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同じ日の日記

染色という仕事に再会することができたベルリンで/SALLY

冷やし中華の胡瓜みたいなズッキーニ、ベルリンで食べたかき氷とたい焼き

毎月更新される、同じ日の日記。離れていても、出会ったことがなくても、さまざまな場所で暮らしているわたしやあなた。その一人ひとりの個人的な記録をここにのこしていきます。2024年5月は、5月27日(月)の日記を集めました。世界中の一人っ子と共にZINEを作る「ONLY CHILD CLUB」の部長としても活動し、ワーキングホリデーで訪れたベルリンで染色の仕事をしながら暮らしているSALLYさんの日記です。

5/27月曜日

毎日5:30に起きる。今日は晴れ。5月と言えど、朝と夜は結構冷えるので、トレーナーやフリースがまだまだ手放せない。
だけど、今日は割と暖かい。朝のスッとした空気がとても気持ちよくて好き。
平日のうち3日間は、8時から仕事が始まるので、だいたい6:30頃には家を出る。

先週から始まった、毛糸を染める染色職人の仕事はとても楽しい。
東京で過ごした20代は、ほとんどが染色をしている時間だったと言ってもよいくらい、染めや布、手仕事と共にあった。
大学時代から考えたらもう13年くらい染色に携わっていることになるみたいだ。
東京での染色職人の仕事も、8:40から仕事開始だったので、むしろ早起きをしなくてはならない生活のほうが性に合っている。

地下鉄をいくつか乗り継いで、その後は30分程バスに揺られる。
バスの窓から外をボーッと眺める時間が好きだ。
窓から見える景色は、混雑したカラフルな街から森に抜けていくと、沢山の緑色の姿に変わっていく。
Khakiの“Thirteen”と“車輪”を交互にリピート再生するのが最近のお気に入り。
バスのスピード感と、緑の景色と、Khakiはとても良くマッチして最近のお気に入りだ。

東京で散々聴いていた曲をベルリンで聴くと、色々な記憶がごちゃ混ぜになり、不思議な気持ちになる。
最近は友達と、共有プレイリストを作っていて、2人で好きな曲を追加しては、順番を編集したり、お互いが追加した曲を聴いたりして過ごすことが多い。
音楽のコミュニケーションはとても楽しい。

仕事場に着く。今日の午前中も、淡々と仕事が進んでいった。いつもより時間が過ぎるのが早い気がした。
お茶休憩をして、午前中にやるべき仕事が終わり、お昼休みになった。めちゃくちゃ腹ペコだ。
今日のお昼は、サンドイッチ。Lidlで買った黒パンに、生ハムとチーズ、レタス、プチトマトを挟んで作った。
このサンドイッチは、9年前ベルリンに旅行で来た時に泊まった大きなホステルの朝食バイキングで、同じテーブルになった高校生くらいの少年が同じようなサンドイッチを作っていたのを真似して、そのまま自分でアレンジしたものだ。
プチトマトをナイフで半分にカットして、黒パンにチーズと一緒に挟んで食べる。
このメニューはいつの間にか、わたしの作るサンドイッチの定番となっていた。

昼休みも終わり、午後の仕事が始まる。午後も相変わらず忙しく、課題を淡々とこなしていくうちに、時間が進んでいく。
午後は、3時に少しの休憩がある。みんなで庭で、コーヒーとお菓子を食べる。
少しのおしゃべりをしながら、コーヒーを飲んで、あと2時間弱がんばるぞ! という気持ちになる。

仕事は、ありがたいことに毎日とても面白い。
こんなに仕事に行くことが楽しみなのは、生まれて初めてかもしれない。
もちろん私は、下っ端の何も分からないアシスタントなので、先輩に手取り足取り教えてもらっている。
だけど、教えてもらった少しだけ仕事を任せてもらえたりすることもあるのだ。
まだまだ余裕は全然ないけれど、どんな仕事も全部とても楽しいのだ。できないことだって、楽しい。

鍋で染めの作業をしている時、たまに去年の7月まで働いていた染色工場の先輩の声が聞こえることがある。
それは、散々間違えそうになった時に、先輩がわたしに注意していた言葉などで、作業をしながら脳内をリフレインするのだ。
わたしはその工場で7年半働いたけど、勤続5年目でやっと注意が減ったと言ってもいいほど、とんでもない出来損ない社員だった。
不器用で、ポンコツで、機嫌がすぐ顔に出てしまう。
だけど、染色を愛していたし、仕事は好きだったから、どんな時でも先輩は根気よく教えてくれたのかもしれない。
最後の2年は、(おこがましいけれど)先輩たちと、やっと同じ土俵に立って仕事ができるということが嬉しくて、仕事が充実していたことも思い出した。

