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「同じ宇宙でお互いの引力に影響し合う私たち」(日記:川越祐子、返事:岸あいり)

まなざしは光、見守ることは愛

“まず日記をつけるリズムをつくること。そして個人的な日記を共有してみること”。そんなひそやかな試みを形にするべく、「日記をつける三ヶ月」というワークショップを「日記屋 月日」とme and youが開催しました(2022年9〜11月の全5回にわたり実施)。me and you little magazineでは、最終回でおこなった「ある人の日記を読み、別の誰かがお手紙を寄せる」という企画に参加いただいた方々の「日記文通」をお届けします。

日記をつけることは個人的な行為であるにもかかわらず、誰かの日記を読んでみると、他者であるはずのその人の感情や思考と、自分のそれが交差する驚きが生まれることもあります。わかりやすさを重視してならされた言葉ではないからこそ、そのときを生きる人たちの営みや世界のありようをより一層くっきりと映し出すこともあるかもしれません。今回は、ワークショップ参加者である川越祐子さんの日記に、岸あいりさんがお返事を書いた日記文通をご紹介します。

※今回の「日記文通」は、me and youが隔週金曜日にお届けしているニュースレター「message in a bottle」(登録はこちらから)内で実施している企画をもとにしています。
※この記事は、「日記屋 月日」とme and youの「日記をつける三ヶ月」のワークショップで書かれた日記とお返事をほぼ原文ママで掲載したものとなります。

2022年10月30日(日)の日記/川越祐子

フツーのお母さん。
なんていないんだな、どこにも。
おとといの夜は蟹ブックスへ。鳥羽和久さんの新刊を購入。このところ考え続けていることへの答えがあった気がしたのに、もう頭のなかから消えてしまった。まだ本当の意味ではわかっていないのだろう。
トークショー。ショウじゃないか。人の言葉に耳を傾ける人のまなざしがとても好きだ。質問者へ向けるまなざしのやさしさになんだかウルッとする。あの若者が、まとまらない自分の気持ちを打ち明けられる場所があってよかったと思うし、私もその場所に立ち会えてよかったと思う。後ろの席で彼の後頭部を見ながら、幸せであれと願う。それが何になるわけでもないけれど。
JINのシングル曲、MVを観ていたら胸がキュッとなった。Moon、Jamais VuそしてThe Astronaut。同じ宇宙でお互いの引力に影響し合う私たち。輝く人が眩しくて自分がつまらないと感じたら、その光源は自分であるということに気づいて。まなざしは光。

お返事/岸あいり

川越さんへ
川越さんと2人でお話したのは10月中旬で、そこから風がページを捲るように時は経って、あの日以降の日記から選ぼうと、10月30日にお返事を送ります。
日記を読ませて頂いて、「まなざし」ということばをいつだって大事に抱えていたくなりました。
わたしはまだ蟹ブックスにも行けずじまいで、鳥羽さんの本も読めていないままです。
それでもそのトークショーの空間が、とてもあたたかな場所だったことがよくわかりました。浮かんでは消えていく答えも、とりとめのない悩みも、まとまらない感情も「まなざし」に救われること。「何になるわけでもない」ことの救いの大きさは、はかり知れないと思います。
きっとその“若者”の方は、帰り道澄んだ夜空を見上げることができたのだろうなと。
そして、その遠く遠くの宇宙に響く音楽について。
1番深い夜に星は輝くこと、天の川は流れること。
まなざしは光、そう思ったら彼らの伝える“自分を愛すること”ができそうな気がします。
まなざしは光、見守ることは愛。
これからやってくる12月、あたたかな冬を越えていけますように。

川越祐子

岸あいり

日記、詩、写真が好きです。日記本「ぬけがらの月」、ZINE「食べ残した退屈」「下手くそなビブラートが愛おしい」などを制作。
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