この人はきっといつか、出逢うべくして出逢うだろうなと思うことがある。
自分の走ってる道とその人との道がどこかで重なる。どの地点かは明確に予測できないけど、ベクトルはいつか交わる。
その人の人生においてtanakadaisukeのお洋服がおそらく寄り添って戦えるような、作り手のエゴで錯覚かもしれないけれどそう思わせてくれる人がいる。
2022年3月16日tanakadaisukeは初めて東京コレクションのランウェイで発表した。21ルックの最後を担ってくれたのが、橋本愛さんだった。
僕が高校生の頃、朝の連続ドラマを見ていて魅力というより魔力を秘めたような佇まいに惹きつけられたのを覚えている。その後も出演作品をいくつか見てきたが、両極のものを同時に目に映しているような印象である。光で滲み目が当てられないところも、闇の中の影でさえも、輪郭を鋭く伝えてくれる。そしてコロナ禍になってから価値観が目まぐるしく変わるころ、Instagramを通しての発言や考え方に救われることがあった。言葉に血も通っていれば、重さ、時に軽快さもあり曇っていた日々に光がさす方が見えた気がした。
2022-23AWのテーマは『浪漫』、アニメの変身シーンを模したケープドレスから始まり、変身後魔法の使い手となった姿で終わるコレクションをしたいと大枠のストーリーはできていたのだが、どう表現したらいいのか迷っていた。そうこうしているうちに橋本さんのスケジュールが出てショーへの出演が最初に決まった。私が表現できることの中で最大限の引き出し、ギリギリを攻めろと背中を押された気がした。本番までは、橋本さんだからこそ破綻せず成立するドレスの形や色、素材のバランスを探しだす時間だった。
出演までの経緯を当人から伺うタイミングもなく、衣装のフィッティング(衣装合わせ)を迎えたので、このドレスで説得させなければとデザイナーとして手に力が入った。その後すぐに本番当日を迎え、会話をする間もなく、ショーは一瞬で終了した。
日にちが空き、明日再びお仕事で対談する機会をいただいた。表現の先輩と対面し何を吸収できるのか楽しみでそわそわしている。1度目は偶然、2度目は必然、3度目出会えたら実力なのかな? と少し思えるので、今回はその2度目。対談までに質問を準備して欲しいと言われたが、悩み相談のようなプライベートな質問ばかり思いつて個人的な空間になってしまいそうで、ちょうどいい言葉が出てこず、手を動かしプレゼントを準備した。