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火曜日。パレスチナを思いながら、友達と映画鑑賞会をする/ままならない日々を、お気に入りの服と。

一週間コーデ。佐藤真『エドワード・サイード OUT OF PLACE』を観る

これは、ある架空の女性の物語。東京・渋谷で一人暮らししている25歳の彼女は、ずっと働いていた会社を辞めて、あこがれていた編集・ライターの仕事をはじめたばかり。不安も多いけれど、愛すべきものや人との時間、お気に入りの服を選ぶことを大事にしながら生活しています。「ままならない日々を、お気に入りの服と。一週間コーディネート」では、彼女の一週間を、スタイリスト・和田ミリさんによるコーディネートと共に、毎週お届けしていきます。

※この物語はフィクションです。

火曜日。
今日の夜は、友達との映画鑑賞会! 学生時代からよく一緒に映画館に行っていた友人と、ときどき「ひさしぶりに映画観ない?」と声を掛け合って集まるのが、もう何年も続いている。今はお互いに別々の場所で別々の仕事をしているけれど、こうした関係がずっと続いているのはうれしいことだ。

今日は、友達が佐藤真さんのDVD BOXを持ってきてくれた。佐藤さんはドキュメンタリー作家で、2007年に49歳で亡くなったそうだ。友達は、「きっと好きだと思う。小さな声に耳を傾け、日常のことを撮り続けていた方だから」と話す。

どの作品も気になっていたけれど、今日は『エドワード・サイード OUT OF PLACE』を観ることにする。2023年10月にイスラエル軍によるパレスチナ・ガザの侵攻が始まってから、自分がいかにこれまで起きてきたことを知ろうとしてこなかったのか、愕然とした。自分なりに学び、できる行動をしようとしている中で、『パレスチナ問題』などの著作もあるサイードの存在を知ったのだった。

パレスチナで生まれ、ニューヨークで暮らし、レバノンの墓で眠ったサイード。この映画では、アラブの国々で難民として暮らすパレスチナの人々、被害と加害の深い矛盾を抱えるイスラエルで暮らすユダヤ人の人々など、移動をしながらさまざまな人たちの声を聴き、和解と共生の道を探ったサイードの記憶を巡る。

サイードや佐藤真さんが2025年の世界に生きていたとしたら、どんなことを感じたのだろう。映画はその先の未来を生きている私たちに、いつまでも問いと記憶を手渡し続けてくれる。

「それ、かわいいね」と言ってもらった耳元のHEIWA Pierceは、停戦とパレスチナの自由と解放を願ってつくられたもので、売り上げの一部がパレスチナの子供のための寄付になる。お家でリラックスできる服を選んだけれど、誰かが見た景色をパッチワークで縫い付けたパンツや、どこか懐かしい布地のボタンがついたニットから、パレスチナの人々の日常に思いを馳せた。

映画の感想を話しながら、目の前のことだけでなく、場所や時間を超えて思いを馳せることを、忙しさの中でも忘れずにいたいと実感する。明日は、ずっとやってみたいと思っていた企画を発表する打ち合わせがある。今日の気持ちを胸に、早めに眠ることにした。

ニット¥32,000/hisakanao
タンクトップ¥7,150/OTOE
パンツ¥48,400/osakentaro
ピアス片耳¥58,300/EVLiN(両耳着用)

ままならない日々を、お気に入りの服と。一週間コーディネート

私たちは月曜日から日曜日まで、毎日服を選んで生活しています。SNSには書けないような憂鬱な日でさえ、クローゼットの前に立つことから一日が始まります。仕事がうまくいかなかったり、社会で起きていることに心が動かされたり、ときには誰にも会いたくない気分になったり……。誰かの暮らしがきらきらとして見えても、誰もが大小さまざまな波に揺られているはず。そんな毎日のなかで、その時々の気分に合った服を纏うことは、たよりない日々を少しずつでも前へ進めていこうと思わせてくれる。ファッションには、そんな言葉にできないパワーが込められているように感じます。

これは、ある架空の女性の物語。東京・渋谷で一人暮らししている25歳の彼女は、ずっと働いていた会社を辞めて、あこがれていた編集・ライターの仕事をはじめたばかり。不安も多いけれど、愛すべきものや人との時間、お気に入りの服を選ぶことを大事にしながら生活しています。彼女の一週間を、スタイリスト・和田ミリさんによるコーディネートと共にお届けしていきます。

月曜日。仕事後、書店で自分を見つめる本と出会う
火曜日。パレスチナを思いながら、友達と映画鑑賞会をする
水曜日:coming soon!
木曜日:coming soon!
金曜日:coming soon!
土曜日:coming soon!
日曜日:coming soon!

3to8 vintage apartment store

大学で服飾を学んだ後、茨城県で作品制作などをしながら過ごし、その期間中にhisakanaoとして活動をはじめる。現在は関西を拠点にとても個人的なことをテーマに掲げながら刺繍やニットを取り入れた服や小物を制作したり、時には川柳を楽しんだりしている。

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OTOE

独自の切り口で発掘されたヴィンテージアイテム・オリジナルな提案のコーディネートは着る人独自の世界観を広げる。
アーティストとのコラボレーションやリメイクライン「OTOELOGY」も展開している。

住所:東京都渋谷区神宮前2-31-9 クリスタル 神宮前 ビル 2F
営業時間:13:00〜19:30
定休日:Instagramを参照
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osakakentaro
エスモード東京校卒業後、ここのがっこうに通う。
ヨーロッパ放浪後2014awシーズンより『osakentaro』スタート。
日々のあらゆるものからインスピレーションを受け、シーズン毎に服だけでなく、ラック等什器も制作、写真も撮影し、コレクションの全てをアトリエにて制作。

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EVLiN

わたしの中にある理想の女性像の装身具を思い浮かべて制作。その姿は半透明で、ヴェールがかかったような。艶やかな唇、どこか懐かしく思う風景、裸で犬と戯れる女性。柔らかい香りを漂わせながら、強く揺るぎない。

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EVLiNのHEIWA Pierce

これらのシリーズは売り上げの一部をパレスチナの子供の為になるような寄付をしています。
22金のピアスにはHEIWA NEGAIと刻印してあります。
平和と願いを込めて制作いたしましたが、先ずは停戦とパレスチナの自由と解放を求めて。

『エドワード・サイード OUT OF PLACE』

製作年:2005年
上映時間:137分
製作:シグロ
監督:佐藤 真
企画・製作:山上 徹二郎
協力プロデューサー:ジャン・ユンカーマン
撮影:大津 幸四郎、栗原 朗、佐藤 真
整音:弦巻 裕
編集:秦 岳志

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和田ミリ

1997年生まれ、愛媛県出身。文化服装学院ファッション流通科スタイリストコースを卒業後、スタイリストの小山田孝司さんに師事し、2020年に独立。雑誌、ウェブメディア、ブランドルック、広告や俳優のスタイリングまで幅広く活動中。

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新家菜々子

1998年石川県生まれ。高校時代に学生生活を記録するため写真活動を始める。2022年に個展「live in the light」を開催。現在は東京を拠点とし、web、ライブ写真などフィルム写真を中心にさまざまな媒体で活動中。

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鈴木美乃里

1997年生まれ。お菓子を作ったり、日記や新聞を書いたり、お絵描きしたりしながら、生活をおもしろがるためのアイディアを模索するプロジェクト”游泳”を2019年にスタート。2022年から不定期で行なっている1日限定の喫茶をメインに活動中。

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