なんとも不思議な巡り合わせで、このベルリンで、染色という仕事に再会することができた。
自分がこんなにも染色の仕事が好きだったのかということを再認識できる日々なので、20代の頃からずっと苦しんでいた、呆然とした未来への悩みもかなり減った。
これはもう、「ここで頑張りなさい!!!」というメッセージとして受け取ったので、とにかく毎日やるしかないと思っている。
今は毎日必死で仕事を覚えて、出来ることを少しでも増やしていきたい気持ちで、仕事に取り組んでいる。

17:00になった。今日の仕事はもう終わり。
それからまたバスに乗って、電車に乗り、家に帰る。
今日は、おやつのバナナを買い忘れていたので、流石にお腹が空いてしまった。今日はイレギュラーだけど、乗り換え途中のKIOSKでポテチを買った。
お腹が空くと何もできなくなってしまうので、ポテチを食べて自分を充電する。

最寄駅について近所のEDEKAに寄る。明日用のバナナとリンゴ、生ハム、粉チーズなどを購入。
夜は絶対にナポリタンを作ろうと朝から決めていたので、帰宅して休むまもなく料理時間。
湯を沸かし、野菜を切り、パスタを茹でて、野菜を炒め、ナポリタンを作って食べた。
明日の朝は、これを温め直してタッパーに詰めてお弁当にする予定。

わたしのルームメイトはイタリア育ちなので、ナポリタンを作る私を見るなり、「ちょっとサリー。ケチャップを?? パスタに??? しかもドイツのソーセージも入れるの??」っという、理解できないという反応をしていた。
「これは、日本の古いカフェでの定番料理なんだよ。玉ねぎとニンニクとピーマンも入っていて、最後にちょっとだけ醤油を入れて炒めるんだよ」と言うと、「あぁ、醤油?! そのアレンジは良さそうだね!」となぜか好印象になった。

そのあとも、「もしかして、この余ったパスタは明日のランチに持っていくの?」と言われたので、「そうだよー。明日のお弁当」と言った。
「あぁ! それはいつもの私みたい! めっちゃいいね!」と、褒められた。
残り物のパスタを弁当に持って行くことが、何故かイタリア人の粋?? だと思われたりすることもある。相変わらずツッコミどころが面白い。

彼女は、美味しい物が好きで、自分で作るのも食べるのも好きなので、私たちはよく美味しいものの話をする。彼女が作るご飯もとても美味しくて大好き。
こないだは、ズッキーニをすりおろしてパスタを作っていた。
すり下ろしたズッキーニが、冷やし中華の胡瓜みたいに見えてきたので、おもわず「日本の夏には、この冷やしラーメンを食べるんだよ」と、冷やし中華の画像を見せてみる。「あぁ、これは美味しそう!」と、好印象で嬉しかった。

先日、わたしがベルリンで食べた、美味しいかき氷とたい焼きの話をした。
彼女は、かき氷も、たい焼きも見たことがないので、どういった食べ物なのかを英語で細かく説明する。
たい焼きの写真を見せると、「わーーー! 魚?!! かわいい! これに、あんこ? とクリームチーズが入っているの?! え、美味しそう! わたしがオーガナイズするから、Mとサリーと私と3人で今度食べに行こうよ!!!」と、めちゃくちゃ興奮していた。

そう言えば、週末はボルダリングをした。
たまたま誘われて、そんなにやる気もなく行ってみたのだけれど、やってみたらとてもハマってしまい、自分でもビックリした。
いままで、“壁をよじ登ってみよう”という発想すらない人生だったので、こんな景色があるんだと思って嬉しかった。
でも、登るのは楽しいが、高所恐怖症なので降りるのはめちゃくちゃ怖い。笑
ゆっくり慣れていこうと思う。

運動がめちゃくちゃ苦手な幼少期だったから、わたしでも楽しめる運動があることが嬉しかった。
子供も大人も初心者も上級者もみんなで混ざって壁に登って、たまにおやつ食べたり、おしゃべりしたりして、なんかまったりと楽しいボルダリング時間だった。

お腹いっぱいになったらもう最後、眠い。眠すぎる。
お茶を飲みながら寝落ちしそうになる。
今日はだいぶ疲れている。
わたしは毎日こんな感じで、ブタクサ花粉にやられながらも、元気にやってます!

うう眠い。肉体の疲れを感じて21:30過ぎには就寝。
明日も仕事だ〜。

SALLY

1993年世田谷生まれ世田谷育ちの魚座
東京造形大学 卒業。
大学卒業後、2023年7月まで東京下町にある染色工場で、染色の職人として修行。
2024年4月にワーキングホリデーでドイツ、ベルリンに引っ越す。
現在は、ベルリンにある工房で、毛糸の染色職人修行中。
世界中の一人っ子と共にZINEを作るONLY CHILD CLUBの部長としても活動中。

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