「こんなはずじゃなかったのに、こんなにも美しいって何なんだ」って、海に来るといつも思う。私がここに確かに立っていて、どこからかやってきた波が足の指先を触れるとき、私とチュンジョハルモニの影が微かに重なる。海と空の境界線のその先を見つめながら、「全ての記憶は嘘じゃない」と小さく、強く叫んだ。
週末から台湾の南方にある旗津(きしん)という島へ休暇に来ている。昨春に遊びに訪れてこの島の虜になった私と友人は、まだ暑い夏が続く今日、念願の再訪問を果たした。海岸線を自転車で全力疾走し、二人ともくたくたになりながら向かった目的地のカフェはまさかの定休日。「やってらんねーね」とぐだぐだ言いながら浜辺に向かった。旅程が上手くいかなくても、海を目の前にして心は落ち着きを見せる。少しずつ、揺れる波が近づいてきた。
浜辺に着くとすぐにビーチタオルをしいて、私はその上にバタンと寝そべった。夕方の5時、まだ空は青くても知らないうちに太陽の位置は変わっていて、水面にキラキラと光が反射する。キラキラを見つけるたびに私はとびっきり喜んだ。海の傍で貝殻を拾って、キラキラが姿を見せる度に夢中で水面を眺めた。
目に入る人たちそれぞれが海の前に見せる眼差しはこの時間の海辺に似ている気がする。穏やかであったり、厳しさを持ち合わせていたり。あなたは、何を想って見つめるの。