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「気の合う人というのは奇跡のような存在だ」(日記:ハラリエコ、返事:かまりえ)

出会いや経験の蓄積は人によってずいぶん違ってくる

“まず日記をつけるリズムをつくること。そして個人的な日記を共有してみること”。そんなひそやかな試みを形にするべく、「日記をつける三ヶ月」というワークショップを「日記屋 月日」とme and youが開催しました(2022年9〜11月の全5回にわたり実施)。me and you little magazineでは、最終回でおこなった「ある人の日記を読み、別の誰かがお手紙を寄せる」という企画に参加いただいた方々の「日記文通」をお届けします。

日記をつけることは個人的な行為であるにもかかわらず、誰かの日記を読んでみると、他者であるはずのその人の感情や思考と、自分のそれが交差する驚きが生まれることもあります。わかりやすさを重視してならされた言葉ではないからこそ、そのときを生きる人たちの営みや世界のありようをより一層くっきりと映し出すこともあるかもしれません。今回は、ワークショップ参加者であるハラリエコさんの日記に、かまりえさんがお返事を書いた日記文通をご紹介します。

※今回の「日記文通」は、me and youが隔週金曜日にお届けしているニュースレター「message in a bottle」(登録はこちらから)内で実施している企画をもとにしています。
※この記事は、「日記屋 月日」とme and youの「日記をつける三ヶ月」のワークショップで書かれた日記とお返事をほぼ原文ママで掲載したものとなります。

2022年11月11日(金)の日記/ハラリエコ

夜中にトムヤムクンヌードル食べたせいか朝からお腹の調子が悪い。今日は何の予定もなく自分のペースで作業進められそうだからうれしいなと思っていたのに、打合せの予定がなく仕事を全て「捌いてしまった」らしいKさんが、わざわざ私に来週の打合せに向けてロープレでもしようか、とご提案してくださったものだから早々にペースが崩される。しかもそのロープレで私のためを想ってわざわざ意地悪な質問ばかりをしてくださる訳で、やり終わった後に「ちょっとぉ、泣きそうになってる?笑」とか言い腐られ、いえ殴りそうになっていますとは言えず、「いや泣きそうにはなってないですけどくじけそうにはなりました笑」とかこっちも余計な雑魚ムーブかます羽目になったりした。このあたりから咳が止まらなくなる。その後、飴と鞭を使い分ける先輩然として私を煙草休憩に誘ってもくれるわけで。煙草を吸いながら漫画の話をしていたらKさんは案の定違法サイトで漫画を読んでいることが発覚。なんで違法サイトで漫画読んでる人ってどいつもこいつもこんな感じなんだよ。違法サイトの存在知らないんじゃなくてこっちは金払って漫画読みてえに決まってんだろうが。違法サイトで読んでもチェンソーマンおもしろいらしい。ふざけてんなあ。こんな感じで謎に消耗した金曜。疲れんなあもう。二度と違法サイトで漫画読んでるやつと話したくねえよ。今日はランチに誘ってくれた他の課の先輩・Aさんが寝ゲロしてしまった話してくれたときだけ心の底から笑えてた。誰よりもはやく退社してキンコーズに向かう。文フリ準備。冊子を印刷、手折して中綴じ、裁断、のセルフ製本作業。2時間半くらいやってたけど作業を終えることができず閉店時間になってしまう。また明日の朝こなければいけない。帰宅してコンビニのパスタを食べる。パスタを食べたがNから連絡があり、一緒に駅前のラーメンを食べに行く。散歩しながら帰って、家でNにブランキーの歌詞を朗読させる。うれしい。一気に満たされた気持ちになった。恋人も友達も、気の合う人というのは奇跡のような存在だ。

お返事/かまりえ

「なんで違法サイトで漫画読んでる人ってどいつもこいつもこんな感じなんだよ」で大笑いしてしまいました。
ひとしきり笑ったあと、違法サイトで漫画を読んでいることを公言する人が醸し出してくる「こんな感じ」ってどんな感じなんだろうと考えてみましたが、身近にそういった人がいないことに気がつきました。これでは自分の経験から「こんな感じ」をたぐりよせることができません。
どんな感じなのかますます気になってきます。「どいつもこいつも」ということはお知り合いの中にそういった方が複数名いらっしゃるのでしょう。かたやこちらには思い当たる知り合いもおらず、(単に言わないだけかもしれませんが)出会いや経験の蓄積は人によってずいぶん違ってくるのだろうなあと思いました。
この先、違法サイトの利用を公言する人と知り合うことがあったらこの日記を思い出してしっかり様子を見てしまいそうです。
「金払って漫画読みてえに決まってんだろうが」には私も大いに同感です。

ハラリエコ

1993年生まれ。徳島県出身。四人兄妹の末っ子。
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かまりえ

ゆるい文章書き。文芸ユニット「エクセレント此岸」主宰。春夏は植物の世話をして、秋にはエッセイを書いて売り、冬はゲームをして暮らしている。

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me and youの竹中万季と野村由芽が、日々の対話や記録と記憶、課題に思っていること、新しい場所の構想などをみなさまと共有していくお便り「me and youからのmessage in a bottle」を隔週金曜日に配信しています。

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