我に返るとあっという間に20時になっていた。ジムに行き、安に見てもらいながら1時間かけて機械で筋トレをした。寝ている時期が長かった私には筋肉が全然ない。まずは運動する習慣を身につけて筋肉量を増やすことが目標だ。体操代わりに8kgのダンベルを持ってスクワットから始める。それからsuper hack squat 20kg, calf hack 20kg, pull down 20kg, pulley row 20kg, standing abductor 30kg, dual adjustable pulley 8.75kg, hip thrust 30kg, 全部12回✕3セットを黙々とこなしていく。脚のストレッチをして、またダンベルを持ってスクワットとプランクをし、最後にランニングマシンで時速9.5kmで3km走る。昔から走るのは好きだった。一定の呼吸とペースを合わせ、体の軸を揺らさず、息が上がった時こそ腕を後ろに引いて大きく振る。無心で走っていると、1.5km辺りから全身汗が噴き出す。額を流れた汗が目に入り、指で目を拭う。極端な発汗も病気の症状の1つで、拭っても拭っても止めどなく目に汗が入る。すっかり忘れていた、涙より汗を拭っている方が私らしいんだった。
病み上がりとは思えないエネルギーが漲る。本当はずっとこうして体を動かしたかった。一旦過ぎ去ったはずの病苦が体の隅々まで傷として染み込んでいる。そんな自分の体があって良かった。傷は消えないが、今後の回復や新陳代謝によって傷は私と一緒に変わっていくんだろう。私が欲しい健康とは、病のない真っさらな状態に戻ることではなく、病に自己定義を許さない意志のスタイルを持つこと。そして自分が変わっていく過程を楽しむこと。これをもってまた1つ人生の苦難が去りました。節目にマンゴーアイスでも食べて、ソンタグの言葉を借りれば「健康に病気になる」ために明日も走る。