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「どうか少しでも、安心して、自分の時間を大切におもうことができるような社会にしたい」(日記:舟喜さとみ、返事:conomi)

“しっかりした”、とか“信頼できる”ではなく“安心できる”大人でいること

“まず日記をつけるリズムをつくること。そして個人的な日記を共有してみること”。そんなひそやかな試みを形にするべく、「日記をつける三ヶ月」というワークショップを「日記屋 月日」とme and youが開催しました(2022年9〜11月の全5回にわたり実施)。me and you little magazineでは、最終回でおこなった「ある人の日記を読み、別の誰かがお手紙を寄せる」という企画に参加いただいた方々の「日記文通」をお届けします。

日記をつけることは個人的な行為であるにもかかわらず、誰かの日記を読んでみると、他者であるはずのその人の感情や思考と、自分のそれが交差する驚きが生まれることもあります。わかりやすさを重視してならされた言葉ではないからこそ、そのときを生きる人たちの営みや世界のありようをより一層くっきりと映し出すこともあるかもしれません。今回は、ワークショップ参加者である舟喜さとみさんの日記に、conomiさんがお返事を書いた日記文通をご紹介します。

※今回の「日記文通」は、me and youが隔週金曜日にお届けしているニュースレター「message in a bottle」(登録はこちらから)内で実施している企画をもとにしています。
※この記事は、「日記屋 月日」とme and youの「日記をつける三ヶ月」のワークショップで書かれた日記とお返事をほぼ原文ママで掲載したものとなります。

2022年10月19日(水)の日記/舟喜さとみ

いつもの時間に起きて、シャワーを浴びたら、それ以上のことができなくなってしまった。一旦停止。お布団にもぐる。支度をすすめる時間になって、「最長一時間遅刻します」と連絡。うぅ〜とゴロゴロする。最初は苦しかったからだから、力が抜けていった。大丈夫そう。仕事に向かった。

遅刻してごめんなさい、と伝えたら、Mさんが「ごはんはたべれてる?」とやさしい歳上の方が甘えさせてくれるような声で言ってくださり、「食べてます!」とつたえたら、甘いものあげる、ときびだんごをくれた。やさしい。袋に二個はいっていたので、ひとつ食べた。もちもち。
からだの痛みが少しずつ溶けていくような予感がした。

夕方、ごはんを買いに外にでる。ひとまずあたたかいコーヒーを買おうとライトアップコーヒーに行って、たまったスタンプカードをカフェラテを引き換えてもらう。待っている間にいすに座っていたら、目の前のヤマザキの入り口横で肉まんを販売していた。あ、これ食べようとおもって、コーヒーを受け取って買いに行く。いつもおばあちゃんが接客をしてくださるのだが、今日は息子の日だった。名前は忘れてしまったけど、サンカツさんって呼ばれていたような気がする。サンカツさんと初めて話して、おばあちゃんにそっくりであることに驚く。話し方のリズム、客への気遣いの視点、そっくりだ。お母さんをみて育ったんだなぁ、と勝手に妄想し、心がぎゅっとした。サンカツさんには、「高いけど、絶対においしいよ(280円)」と言われておばあちゃんには「すごく熱いから、熱くないはしっこをもってね」を言われた。肉まんは、たしかにおいしかった。できるだけ、わたしはおいしいものが食べたいから、今日はよかった。

そういえば、昨日Tさんとラインのやりとりをするなかで、もうすぐうまれる赤ちゃんがお腹のなかでしゃっくりをしているよと教えてもらった。なぜしゃっくりだとわかるのか聞いたら、「2秒ごとにビクッと動くのがしばらく続くの、なんだろうと思って医者にきいたら、しゃっくりして肺呼吸の練習をしているそうです」ということを説明してくださった。お腹のなかで、外の世界に出た時に生きる練習をしている赤ちゃん。思わず、このラインをしていた電車のなかで涙ぐんだ。この世界にうまれてきてくれる人間がいる、どうか少しでも、安心して、自分の時間を大切におもうことができるような社会にしたい、その子にとって、安心できる大人でいたいとおもった。

お返事/conomi

朝、起きられない人が、私以外にもいるのだと知り安心しました。(笑)
おいしいものを食べて、周囲の人に触れ、感動する。
舟喜さんはささいな日常のなかのキラキラしたかけらをきちんと集められる方なのだと感じ、私までほっこりした気持ちになりました。
大学を卒業する時、先生に、「たまには連絡がつかない人になりなさい。」と言われた事をたまに今でも思い出します。
それくらい、肩の力をいつでもおろせるような自分でいよう、と思っています。
“安心できる大人でいたい”という言葉も似てると思いました。
“しっかりした”、とか“信頼できる”ではなく“安心できる”大人でいること。
きっとそれはこの日記に出てくる人であり、舟喜さんが触れてきた人たちなんだと。
やさしい気持ちになれました。
私もそうありたいです☺︎

舟喜さとみ

書店員。フェミニズムと子どものための本棚を中心に担当。
他、イベントやフェアの企画を行っている。
2021年より、「韓国ドラマファンクラブ」結成。
『私たちの賢い本屋生活』(Vol.1〜Vol.3)というZINEのシリーズを作っている。
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日記:「日記のなかでねむりたい」

conomi

出版社で働く会社員。4月からは地元に帰ってクラフトビールの会社で広報。
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