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「私もそっちに行きたいのだけど、行けるのだろうか」(日記:白鳥菜都、返事:下田理沙子)

ある人から見たら

“まず日記をつけるリズムをつくること。そして個人的な日記を共有してみること”。そんなひそやかな試みを形にするべく、「日記をつける三ヶ月」というワークショップを「日記屋 月日」とme and youが開催しました(2022年9〜11月の全5回にわたり実施)。me and you little magazineでは、最終回でおこなった「ある人の日記を読み、別の誰かがお手紙を寄せる」という企画に参加いただいた方々の「日記文通」をお届けします。

日記をつけることは個人的な行為であるにもかかわらず、誰かの日記を読んでみると、他者であるはずのその人の感情や思考と、自分のそれが交差する驚きが生まれることもあります。わかりやすさを重視してならされた言葉ではないからこそ、そのときを生きる人たちの営みや世界のありようをより一層くっきりと映し出すこともあるかもしれません。今回は、ワークショップ参加者である白鳥菜都さんの日記に、下田理沙子さんがお返事を書いた日記文通をご紹介します。

※今回の「日記文通」は、me and youが隔週金曜日にお届けしているニュースレター「message in a bottle」(登録はこちらから)内で実施している企画をもとにしています。
※この記事は、「日記屋 月日」とme and youの「日記をつける三ヶ月」のワークショップで書かれた日記とお返事をほぼ原文ママで掲載したものとなります。

2022年9月28日(水)の日記/白鳥菜都

母と同じくらいの年齢のおじさんたちが、ものすごく面白い仕事の話を聞かせてくれる。自分の会社の社長も、取引先の社長も、取材相手の職人も、よくわからないコミュニティで出会った20歳以上離れた友人も。その度に、「ああ、私は将来はかっこいい“おじさん”になりたい」と思う。大人の男性に「なりたい」という意味で憧れる気持ちは、どこかで終わるタイミングが来るのだろうかと思っていた。違った。会社に勤め始めてからその気持ちは増すばかりだった。

どこまで行っても憧れる先が“おばさん”ではなくて“おじさん”なのが、不思議でもあり、悔しくもある。今のところ私は“おばさん”になる予定なので、悔しいのだ。自分の40代、50代がイマイチ見えない。

ものすごく面白い“おじさん”たちは、(今のところ)優しい人たちだし、自分の特権性に気づいているし、その上で20も30も歳下の私に何かしら力を貸してくれようとする。私もそっちに行きたいのだけど、行けるのだろうか……。年齢と自分の努力だけでは乗り越えられない壁があるように感じてしまう。

今日も取材した“おじさん”がものすごく面白くてかっこよくて、悔しかった。

お返事/下田理沙子

おじさんになりたいと思ったことはないし、ステキなおじさんに会ったことはないと感じている。
私はそう思わなかっただけで、ある人から見たら、なりたいおじさんなのかもしれない。
おじさんだから出来ること。
おばさんだから出来ることがあって、生きていたらそのどちらかになるんだ。

白鳥菜都

ライター・インタビュアー・編集者。本当は書くよりも喋るよりも、聞くのが好きです。
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下田理沙子

好きな色は黄色。好きな食べ物は餃子。水は1日2リットル以上飲みます。
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me and youの竹中万季と野村由芽が、日々の対話や記録と記憶、課題に思っていること、新しい場所の構想などをみなさまと共有していくお便り「me and youからのmessage in a bottle」を隔週金曜日に配信しています。

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