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同じ日の日記

恋をしている人、平泳ぎ、姉の結婚式前夜/山田由梨

2022年4月22日(金)の日記

毎月更新される、同じ日の日記。離れていても、出会ったことがなくても、さまざまな場所で暮らしているわたしやあなた。その一人ひとりの個人的な記録をここにのこしていきます。2022年4月は、2022年4日22日(金)の日記を集めました。劇団「贅沢貧乏」主宰の山田由梨さんの日記です。

10:00くらいに起きる。
カーテンをあけるとひさびさに晴れてる!
なんか最近曇っててやる気が出なかったけど、ひさびさにやる気がでてくる。
晴れててうれしいし暑いからプールに行こうと思う。明日も晴れるといいな。

キッチンに行くと昨日の夜焼肉をした鉄板がシンクに置いてある。
昨日は友達がふたり来て焼肉をしていたのだ。
他のものは洗ったけど、鉄板は明日でいいやと思って置いておいたんだった。ゴシゴシ洗う。

キッチンの換気扇の下で焼き肉していたので、まぁまぁ汚れてる。ふきんで綺麗に拭きながら、昨日のことを思い出す。
ふたりの友達のうちひとりは今恋をしていて、昨日はひたすら肉を焼く役をしながら、その子の恋の進捗を聞いていた。
その子は、恋をしている相手がどんなに素敵な人かというエピソードを話してくれるのだけど、そのエピソードがおわるとすこしして、「あとね……」と、またその人がどんなに素敵な人なのかという別のエピソードが始まる。
それを、もうひとりの友達と聞く。
明日の夜(つまり今日)、その人と食事に行く機会があるというので、もうひとりの友達とわたしは、ああだこうだと役に立つんだか立たないんだかわからないアドバイスをした。いい感じになるといいなあ。

恋をしてるその子は、目をきらきらさせながら楽しそうに話をしたかとおもったら、たまに肩肘ついてどこかを見ながらため息をしたりしていて、恋をしている人のエネルギーに久々に触れた気がする。恋をしている人のエネルギーはすごい。渦巻いてた。

そんなことを考えながら、台所の片付けを終えて、お湯と豆乳を飲む。
豆乳にきなこ味のプロテインを入れて飲むのにハマっている。

12:00くらいにプールに行く。最近、運動のために週に1回くらいプールで泳ぐ(なるべくそうしたい)。
水の中に入る行為(海とか川とか温泉とかプールとか)が、結構すき。

プールでは、30分間平泳ぎだけで泳ぎ続ける、というのをしている。他の泳ぎ方はできない。
背泳ぎは好きだけど後ろが見えなくて怖いし、クロールは15mくらいで疲れてだめになる。バタフライはしたことがない。

平泳ぎばかりしているので、最近は平泳ぎがうまくなってきている気がする。
最初は30分泳ぐと結構疲れてふらふらだったけど、最近は泳ぎが上手くなったせいかあまり疲れないで泳げるようになってきている気がする。
効率よく前に進む方法がわかってきたというか、のびとちぢみのタイミングをつかんできたというか……。
だけど、運動効果的には下手だった時の方が体力というか筋肉を使っていた気がして、だとしたら、上手くなるとあんまり運動になってないんじゃないかみたいなことを考えてる。

休憩してたら、綺麗なバタフライで泳ぐおじいさんがいて、あ、バタフライマスターだ、と思う。
あんなバタフライは見たことがない。バタフライって近くで見ると、体がウェーブしていて、きれい。

家に帰って昼ごはんを作って食べる。
宮崎に行った時に買った、冷や汁のやつ。
ごはんにきゅうりとかお豆腐とかしそとかをのせて、冷や汁のやつをかけて食べる。
プール終わりにはとても良いさっぱりご飯。
お土産的なものは、買って忘れて賞味期限が切れてること多々ありなので、早めに食べる心がけ。

渋谷に出かけてゆき、映画の試写会に行って、宣伝の方と感想とかを話す。
マネージャーであり劇団の制作をしてくれている堀ちゃんと一緒に見ていたので、その後ちょっとお茶をしながら最近の話をする。
仕事のこと、仕事を通して最近考えてることとかを、そのままに共有できるの、いいなと思っている。

堀ちゃんとばいばいする。

明日は姉の結婚式なので、今日の夜はうちの家族と姉の夫(義兄というのか……)の家族が集まってご飯を食べることになっている。
ホテルの中にある中華のレストランに行く。

向こうのご家族は結婚式のために九州からこっちに来ていて、渋谷の駅が難しくてしばらく迷ってしまったという話をしていた。
たしかに渋谷駅最近難しいですよね、どんどん変わっててね、でも新宿の方が難しいよ、池袋難しいよとか、難しい駅の話。

わたしは、この歳まで結婚式に参加したことがなくて、先週友達の結婚式に参加したのが初めてで、明日が2回目。
一生分の結婚式が一気に来たみたいな気持ち。

ごはんがおわって、そのまま父と母と久々に実家に帰る。
姉はまだ明日式で流すビデオのチェックが終わってないとか言っていてバタついてて、なんでそんなギリギリになるのー? と母が呆れてる。

そのあと実家で、母が作った明日付ける髪飾りを見ていたら、髪飾りを髪につける部分(つまりピン)が無くて、これじゃ髪につけられなくない? と聞いてみたら、たしかに……? となり、慌ててピンの付け方とかを検索して、工作。
準備がギリギリになるのは遺伝かもしれないとか笑って話す。わたしもよく締切ぎりぎりに仕事をやるし、遺伝ということにさせてもらいたいなと思う。

明日は着物を着るので、疲れるかな〜とか考える。
そういえば、恋をしてる子は今頃デート中だろうか、終わって帰るくらいだろうか。うまくいくといいな、報告くるかなとちょっと気になる。

明日も晴れるといいなぁ。
明日は写真たくさん撮るぞと思って寝る。

山田由梨

作家・演出家・俳優。2012 年に劇団「贅沢貧乏」を旗揚げ、以降全作品の劇作・演出を務める。『フィクショ ン・シティー』(17 年)、『ミクスチュア』(19 年)で岸田國士戯曲賞最終候補にノミネート。2020・2021 年度セゾン文化 財団セゾンフェローI。
近年は TV ドラマの脚本や小説の執筆なども手がけ、短編小説『目白ジャスミンティー』 が群像に掲載。「日本版セックス・エデュケーション」と評された AbemaTV オリジナルドラマ『17.3 about a sex』や現代の東京を生き抜く29歳独身女性たちを描いた『30までにとうるさくて』が好評配信中。
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『わかろうとはおもっているけど』

山田由梨が作・演出した演劇公演『わかろうとはおもっているけど』が国際交流基金YouTubeにて無料配信中。「女性」と「男性」の「わかりあえなさ」を「わかりあおうと」した先にあるものを問いかける。英語、フランス語、ロシア語、中国語、スペイン語、日本語の字幕付き。
『わかろうとはおもっているけど』

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