小瓶に入ったフォトブック、Zineキーチェーン…「製本作業は救われる作業」
2025/3/25
「生活におけるファンタジーの観測」を大事にしながら、日常でありながら同時にまるでこの世界ではないような瞬間をとらえる写真を撮るソノダノアさん。インディペンデントレーベル「HISSS PRESS」を立ち上げて、手作業でつくりあげたZineなどの創作物を届け続け、野外フェス『全感覚祭』の撮影や、娘さんのもくれんさんとの日常を切り取った書籍『ケンカじょうとういつでもそばに』などでも知られています。
me and you little magazineのトップページでは、メディアが始まった2022年2月からしばらくの期間、22時から朝4時までの時間帯に、写真展『兆光』のメインビジュアルにも使われた光り輝く人の写真が飾られました。
写真、装丁、編集、印刷、裁断、製本の一連の流れを、あえて手のかかる方法を選びつくり続ける理由や、「私とあなた」から浮かんだきらめく井の頭池の写真についても言葉をいただきました。
写真家としてどんな作品をつくっているか、活動内容を教えてください。
写真を撮って、本を作っています。メッセージを形にしていくというよりは、自分が今どこに立ち何を見てどう感じているのかに目を澄ますような私的で内向きな活動ですが、同時に、外に向かって自分の窓を開け放つような行為でもあります。
Zine”eyehug”より。「2023年の夏の写真を軸に感覚的に素早く編んだものなのですが、振り返ってめくってみると、同じ年の春から初夏に私を貫いたふたつの喪失と対峙した壮絶な日々がこのzineには抱きとめられていると感じられ、だから『私の生きていることの証明』という大きな言葉がでてきたのだと思う」
あちらこちらそこかしこで行っている、ひよやかにささやかなる写真展
GEZANおよび彼らが主宰するレーベル〈十三月〉による野外フェス『全感覚祭』の写真
作品をつくるときに大切にしていることは?
イメージとその連なりで詩を編むようなつもりでやっています。紙を切ったり折り畳んだりする製本作業が好きで、その反復に没頭しているとなぜだか頭の中が凪いで救われるので、本を作るときはわざとそういう加工プロセスのある仕様にして製本作業自体も楽しんでいます。
あらためてme and youに寄せてくださった写真について、その写真の背景と、なぜこの作品を選んだのかを教えてください。
ある晴れた日の昼下がりの狐の嫁入り。何の前触れもなくショーがはじまったみたいに光りだした井の頭池。me and you、私とあなた。分かり合いたい、わかり合えない。真正面から向かい合い言葉の限りを尽くすことが最善なときもあれば、何も言わずただ隣り合わせて座ってよい景色を眺めてるくらいが最良のときもある。そんなことを思う写真です。
ソノダノア
東京生まれ、熊本在住。生活とファンタジーのあいだで撮る写真家。製本、調香、その他の静かなる冒険。インデペンデントレーベルHISSS PRESS運営。
プロフィール
『天使かもしれない』
天使かもしれないイメージ群全128枚をアトランダムに配列した蛇腹折りのzineです。フィルムで撮った写真、デジタルカメラで撮った写真、iPhoneで撮った写真に、昔のスナップ写真も不分別に混ぜこぜ。時系列もバラバラ。
全128枚のうちの36枚をアトランダムに配列した蛇腹折りのzine。
書籍情報
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