💐このページをシェア

samayuzameさんに聞く。「性にまつわるおすすめ作品」「不安なとき、どうしてる?」

松田青子『持続可能な魂の利用』/「なにをしても自分を肯定する」という心持ちでそのときやりたいことをする

性にまつわることを、いつもの自分の温度で話してみませんか? お泊まり会のようなくつろいだ場所で、終わらないおしゃべりが生まれるような時間であれば、話してみることができるかもしれない。そんな想いからはじまったのが、me and youがナビゲーターを務める音声番組『わたしたちのスリープオーバー』(通称:わたスリ)です。

現在、J-WAVEで放送中の『わたスリ』では、番組の最後に本編とはまた別のゲストをお招きして、心やからだ、性にまつわることを考えるきっかけになる次のふたつの質問を投げかけるミニコーナーをもうけています。

1.「性」について気づきをもらった作品は?
2.不安なとき、大丈夫じゃないとき。どう自分と向き合い、心やからだをケアしてる?

この記事では、番組に立ち寄ってくださったゲストの回答をご紹介。今回は、シンガーソングライターのsamayuzameさんをお招きしました。お守りになるような言葉や考えに出会えることを願って。

絶望と諦めのなかから転がり落ちてきた一粒の希望のようなものを感じる

1.「性」について気づきをもらった作品は?
松田青子『持続可能な魂の利用』

samayuzameさんに聞く。「性にまつわるおすすめ作品」「不安なとき、どうしてる?」

『持続可能な魂の利用』(著:松田青子、発行:中央公論新社/2023年)

わたしが性について気づきをもらった作品は、松田青子さんの小説『持続可能な魂の利用』です。この本は、会社に追い詰められて無職になった30代の女性・敬子が、男性社会の闇を味わいながら、心では裏腹に男性が演出をする女性アイドルにハマっていくことを主軸に物語が進みます。そして新米ママ、同性愛者、会社員、多くの人が魂をすり減らすなかで、敬子は思いがけず、この国の“地獄”を変える“賭け”というものに挑んでいきます。

フィクション小説なのですが、現実の日本で起きていることをトレースしたような世界観で、わたしを含む女性なら誰しも感じたことがあるような理不尽さや歯痒さを描き出している作品だと思います。「賭けに挑む」というと激しそうな印象があるんですが、文章はとても軽快です。帯にも「最高エネルギーチャージ小説」とある通り、すべて読んだ後で、なんだか心の霧が晴れるような、そんな気持ちになりました。

わたしも女性として生まれたことによる受難というか、困難な経験から音楽をつくることは多々あるのですが、そういうものは割とネガティブなポジションで、それこそ呪詛のような作品になりがちです。一方でこの本は、絶望と諦めのなかから転がり落ちてきた一粒の希望のようなものを感じる、そういった味わいのある一1冊だと感じました。ぜひみなさんチェックしてみてください。

「なにをしても自分を肯定する」という心持ちでそのときやりたいことをする

2.不安なとき、大丈夫じゃないとき。どう自分と向き合い、心やからだをケアしてる?

不安を感じていたり、ちょっと体調がよくないな、というときは、まずは「自分は今日もうがんばりません」というモードに気持ちを完全にセットして、自分自身に対する評価のハードルをもうこれでもかというくらい下げます。「本当はあれもこれもやりたかったのに」というマインドだと頭のなかが忙しくなり、気持ちもパンクしてしまうので、まずは自分をそうやって騙すことから始めています。

そのあとは、「なにをしても自分を肯定する」という心持ちでそのときやりたいと思ったことをするのですが、ここ最近、半年くらいは、ベランダに椅子を出して、そこに座って読書をすることが多いです。また、わたしはお茶が好きなので、好きな種類のお茶を選んで飲みながら、自分だけの時間を過ごすこともあります。すごくリラックスできる方法なので、ぜひみなさんも試してみてください。

samayuzame

音楽家。1998年生まれ。
独学でDTMを学びながらニコニコ動画におけるボカロPとしての活動を経たのち、2018年よりシンガーソングライターとしての活動を始める。
東京芸術大学音楽環境創造科を卒業後、事務所には所属せず、作詞作曲編曲から自らのブランディング、ミュージックビデオのプロデュースに至るまで活動のすべてを自身で行っている。
エレクトロニカを基調としたミステリアスでダークな空気感を纏う楽曲を得意とする。
作編曲家としてはアニメーションや映画の音楽制作に携わる他、外部アーティストへの楽曲プロデュースにも行う。
圧倒的な作曲・編曲スキルはもちろんのこと、現代に生きる芯のある女性としての儚さと強さ、暴力的かつ美しい言葉遊び、音作りは聴くものを不穏で妖艶な世界に誘う。

第29回PFFスカラシップ作品
『恋脳Experiment』

劇伴を糸井塔(samayuzame)が担当。
2023年/カラー/110分予定
監督:岡田詩歌
出演:祷 キララ、平井亜門、中島 歩
©2023 ぴあ、ホリプロ、電通、博報堂DYメディアパートナーズ、一般社団法人PFF

PFFスカラシップ最新作、岡田詩歌監督「恋脳Experiment」の劇伴を糸井塔が担当することが決定!
「第45回ぴあフィルムフェスティバル2023」

samayuzame “City of Romantica”

2023年6月21日(水)発売

配信リンク

『わたしたちのスリープオーバー』

性にまつわることを、いつもの自分の温度で話してみませんか? 自分や相手のからだ、セックス、性差別、ひとりひとり異なるセクシュアリティ、ジェンダーアイデンティティ、してもしなくてもいい恋愛についてなど、さまざまなトピックを自分の言葉で話しはじめ、考えはじめてみる。ここは、気負わず、飾らずおしゃべりする、お泊まり会のような場所です。
世の中の常識や自分自身の思い込みをときほぐすために、個人的な違和感や疑問を手がかりに話しはじめるきっかけと学ぶきっかけをつくり、自分自身がより生きた心地がするよう、選べる扉を増やしていく。「こんなこと、きっととるにたらないから」とたったひとりで悩み、考えたことのある、今を生き抜いているすべてのわたしたちへ。
わたしとあなたで、おしゃべりを。
💫J-WAVE(81.3FM)で毎週金曜深夜25時30分から放送中。
💫わたしたちのスリープオーバーでは、性にまつわるお悩みやモヤモヤ、今考えていることなどお便りも募集中💌採用されるとオリジナルステッカーをプレゼント。webサイトからぜひお待ちしております。

わたしたちのスリープオーバー | J-WAVE
わたしたちのスリープオーバー | linktr.ee

newsletter

me and youの竹中万季と野村由芽が、日々の対話や記録と記憶、課題に思っていること、新しい場所の構想などをみなさまと共有していくお便り「me and youからのmessage in a bottle」を隔週金曜日に配信しています。

me and you shop

me and youが発行している小さな本や、トートバッグやステッカーなどの小物を販売しています。
売上の一部は、パレスチナと能登半島地震の被災地に寄付します。

※寄付先は予告なく変更になる可能性がございますので、ご了承ください。

me and you shop