喫茶ナイマゼの前田さん、解決しないおしゃべり会のてんさんと話す
2025/1/14
京都の二条城北にあるCORNER MIXで、月2回間借り営業をしている「喫茶ナイマゼ」というお店があります。嬉しさも悲しさも、相反する感情をも受け入れて過ごしてもらえたらという想いがこもったこの場所を営む前田さんは、me and youが運営するコミュニティ「me and you club」のメンバー。そんな喫茶ナイマゼのロゴを制作したのは、同じくme and you clubメンバーのてんさんです。二人はclubで知り合ったのがきっかけで、ロゴ制作の話に至りました。そんなてんさんも、安心して話せる場が増えるようにと「解決しないおしゃべり会」を主催しています。
喫茶ナイマゼも、解決しないおしゃべり会も、me and you clubも、そこに訪れる人の属性やジェンダー、境遇はばらばら。でも、そこには言葉や会話、居心地の良さ、ときにはここに生きていても良いのだという安心感が生まれています。
人との距離は測ることができないし、流動的で掴めない。気を抜くと下手に近づきすぎて、傷つけてしまう。そんなわたしたちは一体どんな距離感でいるのがいいのでしょうか。前田さん、てんさんと共に、異なる人たちが同じ場所でゆるやかに繋がり合うこと、その光を掴むおしゃべり会をしてきました。
―まずはお二人それぞれのご活動について伺いたいです。前田さんが喫茶店を始めようと思ったきっかけはなんでしたか?
前田:喫茶ナイマゼを始める5年前くらいから、いつかは自分のお店を持ちたい、喫茶店を始めたいと考えていました。あるときCORNER MIXを訪れて、ミックスジュースを一杯頼んでから飲み終えるまでの間に、「ないまぜ」っていう言葉がぽっと頭に浮かんできたんです。CORNER MIXは喫茶店を始めやすいような配置でしたし、さまざまな人が訪れる様子を見て、ここで何かをやらせてもらえたら面白いのかもと思いました。
以前からお店の屋号を考えるのが好きで、3、4年ずっと考えてたんです。でも、しっくりくるものは全然なくて。でも「ないまぜ」は、その言葉をすっぽりと身に纏わせてくれる感覚があって、この屋号でなら素直でいられるだろうなって思いました。「性質の異なるものが一つに混ぜ合わさる」という意味性もよくて。そこから急いで企画書を作って、お店のオーナーさんに打診して……みたいな感じで始まりました。
―さらっと「オーナーさんに打診して」とおっしゃっていたのがすごいなと感じて。何かを始めることって、頭の中で思い描いていても、実際やるとなるとハードルが高く感じる場合もあるのかなと思うのですが、そのときはどんな心境で打診したのでしょうか?
前田:僕は普段、バリスタさんのそばで経理として働いています。そこで一生懸命コーヒーに向き合っている方々を見ているからこそ、「自分が外でコーヒーを出して、お金をいただいていいのだろうか」と思っていました。でも、思い返すと、僕の好きな喫茶店はコーヒーが美味しいところに限らず、ただただ居心地がいいところもあるよな、と気づいて。「ないまぜ」っていう言葉が肩肘張らないでいいよと感じさせてくれたのもあって、そのときは頑張れました。
喫茶ナイマゼの様子
―てんさんは喫茶店によく行かれますか?
てん:好きなんですが、コーヒーを1杯以上飲むとお腹が壊れちゃうんです(笑)。だから積極的に巡ることはできないんですが、でも存在としてはとても大好きです。
―てんさんは喫茶ナイマゼのロゴを制作したとのことですが、デザインを始めるきっかけはなんだったんでしょうか?
てん:デザインを学ぼうと思ったのは社会人になってからでした。大学3年生のときに、「She is」に出会って安達茉莉子さんのことを知り、安達さんの『自分のことを“女”だと思えなかった人のフェミニズムZINE』というZINEのタイトルに衝撃を受けて。こういうことを考えている人がいるんだ、っていう驚きと安心感があったのをよく覚えています。それからフェミニズムや社会問題に関することを学び始めて、問題に気づくことで楽になる人や、そもそも一緒に向き合える人を増やすにはどうしたらいいのかを考えていたときに、「デザインでもいろんなハードルを下げられるのではないか」と気づいたんです。
arcaの辻愛沙子さんが行っていた「Ladyknows」というプロジェクトでは、婦人科検診率が低い問題を解決しようと、インスタでも映えるようなかわいい空間で婦人科検診をするイベントをされていて。それを見て、言葉で訴えかけるだけじゃなくて、視覚的にハードルを下げられるんだと知って、私もそういうアプローチができたらいいなと思って学び始めました。
―お二人はme and you clubのメンバーですが、どのように知り合ったのでしょうか?
