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同じ日の日記

猫には猫の、人には人の/kuu

2022年3月11日(金)の日記

毎月更新される、同じ日の日記。離れていても、出会ったことがなくても、さまざまな場所で暮らしているわたしやあなた。その一人ひとりの個人的な記録をここにのこしていきます。2022年3月は、2022年3日11日(金)の日記を集めました。公募で送ってくださったkuuさんの日記です。

2022年2月22日以来、久々に某猫用食品のラッピング電車に遭遇した。なぜ憶えているかというと、ちょうどその日がスーパー猫の日だったからである。たくさんの猫たちに彩られた世界はやはりにぎやかだった。みんな、マグロ味っておいしいかい?

今日はどうしても11年前のことを思い出してしまう日である。しかも、今年の3月11日はあの時とおなじ金曜日。もうすぐ地震が起きるという時間に電車に乗り、この日記を書いている。

当時、会社で大きな揺れを経験した後帰宅することになった。私だけ他の人と帰る方向が違っており、たいへん心細く思っているところ、同僚が自分の家に招いてくれた。ありがたいという言葉では足りない話だ。

それから数時間、他の人の群れに紛れて歩き続けた。まっすぐの道をみんなで進むその光景は一生忘れない。自転車屋が炊き出しをしていて、それを横目で通り過ぎたことも。

いいかげん疲れ果てた私と彼女の前にあらわれたのはチェーン店のラーメン屋だ。一度も入ったことのない店でごくありふれた麺を頼む。あまりにもあたたかくて体に染みる歓喜の一杯だった。全細胞が生き返る味すぎた。その後、何度か同じものを食べてみようかと思ったが、当時の出来事が薄まってしまいそうなので実行するには至らなかった。いつまでもあの店は救世主だ。

明くる朝に同僚が出してくれたコンビニのクリームパンも、これまた泣きそうになるほどおいしかった。帰りの途中、桜が見える名所の売店で買った焼き菓子も。あの時も花はまだ咲いていなかったっけ。

11年後の今日という日に戻る。サンドウィッチをお昼に食べ、生き延びる。マグロ味、もといツナが入ったものを選んだ。食料品がきちんとたくさんあって好きな物を選べる日常がどれだけ尊いか。それを教えてくれるのが3月11日だ。

kuu

ゆるっと会社員。さくらんぼが好きです。

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