2022年10月31日(金)の日記/かまりえ
子猫を拾うことに漠然とした憧れがある。子猫を拾う人って何度もそのシチュエーションに遭遇するイメージがある。年齢や性別など一切関係なく誰でもそれに遭遇する可能性があるはずなのに、なぜか同じ人ばかりが遭遇する、みたいな出来事があるような気がする。日々どこかで起きているのに万人の元には訪れない、そういったものたち。誰かの財布を拾うとか、目の前で人が倒れたから助けるとか、行く先々で殺人事件が起こるとか。子猫を拾うのはそういった、どこかで誰かが何度も遭遇しているらしい出来事の象徴的なひとつだ。私に子猫を拾うシチュエーションが訪れない気がずっとしている。自分はそっち側の星の下に生まれていないような、子猫を拾うのとは別の、こういった出来事に遭遇しながら生きていくような気がしている。自分には縁遠いと思っているからこそ憧れているんだろう。子猫を拾うことに。
こういう経験って何かあるかと人に聞いて返ってくる答えは、ふだんの会話以上にごく個人的な話のようで好きだ。いいこともあれば悪いこともあるし、ニュートラルなものもある。いろんな人の身にいろんなことが起こっていることがわかる。
夫はよくハクビシンに遭遇するらしい。引っ越し前も、今の家でも、職場でも見かけているという。対して私はどこに行こうと一度も遭遇していない。私にとってハクビシンは非実在生命体だ。同じ家に暮らしていながらこうも違うのだから、世界規模となるともう収拾がつかないくらい違うのだろう。私は子猫を拾わず、ハクビシンにも遭遇しない星の下に生まれている。
たまに通る道にあるそば屋が休業していた。思えば前回のワークショップ帰りに見たときにはすでに休業していたような気がする。「都合によりしばらく休業します」と張り紙があった。いつからなのか、いつまでなのか、何があったのか。何もわからないと気になってしまう。年越しそばの頃には戻ってくるのだろうか。
無難に仕事を終える。先月の忙しさはやっぱり謎だった。無印良品のアップルシナモンラテを飲む。こういう粉末飲料は粉もお湯も量をなんとなくで適当に入れてしまう。基準量はしっかり書いてあるのだから一度ちゃんと計って本来想定されている味を確かめてみればいいのに、ちゃんとやった例しがない。粉末飲料に対して扱いが雑である。だいたいの調理の類は計量するのにどうして粉末飲料に対してだけこんなに意識が低いのだろう。意識を改める必要がある、とも特に思わないので、ずっとこんな感じかもしれない。メーカーを泣かせてしまう。
夫が斉藤倫さんから『ポエトリー・ドッグス』を恵贈いただく。ハロウィンなのでグラタンを食べる。寒いし月末なので秋っぽい停滞感がある。冷蔵庫の整理をする。来月はもっと活力をもって生きようと思う。