前田:二人ともme and you clubが始まった頃から参加していて、オンラインイベントで顔を合わせることが多かったんです。ブレイクアウトルームで話す機会が2、3回あったんじゃないですかね。それに加えて、ブログやタイムラインでもコメントでお話していました。
・オンラインイベント
me and you clubで月2回程度行っている、Zoomで話すおしゃべり会。テーマに沿ってゆるくお話する時間もあれば、読書会や映画について話す会、ゲストをお招きする会も。会によっては、Zoomの機能「ブレイクアウトルーム」を使って、3,4名ずつに分かれてお話する時間も設けています。
・ブログ
club内にある、ブログ形式で記事を書き込むことができるコーナー。メンバー同士でコメントし合うことができます。
・タイムライン
club内にある、TwitterやThreadsのように短めな言葉を書き込めるコーナー。メンバー同士でコメントし合うことができます。
てん:たしか、ブレイクアウトルームが2回連続一緒になったんですよね。それで「あら! また!」みたいな感じになったのが印象に残っています。
―でもそれが、こうしてつながっているんですもんね。
前田:そうですよね。
―そこから、実際にロゴを頼むに至ったのは、どんな経緯があったのでしょうか。
前田:me and youができて1年弱くらいのタイミングで、渋谷ヒカリエでオフラインイベント(光へ向かうホームパーティ)があって……。僕は京都に住んでいるので、東京のイベントはなかなか行きづらいんですが、自分の好きな方々がパネリストとしてお話すると知って、これは呼ばれとるわと思って行きましたね。てんさんとは、そこで初めて顔を合わせました。オンラインで知り合った方とオフラインで会うことは初めてだったので、不思議な感覚でしたね。そこで話すうちにデザインをされているのを知ったんです。
その頃、喫茶ナイマゼのロゴを作ろうと計画していて、どなたに預けさせていただこうかなと思ったときに、浮かんだのがてんさんでした。てんさんとはお話する中で、なんとなく感性が通ずるような部分を感じていて。僕の注文、めちゃくちゃ面倒くさかったと思うんです。ロゴの断片的なイメージはたくさん浮かんでいたのですが、簡単に説明できる自信がなくて。でも、てんさんであればきっと言葉を丁寧に汲み取ってデザインしてくださるだろうなという確信みたいなものがあったので、お願いしました。
てんさんがつくった喫茶ナイマゼのロゴは、お店のシンボルとして看板になっているほか、ショップカードとしても配っている
―どんな注文内容だったんですか?
前田:古き良き喫茶店らしいクラシックな感覚も持ちたいし、一方でつかめない感じも持ちたい。かつ、ロゴだけどコンセプトを伝えすぎたくない、みたいなことも言ったりして。やりづらい仕事だったろうなと(笑)。
―てんさんはそれを受けていかがですか?
てん:前田さんの想いをできるだけ形にしようと私なりに頑張りました。「喫茶ナイマゼ」に込めた想いを聞く中で、「プラスもマイナスもいろいろ混ざってる」というのが印象的で……。「混ざる」というとグラデーションを使って曖昧さや抽象度を表すことが多いですが、前田さんが思う「ないまぜ」って個々の独立をすごく大切にされてるんじゃないかなと感じたんです。個々が集まって一つのものを作ってることをちゃんと投影したロゴにしようと思って作りました。
前田:そんなこと考えてくださっていたんですね。嬉しいです。
―お二人にとってme and you clubはどんな場所ですか?
てん:She isのときからそう感じているんですが、お守りのような場所ですね。密に一緒にいるわけじゃないけれど、あると安心する。
竹中(me and you):とっても嬉しいです。わたしたちも気づいたときに立ち寄れるような、心のどこかにこの場所があるように感じてもらえたらいいなと思っているんです。てんさんは、どんなところをお守りのようだと感じてくださっているんでしょうか。
てん:「まったく一緒ではないけれど、同じようなことを感じている人がいる」ことにお守り感を感じています。一歩外に出るといろんな考えの人がいると思うんです。その中には、どうしても自分とは相容れない部分を強く持ってる人もいて、SNSも言葉が刺激になることが多い。でも、ここには言葉を選んで相手を尊重する、優しい方がたくさんいる。me and you clubの中は安全区域のようで……。ここに帰ってくると、こういう人が社会にいるって再認識できるんです。
―clubのメンバーは住んでいる場所や属性、ジェンダー、状況が違う人がいっぱいいるけれど、安全さを感じる。対して、日常生活で出会う、似たような境遇、所属、属性の人でも分かち合うのが難しいこともある。日常の中で出会って話すような会話とclubで話すような会話との違いってありますか?
