続けている。LGBTQ+コミュニティと共に、政策提言、社会教育活動、デジタルコンテンツの作成、リサーチ、企業研修、法令の草案作成、政府の監視と助言など、幅広くジェンダー運動を展開してきた。
※4:国立台湾大学のフランス文学の教授であり、数々の台湾ニューシネマのフランス語字幕を担当した翻訳家、そしてコラージュ画家のジャック・ピクーさんは、35年間一緒に暮らした同性パートナーの曽敬超さんの死後、自ら命を絶った。二人は法律上結婚できなかったため、2015年に曽さんが癌で亡くなった際、ピクーさんは家族として救命措置に意見する法的権利がなく、遺体を引き取ることもできなかった。また、曽さんはピクーさんに財産を遺せなかった。この出来事をきっかけに、台湾では各界で同性婚の合法化を求める声が高まった。
※5:Queermosa Awardsは、芸術、音楽、政治、ジャーナリズム、映画、ビジネスの分野において、LGBTQ+の声を届けるために努力する人々や企業の功績を称える授賞式。第1回目には500人以上のゲストが参加し、LGBTQ+を支持する音楽家やアーティストがパフォーマンスを披露した。計らずしてJacques Picouxさんの自殺から2週間後に開催され、結婚の平等を求める社会運動と婚姻平權大平台の創設のきっかけになり、この問題を一般に広く認知させることになった。
※6:台灣同志家庭權益促進會(台湾LGBT家族権利擁護協会)は、政策や法律を通じてLGBTQ+の家族の権利のために活動している団体で、性別や性的指向に関係なく安心して家庭で子どもを育てられる社会を目指して、LGBTQ+家族のコミュニティやネットワーク形成、社会教育を行っている。2016年に子どもを持ちたいLGBTQ+家族向けに窓口を設け、人工授精や養子縁組の相談、権利の保護、情報提供、専門機関への紹介を行うGagaOOLalaと同様に彩虹平權大平台の組成母体の一つ。
(取材:2021年10月1日)