ゴトウホノカさん
1.ファッションにまつわるコンプレックスがある場合、それとどう向き合ってきましたか? あるいは、ファッションとコンプレックスの関係性についてどのように考えていますか?
私は田舎に住んでおり、自分の好きな服装(ロマンティック系)をすると人からの目線を感じてしまうときがあり、心が疲れてしまいます。自分の好きな服装をすると私自身は自分らしい気持ちになれますが、そういった他者からの目線で、自分にこの服装は似合わないのではないか、もっと街に馴染むような、シンプルで大人しい服装をするべきなのか、と悩んでしまう場面があります。普段仕事をする際や用事を済ませるだけの外出は、街に馴染むようなわりとシンプルな服装をして、友達と遊ぶときやどこかへお出かけ、旅行するときには、自分らしい服装をするようにして、自分なりにファッションへのメリハリをつけています。私の好きな映画である『下妻物語』の桃子は、あんな田舎でたった一人でロリータを着ているので心の底からかっこいいなと思います。誰しもが、自分の好きな服装ができる環境になればいいなと、心から願っております。
2.恋愛や性愛に関する場面で、ファッションに対して悩みや疑問を感じることはありますか? 個人的なことでも、社会を見て感じることのどちらでも問題ありません。
女性が露出の多いファッションをすることによって、その人に対する勝手なジャッジを下している人が多いのではないかと思います。TPOさえ弁えていれば、人はどんな服装をしても良いと思っているので、露出の多いファッションを好む女性を勝手に、性的な目で見てほしい、触ってほしい、などと思っているという間違った解釈をしてしまう人が少なからずいるのではないかと思います。そういった間違った解釈は性被害、セクハラを起こしかねないので、露出をしているからといって、男性(または女性)に性的な目で見られたいと思っているなどと解釈しないように、考えや行動を改めていく人が増える社会であると願いたいです。
3.どんなファッションを身にまとうと、自分自身でいられると感じますか。あるいは、ファッションは自己表現においてどんな役割を果たすと思いますか。
私は、私自身で選んで組み合わせることが好きなので、ワンピース一着とかではなく、何枚も重ね着をして自分にしかない組み合わせをしていると、自分自身でいられると感じることができます。その洋服も、デザイナーの魂がこもっている洋服だったり、好きな古着屋さんで見つけたこの世にたったひとつしかない洋服だったり、ファストファッションももちろん利用することもありますが、そういったものではなく、きちんと意味のある、文脈のあるような洋服選びをしています。特に私はピンク色やチュール素材、サテン素材、などが好きなので、色や素材を組み合わせてスタイリングすることがとても大好きです。
ファッションは自己表現において、言葉がなくても自分を表現できるものだと思っていて、その人の思想がファッションに現れているのだと私は思います。自分と似たような服装の人には、趣味が似ているので話しかけてみたい! と思って話しかけることもありますし、反対に全く違う趣味の服装をしていても、こだわりを探してみたり、好きなものは違っても、好きに対する熱量が同じだったり、と、ファッションは一番身近に自己表現のできる場所だと思っています。おしゃれであるか、より、自分の好きな服を、自分が好きなように、着れることが一番幸せなことなのではないかと思います。
4.今、ファッションに対してコンプレックスがある人への言葉。
ファッションは自分で選べるものなので、変えることができます。もしも、今、誰かの目線を気にして、自分の目線も気にして、自分の好きなファッションをできない人がいたら、誰もいない部屋、自室の真ん中で自分が着ていて一番自分らしく思えるものを着てみてほしいです。その服を着たときに得る高揚感、もしくは安心感、武装感、いろいろな気持ちになるかもしれません。いつか自分の好きな服を着て、行きたい場所や会いたい人に会いに行けるように、自分の好きなものに目を背けないでほしいです。私には似合わないから、人にどう思われるかわからないから、で好きなものを諦める必要は全くないです。少しでもあなたが好きな色になって、好きな布になって、服にまで血管が通るようになってほしい。好きな服を着た自分のことを愛することができますように、と願っています。
(ゴトウホノカ・23歳・女性)