てん:外に出ると、どうしても鎧を纏う感覚があって。たとえば、同じ職場の人だったら失敗した姿を見せたくないとか。学校をきっかけに知り合った友人だと、過去の自分を知ってるから「昔はこうだったのに」って思われたらどうしようとか。今まで自分が社会から受け取ってきた姿が現れて、そこから自分の心を守るために鎧を被ってしまうんだと思います。me and you clubだと、過去を一旦切り離して、今の自分で、鎧を脱いだ状態で話せる。だから、「この人なら、ちょっと自分の心の内を明かしても大丈夫かな」って感覚を持てるのかもしれないです。
―本当はいつだって鎧を脱ぎたいのに勝手に着させられているし、自分もその鎧に鍵をかけなきゃいけない気がしている。だからそれを脱げている状態のこの場所がお守りになるのかもとお話を聞いていて感じました。
てん:すごくしっくりきました。自分で選んで着てる部分もあるし、着させられてる部分もある。
前田:最近、二つ哲学対話に参加してきたんです。一つはオフラインで参加した哲学対話で、最初にフルネームで自己紹介をして、スーツで参加されている方もいて年齢もなんとなくわかる感じで、「言葉を選ぶ必要があるかもしれない」と強張りながら喋っていた記憶があります。もう一つ参加したのは、永井玲衣さんの「おずおずダイアログ」で。オンラインでの開催だったんですが、画面はオンでもオフでも良いし、名前もきゅうり、にんじん、化粧水とか、それくらい適当につけてよかったんです。僕は除湿が好きだから「除湿です」と言って始めました。その状態になると、本当に何者でもないんですよね。みんなフラットにお話されてる感覚があって。それに、オンラインだから物理的にもプライバシーが守られてる。だから何も纏わずにお話できたのかなって感じたんです。
ひょっとしたら、me and you clubもニックネームで、かつオンラインで喋れることが、素直にお話できる環境を作っているのかなって考えていました。ニックネームにすることで属性や印象から切り離されるような気がするんですよね。
前田さん(ニックネームはきょうさん)とてんさんのme and you clubのプロフィールページ。本名ではなく、ニックネームで登録することができる
てん:何より由芽さんと万季さんが人を尊重して、言葉を選んで話されたり文章を書かれたりしているのも安心できる要素だと感じています。なおかつ、そういう場所を大事にしたいというのが端々から伝わってくるので、そこに共感して集まっている人なら大丈夫なのかなという安心感があります。
前田:同じ人ばっかりじゃないのもやっぱりいいんだろうなと思って。違うのは当たり前で、だからこそ人付き合いが生まれる。いきなり鎧を脱ぐわけじゃないけど、みんなでちょっとずつ素直な状態に近づきながら喋っていく感覚というか。お互いの違いを尊重しながらお話していきましょうという気持ちが参加しているメンバーの皆さんの中にもある気がするんですよね。だから喋りやすいのかなって感じています。
―場合によっては、違いを受け入れるのに戸惑ってしまうこともあるのかなと感じています。わたしたちは、どうしたら「違う」ことを尊重していられるのでしょうか。
てん:me and you clubはなぜ安心して話せるのかという話にも繋がるのですが、どこかすごく小さな一点でもわかり合えるなと感じられた人同士であれば、そこが安心感になって、たとえお互いの80、90%が一致してなくても安心して話せると感じます。自分にとって大切な一点の重なりが、違いを許容できる土台になってくれるんじゃないかなと思います。
前田:ちょうどナイマゼのことを考えていました。ナイマゼも誰でも来れる場所だからこそ、異なる人がたくさん訪れます。もちろん、それゆえの難しさもある。ときには「あの方は居心地悪くなかっただろうか」って考えながら営業する日もあるんです。でも、属性じゃなくて、その人自身を見ようとしてるかが大切なんじゃないかなと運営しているなかで思いました。そういう営みをしているうちは一緒にいられる気がするし、わかり合えるような気もしています。
―てんさんは「解決しないおしゃべり会」というお話会を主催していると伺いました。Instagramに載せているグラフィックも視覚的に伝わるように作っていらっしゃいます。
てん:わたしは、誰かに相談するのが苦手で、でも頭の中には常にもやもやが浮かんでいる人間で。もやもやを外に出さなきゃとは思うのに、その重荷を背負わせてしまうのが申し訳なくて相談できないんです。だから、もっと気軽に悩みを話せる場を探していました。
