特に何の予定も無い日というものはあるもので、そんな日はただ制作か読書をしている。
制作過程ごとに作業を分けていて、今日はひたすらプリントをする日。生地は昨日の夜のうちにカットし、インクが裏に付かないよう新聞紙も挟んでセットしておいたのですぐに作業に移れる。
ざっと50枚ほどのトートバッグが仕上がるよう、生地の表面にスキージーでインクを落としていく。ただただ同じ作業をずっと機械的に行う工程で、いつも同じようには仕上がらない。生地の同じ部分ばかり上手くインクが落ちなかったり、落ちすぎたり。
一枚も失敗しない日もあれば、落ち込むほど失敗する日もある。心がざわざわしていたり、焦っていたり、気がかりなことがあったりする時は失敗することが多いような気もして、何となく心のバロメーターにしている。気持ちを落ち着かせて作業に向かったり、逆に作業に打ち込むことで心が落ち着いたりもするような。
この一連のプリント作業で、時々ふと思い出すのがミカエル・アース監督の映画「サマーフィーリング」だ。友人に薦められたことがきっかけで観たこの映画は、美しい夏に突然訪れる喪失、愛、人生について描かれたとても美しい作品で、映画が始まってすぐぐらいの場面で女の子がシルクスクリーンをするのだ。大掛かりなテキスタイルの作業だったけれど、インクを載せて、スキージーを操り、最後に水で版からインクを流すまでが丁寧に描かれていて、自分以外の人が作業をしているのを見ることはほぼないので、何だか嬉しくて何回もそのシーンを見てしまった。この映画でしか目にすることが出来ない夏の日の色、音楽も素晴らしく時々見返したくなる。アンダートーンズの「Teenage Kicks」が最高だった。
当たり前だと思っていた日々が突然終わることを平坦に続く作業になぞらえて、改めて考えてみる。
今日は8月15日、終戦記念日。いつもと同じ日を送ることが出来る大切さを。積み重ねを。