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ルームメイトが子供時代を過ごした、時間を収納する家で。はらだ有彩の暮らし

「継続する」を続けることは、「離れがたさ」に正直になること

どんな家で、誰と、どうやって暮らしていますか? 一日のなかで最も長い時間を過ごすことの多い家が、自分を繕わずに存在できる場所であったなら、きっとたよりない日々を支えるものになるはずです。今回は、家での暮らしを大切にしながら、それぞれ工夫を凝らしながら日々を営んでいる方々に、いくつかの質問に答えていただきました。

この記事では、テキスト、テキスタイル、イラストをつくるテキストレーターのはらだ有彩さんに、家での暮らしについて教えていただきました。はらださんは、ルームメイトと二人暮らし。ルームメイトが子供時代を過ごした跡地で、経過した時間の流れと、積み重ねられていく生活を感じながら日々を送っています。「誰かと暮らすことを『継続する』ことこそが選択と決断そのものかも」と語るはらださんが、「続けていく」ために絶対に手放さないもののこと。

1. 暮らしている家の好きなところ、好きになるために工夫しているところについて教えてください。
2. 誰かと暮らすことや、ひとりで暮らすことの選択をどのように行いましたか? そのうえで、「生きることのさまざまなたよりなさ」に日頃どのように向き合っていますか?
3. 暮らしている地域の好きなところは?
4. 家にある、たよりない日々を支えてくれるものとは?
5. 部屋の間取りを教えてください。

小学生の頃のルームメイトの身長が彫ってある壁

1. 暮らしている家の好きなところ、好きになるために工夫しているところについて教えてください。

壁に、小学生の頃のルームメイトの身長が彫ってあるところ。
ルームメイトが子供時代を過ごした家の跡地に住んでいます。この壁の跡を見るたびに、家は物ではなく時間を収納するものだなと思います。この家に引っ越してきたときには、かつてルームメイトが貼ったというけろけろけろっぴのガラスシールが窓に残っていたのですが、剥がされてしまいました。

写真:はんぺん写真館(ルームメイト)/Instagram:@hanpen_photostudio

誰かと暮らすことを「継続する」ことこそが選択と決断そのものかも

2. 誰かと暮らすことや、ひとりで暮らすことの選択をどのように行いましたか? そのうえで、「生きることのさまざまなたよりなさ」に日頃どのように向き合っていますか?

誰かと暮らし始めるときには案外選択も決断もなく、何となくの生活の積み重ねで人生は作られていくのだなと思います。
私にとっては、誰かと暮らすことを「継続する」ことこそが選択と決断そのものかもしれません。「継続する」を続けることは、「離れがたさ」に正直になること。「離れがたさ」を絶対に手放さないこと。人生を最初からやり直すことになってもこの暮らしをしているだろうと思うこと。話すこと。お互いにストレスがないことをお互いが良いと思っているということを、お互いに認識すること(これはルームメイトのアイデア)。一人で考えていると行き詰ることを口に出すこと。

隣の棟の人たちが良い感じにした庭、山と林、ルームメイトの中学校と家族

3. 暮らしている地域の好きなところは?

家の近くにルームメイトの通っていた中学校があるところ(小学校は廃校になったらしい)。住んでいる団地の隣の棟の人たちが、庭を良い感じにしてベンチに集っているところ。家の近くに山と林があるところ。家の近くにルームメイトの家族が住んでいるところ。

日々の暮らしを噛み締めるためのルームメイトのスケッチ

4. 家にある、たよりない日々を支えてくれるものとは?

引っ越してから買ったフィカスが、当時の三倍くらいの大きさに育って時間の経過を示してくれること。陶器のバナナ。子供の頃から一緒にいる、バウアーさんという名前の白くまのぬいぐるみ。暮らしについて書くこと。日記を書くこと。日々の暮らしを噛みしめるためのルームメイトのスケッチ(スケッチはすべてルームメイトの監修のもと許可を得て掲載しています)。話すこと。

部屋の間取り

ルームメイトが子供時代を過ごした、時間を収納する家で。はらだ有彩の暮らし

はりーさん(はらだ有彩さん)とルームメイトの部屋が、リビングとキッチンを挟んで対角線上に位置している。はりーさんのエリアには「落ち込み部屋」が。共同の作業部屋では、お互いが向き合って作業している

この部屋で、生きている。わたしの家の愛おしいところ

どんな家で、誰と、どうやって暮らしていますか? 一日のなかで最も長い時間を過ごすことの多い家が、自分を繕わずに存在できる場所であったなら、きっとたよりない日々を支えるものになるはず。

賑やかな場所で暮らしたい。自然に囲まれて静かに過ごしたい。パートナーと、家族と、仲間と、一人で暮らしたい。たくさんのものに囲まれて暮らしたい人もいれば、ほんの少しの好きなもので満たされる人もいます。暮らしの選択肢は、数え切れないほどあるはずで、誰かにあり方を決められるのではなく、自分自身が本当はどんなふうに暮らしたいのかに耳を澄ませ、望むかたちを見つけていけたなら。

今回は、家での暮らしを大切にしながら、それぞれ工夫を凝らしながら日々を営んでいる方々に、いくつかの質問に答えていただきました。年齢もジェンダーも、住む場所も暮らし方も異なる人たちの生活を覗いてみると、暮らしのあり方は人の数だけ存在していることをあらためて実感します。生活の中で一人ひとりが実践している小さな工夫や、身近なものの愛し方を知ることで、たよりない日々のなかで大きなものに飲み込まれずに生きていく支えとなる、自分なりの暮らしを考えるきっかけになったらうれしいです。

はらだ有彩

テキスト、テキスタイル、イラストを作るテキストレーター。著書に『日本のヤバい女の子』(柏書房/角川文庫)、『百女百様』(内外出版社)、『女ともだち』(大和書房)、『ダメじゃないんじゃないんじゃない』(角川書店)、『「烈女」の一生』(小学館)。

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