あるとき、周りに屋号を持って活動をする友だちが増えた影響で、わたしも何かやってみたいなと思うようになりました。でも文才はないからZINEは作れないし、絵も描けないし、コミュニケーションも得意じゃないから人をいっぱい集めることもできない。そんなときに、オンラインでカウンセリングを受けたんです。そのカウンセラーの方は、どうして悩みが生まれたのか、“なぜ”をいっぱい深掘りしてくれて……。最初はAが問題だと思っていたのに、幼い頃に経験した別のことが積み重なって、Aという問題になっていたことに気づけて。足元を探って立ち止まって考えるアプローチにとても驚きました。悩みは解決・改善を目指すのが得策だと捉えていたけれど、解決しなくても考えていることをただ話すだけで、楽になる。もしかしたらカウンセリング以外にもそういう時間を求めている人が他にもいるのではないかと思って、「解決しないおしゃべり会」を始めたんです。
てんさんの「解決しないおしゃべり会」。Instagramでこれまで行った会を見ることができる
―カウンセリングもおしゃべり会も誰かと行っていくものだと思うのですが、一人で行うこととの違いについて、感じていることはありますか?
てん:一人で行うと、悪い方向に転がってしまう可能性があると思うんです。でもそれは自分では止めるのが難しいがゆえに、根気がいるなと思っていて。自分だけだと認知の歪みがあっても気づけないことも、誰かがいると離れたところから見てくれるので、冷静でフラットな目線で考えられるなと感じています。
―「解決しないおしゃべり会」では毎回テーマを設けているんですか?
てん:最近は、自分が最近考えていることをテーマにしてやってます。最近だと「歳をとること、大人になること」や「愛されるよりも愛したいマジでって思ったことある?」というテーマでお話をしました。
前田:ちなみに僕もちょこちょこ参加してるんですが、いつも最高ですね。てんさんがいらっしゃるから、安心して喋れますし。
―お二人にとって、「喫茶ナイマゼ」や「解決しないおしゃべり会」で過ごす時間はどのようなものですか?
前田:ナイマゼを営むことで生まれる繋がりを眺めているのはとても面白いです。繋がりが生まれなくても、1週間のうちの1日だけでも少しため息つける場所として訪れてくれるのがすごく嬉しくて。だからやってるのかもしれないですね。ナイマゼ自体、僕の気まぐれさが表れているのか、日によって雰囲気が違います。読書家さんが多い日は、3人読書をしていたらたいてい4人目も本を読み始めるんです。会話が多い日は、カウンター席にもその空気感が生まれたりしています。
てん:面白い! お客さんに委ねているんですね。
前田:ルールを設けすぎて息苦しい喫茶店になったら面白くないなと思っていて。割と任せてます。
てん:私は皆さんの話を聞くファシリテーターに回ることが最近は多いんです。活動を続けているのは、もっとこうした時間の総量を社会に増やしたいという思いからで。1分でも、1秒でも、安心できるお喋りの場が増えたらいいなと思いながらやってるので、お喋り会が終わった後は、「今日も聞けたなあ、満腹満腹。いい時間を過ごせたぞ」みたいな感じです。
―総量を増やしたい、って素敵だなと思いました。一つの場所に参加する人が増えてほしいという考え方もありますが、心の柔らかい部分を共有できる場所がささやかでもいっぱいあれば、全体の時間が増えることには変わりないと思って。てんさんの「解決しないおしゃべり会」も、前田さんの「喫茶ナイマゼ」の空間も、me and you clubも、そういうところでふわふわと繋がってるような気がしました。
てん:たくさんあるに越したことはないですよね。本当は鎧を脱いで話せる時間を欲してるけど、どう話したらいいかわからない、慣れてない人も多くいると思うので、「解決しないおしゃべり会」が入門編になればいいなって思っています。それこそ、喫茶ナイマゼに行くのも入門編。そこで慣れて、次はちょっと親しい友人と自分をひらいて話してみる。それを重ねていくうちに友人との時間も安心できるお喋りの場になって……そんな風に総量が増えたらいいなって思っています。
前田:実際に増えますよね。解決しないおしゃべり会でもme and you clubのお茶会でも、その会が終わった後も引き続き考えたりして、仲のいい友達とちょっと話してみたりしたくなる。それをいろんな人が少しずつやってる気がするんですよね。なんか、いいですよね。どんどん繋がっていく感じがします。
―ある一点を共通点に持ちながらも、異なる人同士がゆるやかに繋がることについて。現在感じていることや、その関係性がわたしたちの未来にどう繋がっていくのかを改めて伺いたいです。
前田:たとえば「喫茶店で自分以外にも本を読んでる人がいる」みたいなことも心地よいゆるい繋がりの一つだと思うんです。me and you clubのブログやタイムラインには、弱いままでいる自分を認めてる人もいれば、ちょっとずつ強くなって立ち向かおうとしている人もいる。直接会話を交わさなくても、みんな生きているなってその存在を感じられる、近すぎない距離感がすごく好きです。僕のみならず、みんな多かれ少なかれそういうものに励まされて生きている面もあるのかな、そうであれば嬉しいなと思っています。
てん:人と繋がるのは簡単ではないし、個人的にはすごく苦手だなって思っているんです。それでも繋がりたいなって思うのは、この人も生きているんだなって感覚に触れると自分も励みになるし、自分も生きていこうって思えるから。おしゃべり会でも皆さんの言葉や考えを聞いてその感覚に触れられるのが嬉しいし、そう思える対象の人がどんどん増えていけば、安心の範囲が増えて、もうちょっと息のしやすい社会になっていくのではって思います。
―安心の範囲が増えるって本当にそうだなと思いました。わたしもclubに参加した後は、心強さを感じているし、明日もやっていけそうな温かい気持ちをもらった感じがあって。それを持ったままなら、明日誰かに分けられそうとも思える。誰かが自分のままで生きていることが、わたしを安心させてくれるのかも。ありがたいなって思いました。
てん:ありがたい。本当に生きててくれてありがたい、ですよね。
竹中(me and you):わたしも運営者側ではあるけれど、「うまく話せるかな」って思う日もあるんです。てんさんもおっしゃっていたけれど、人と繋がるのが得意かって言われると、ためらうときもあるから、そういうモードに入ってるときは縮こまってしまう。でも毎回終わった後は縮こまった身体がほぐされて、世界はそんなに怖くないんだって思えていて。それってすごいことですよね。
前田:me and you clubは、コミュニティの中でアクティブさを求めないのが面白いですよね。ふらっと来れるような場所でありたいと言ってくださっていますが、それがありがたい。たとえ3か月見てなくても、4か月目に戻ってこようと思えるんですよね。
竹中(me and you):それは理想的な姿です。仕事や学校のような場所では毎日やらなくてはいけないことがあると思うから、clubではもちろん最低限のルールはありつつも、こうあるべきみたいなものがあってほしくないなって思っていて。わたしも由芽さんも、同じ場所にずっとい続けることが得意かと言われると、そうじゃないので(笑)。ほどよい距離感の場所が、自分の生活の中に一つあるって、大きいなと思います。
💚me and you clubとは?
me and you clubは、曖昧さや迷いの過程、一人ひとりにとって心地よい速度を肯定することで、安心して話しはじめられ、信頼できる人が見つかるかもしれないコミュニティです。本や映画の話をしたりDIYを楽しんだりするクラブ活動、日常の違和感や社会問題への気づきを語りはじめるイベントなど、生活も社会も地続きに一人ひとりが思考をめぐらせ、共有しながら、個人的なことと社会的なことについて考え、語る場所。
こちらからいつでもお申し込みいただけます。お会いできること、楽しみにしています!
me and you club
前田
1997年大阪生まれ、京都の街をとにかく北に向かって歩くのが趣味。
コーヒー屋さんの経理担当者として働きながら、喫茶ナイマゼを営んでいます。
てん
1998年生まれ、音楽と本とスーパー銭湯が好き。
解決しないおしゃべり会を不定期に開いています。
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me and youの竹中万季と野村由芽が、日々の対話や記録と記憶、課題に思っていること、新しい場所の構想などをみなさまと共有していくお便り「me and youからのmessage in a bottle」を隔週金曜日に配信しています。
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